2008/04/08(火)標準反射板と露出計

 露出計(メーター)の測光の基準になっているのは、反射率18%のニュートラルグレーです。このグレーの板を「標準反射板」といいます。

 自然界にあるものをすべて混ぜ合わせると、反射率18%で色の偏りがない状態になる・・という考えに基づいています。
 ほかに人間の肌の反射率とか、いろんな説がありますが、なにか基準を設けないと、メーターによってバラバラの露出になってしまいます。反射率18%のグレーがすべての露出計の基準です。

 メーターには、反射光式と入射光式があります。
 反射光式は、被写体に当たる光の反射を測ります。当然、被写体の反射率によって露出が変わってきます。露出のズレを避けるために、標準反射板を使う必要が生じます。測っている被写体の反射率は、あくまで18%だという前提があるからです。
 入射光式は、被写体に当たる光そのものを測ります。受光部が被写体を背にした状態で測るので、被写体の色や反射率は関係ありません。プロが使うのは、入射光式が多いですね。

 反射率18%の標準反射板を「出た目」で複写すれば、確かにそのとおりのニュートラルグレーに写ります。でも普段の撮影では、メーターの「出た目」どおりの露出で撮ると、やや露出不足に感じることが多いです。
 私達の生活空間が標準反射率とは違うことと、写真で表現できるダイナミックレンジが狭いことが、こうしたズレを生んでいる原因のようです。

 人物や商品を撮るとき、プロは「出た目」から半絞りほど開けた露出を基準にすることが多いですね。いわゆる「補正」をするわけです。

2008/04/07(月)メーターの使い方

 露出計(メーター)の使い方をアマチュアに説明するのは、難しい問題です。1回の測光で露出が決まる・・というのが、普通の概念だからです。
 カチッとスイッチを押して一発で適正露出が決まることは、めったにないんですが、それをいうと「なんで?」「どうして?」というのが一般的な反応です。

 あまり小難しい話をするよりも、写した再生画像からオーバー/アンダーを判断したほうが、手っ取り早いようです。プロでもそういうひとは結構います。

 たまに顔を出す写真スタジオは、証明写真でも必ずフラッシュメーターを使います。お客さんを椅子に座らせて、カチッ!カチッ!と2回ストロボを光らせて、メーターで露出を測ります。
 310WSのモノブロックストロボにパラソルをつけて、フロント2灯で撮影しているので、露出は毎回同じです。わざわざメーターで測る必要はありません。
 それでも必ずメーターを使うのは一種のポーズです。アシスタントの女性が髪を直したり、ネクタイの歪みを整えたりして、丁寧な接客を心がけています。撮影料金は、2,500円+消費税です。

 メーターの数値を確認することはありません。露出はいつも一定だからです。メーターが演出道具になっているわけです。
 すぐ近くに700円のボックス型の証明写真がありますが、どちらも流行っています。丁寧な接客と、プロらしい演出で、価格が3倍以上違っても専門店を選ぶお客さんがいるわけです。

 メーターの「本当の使い方」を知っているのは、この写真スタジオなのかもしれませんね。

2008/04/06(日)デジカメと露出計

 デジタルカメラの時代になって、露出の問題は楽になりました。オーバーやアンダーがその場で判断できるので、失敗の確率が少なくなりました。
 色温度の補正も楽になりましたね。原理さえ知っていれば、1-2回の補正で自然な発色が得られるようになりました。

 デジタル時代になって、露出計(一般にいうメーター)の出番が少なくなりました。デジカメを露出計代わりに使うケースも増えました。
 でも、露出計の出番がまったくなくなったか?というと、そうではありません。メーターの使用法に対する考え方にもよりますけどね。

 メーターのスイッチをカチッと1回だけ押して、シャッター速度と絞りはいくつ・・という使い方をしていたのなら、デジカメに外部露出計は不要です。
 メーターの本当の使い方は、一発で適正露出を求めることではありません。AとBの二つの光の差を知るために測るのが、本来の使い方です。
 この概念は、アマチュアには少々難しいかもしれません。

 以前、アマチュア写真家向けの写真教室で、雪景色のなかの「残り柿」の写真を批評したことがあります。よく撮れてました。
 「難しい場面ですが適正露出ですね」と誉めたら、自慢たらしく「1゜のスポット露出計で柿の部分だけを測ったからなぁ」との説明です。「・・・」、返す言葉がありませんでしたが、「よ、よかったですね・・」とだけ言っておきました。
 たまたま柿の反射率が結果的に幸いしただけのことですが、このひとはそれが正しいテクニックだと思い込んでいるわけです。真っ黒に干からびた柿だったら、どうなっていたんでしょうね。

 メーターの本来の使い方を知っているひとは、持っている人の5人に1人いるかいないかです。写真を職業にしているひとも含めた話です。
 カチッと押して一発で適正露出が得られると考えているなら、デジカメに外部メーターは必要ありません。
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