2008/04/02(水)電圧制御のストロボ

 アマチュア用の市販ストロボは、高速シンクロ(FP発光)に対応しているかどうかの違いはあっても、構造的に大きな違いはありません。
 業務用のストロボは、かなりクセがあって、シビアな撮影には向き不向きがあります。一般的に、大光量のものは閃光時間が長く、光量を絞ると閃光時間が短くなる…というのが「常識」です。
 ところが、この関係が成り立たないストロボがあります。閃光時間の長短ではなく、電圧の変化で光量を制御しているストロボが、業務用にはあるからです。

 普通の業務用ストロボは、コンデンサー制御といって、流す電気の量で光量を変えています。それに対して、電圧制御のストロボは、放電管にかける電圧を変えることで光量を制御しています。
 電圧制御のストロボは、光量を絞っても閃光時間はあまり短くなりません。その代わり弊害として、色温度の低下を引き起こします。機種によっては、数百ケルビンの色温度低下をきたします。

 仮に5500Kのストロボが5000Kまで色温度が下がると、かなり黄色っぽい写真になります。プロでもカラーメーターを持っているひとは、コマーシャル系くらいですから、この変化にはなかなか気づきません。
 最近流行りのモノブロック型ストロボには、この形式が多いので注意が必要です。メーカーによっては、カタログに注意書きが謳ってある場合もありますが・・・

 近頃では150WS程度のモノブロックストロボが低価格で発売されています。プロ以外のひとでも使う可能性があるので、あえて採り上げました。大抵、このクラスのストロボは、電圧制御のものが多いようですね。

 

2008/04/01(火)ストロボの寿命

 ストロボは消耗品です。使っていればそのうち寿命がきます。パーツのなかでおおよその寿命が掴めるのは放電(閃光)管です。数万発程度といわれています。
 数万発といっても、2-3万発から7-8万発まで幅があります。どちらも「数万発」ですからね。

 アマチュア向けのストロボは、2万発程度と考えたほうが無難です。すべてがストロボ撮影とは限らないので、実際にはカメラの寿命のほうが短いかもしれません。通常の使用方法なら、放電管は半永久的なパーツといえます。

 放電管は、ガラスキューブにクセノンガスを封入しています。密閉されていますが、ガラス管には分子レベルの穴があるので、時間が経つと「ガス抜け」という現象が起こります。
 使わなくてもいずれは寿命がきます。それでも、よほど運が悪くなければ、先に放電管がダメになることは、めったにありません。

 放電管よりも先にダメになる可能性が高いのは、コンデンサーです。数ボルトの電圧を数百ボルトに昇圧する電気部品です。このコンデンサーは、使わなくても劣化します。電気を貯めていないと、次第に硬化して規定の光量が出なくなります。
 長い間使わなかったストロボに新品の電池を入れると、コンデンサーがパンクして故障することがあります。長期間放置したストロボには、使い古した電圧の低い電池を入れて、何発か焚いてから新しい電池を入れるようにします。

 昔のストロボはAC電源が使えたので、使い古しの電池がないときは、まずAC電源で数発焚いてコンデンサーをなじませました。ACコード直結タイプの話です。
 日本国内はAC100Vですが、海外では110Vの国が主流です。輸出モデルと国内向けを別に作るとコスト高になるので、実際には110V仕様になっています。100Vではフル充電しないことになります。
 DCとACでガイドナンバー(GN)の表示が違っていたら、AC直結タイプです。(充電完了のパイロットランプは、コンデンサーに80%電気が溜まると点くようになっているので、AC直結でも点きます。)

 ACアダプター式は、AC100VをDCに変換しているので、電池と同じです。死にかけのコンデンサーを生き返らすのには、刺激が強すぎます。
 いままでの経験から、故障の一番の要因は、電池の液漏れです。使わないときには、電池を抜いておく癖をつけましょう。

2008/03/31(月)高速同調のストロボ

 ストロボ撮影でのシャッター速度の制限をなくすために、閃光時間が遅いストロボが開発されました。ストロボが光っているうちにシャッターのスリットが走り切れば、通常の同調速度より速いシャッタースピードでも全画面にストロボの光を当てることができます。
 閃光時間が遅い・・といっても、昔のフラッシュバルブほど遅くはありません。数値で表すと40ms(40/1000秒)程度です。1/25秒くらいですね。

 こうした緩速発光タイプのストロボを高速シャッターで使うには、「先幕シンクロ」ができるカメラが必要です。
 普通のシンクロ方式は、先幕が走り切ったときに光らせます。高速シャッターでは、後幕がすでに走り始めてますから、同調不良となります。先幕が走り始めた時点で光っていなければ、高速シンクロはできません。
 ハイスピードシンクロができる方式を「FP発光」ともいいます。昔のフラッシュバルブでFPシンクロといっていたのと同じ原理ですね。

 したがって、ストロボだけを緩速発光タイプにしても高速シンクロはできません。カメラに先幕シンクロ機能が必須です。
 それと、シャッター速度が速くなるにつれて、スリットの幅が狭くなるので、ストロボ光の露光量が少なくなります。露出不足になりやすいので、注意が必要です。

 最近のデジタル一眼レフは、幕切れを起こさないように自動制御されています。手元にあるα7Dは、内蔵ストロボをポップアップすると、マニュアル露出でも1/160秒までしか設定できません。(どこがマニュアルだ!)
 外付けの5600HS(D)を付けると、1/160秒以上はFP発光に自動的に切り替わるので、1/4000秒まで設定できます。(この機能は外すことも可能です。後幕シンクロにしたときは、自動的に解除になります。)

 失敗はないけど、ある意味では「過保護」ですね。シンクロ接点でつながった外部ストロボを使うときは、こうした保護はありませんから、くれぐれも注意しないとね。
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