2008/03/27(木)業務用ストロボのガイドナンバー

 ワットセコンド(WS)といわれても一般のアマチュアにはピンときません。ガイドナンバー(GN)に換算すると、どのくらいの数値になるのでしょう。

 業務用ストロボでGN表示をしていた機種があります。集合写真専用のストロボです。PROPETがH-215という発光部と1200WSクラスの電源部をセットで販売していました。当時はGN120という表示でした。

 このヘッド(発光部)は特殊な反射傘を採用していて、画面の隅にいくほど明るくなるよう設計されています。普通のヘッドは画面の隅にいくほど暗くなります。中心よりも1絞り暗くなるところまでを有効照射角として表示しています。
 集合写真では、中心よりも周辺のほうがカメラから遠くなるので、周辺での光量低下が著しくなります。H-215は周辺まで均一な照明が得られる画期的なものでした。
 その代わり、照射角度は68度で、135換算で28mmだとギリギリです。センターをキッチリ決めるために、モデリングランプがビーム状に照射するようになっています。

 このヘッドは現在でも単体で販売されていますが、いまはGN表示はしていません。11m先の被写体をF11で撮影しても露出不足になることはなかったので、「不当表示」ではなかったのですが、日本工業規格のGNとは違うからでしょうか。
 当時の営業担当者は、「本当にGN120あるのでサバを読まないでください」といってました。一般に使われているGNは、あまりアテにならないことをプロは知ってますからね。

2008/03/26(水)業務用ストロボ

 一般のひとが使うことはまずありませんが、業務用のストロボは「ガイドナンバー」(GN)ではなく、「ワットセコンド」(WS、Ws)で光量を表します。

 一般向けのストロボは、発光部が決まった形をしているので、全力発光したときの明るさは一定です。業務用のストロボは、直焚きしたときと面光源にしたときで明るさが変わります。面光源には、パラソル(反射傘)と バンク(透過ボックス)があって、それぞれ明るさが違います。
 バウンス(反射)よりもディフューズ(透過)のほうが効率が2倍程度良いとされています。

 業務用のストロボは、発光部側の方式に左右されない電源部のパワーで光量を表示するようにしています。これがWS表示です。
 ワットセコンド(WS)は、1秒間露光したときに写真電球なら何ワットの光量になるかで表しています。300WSは、300Wの写真電球を1秒間照射した光量に相当します。100Wの電球なら、3秒間露光したことになります。

 実際には、業務用ストロボの閃光時間は数百分の1秒なので、300Wの電球を数百個並べたくらいの光量が、一瞬にして出ていることになります。かなり明るいですね。
 ストロボ光は一瞬の光です。シャッター速度を遅くしてもストロボ光の露出は変わりません。その場の自然光(室内光)が効いてくるだけです。

 デジタルカメラの時代になって、業務用ストロボは容量の小さいタイプが発売されています。150WSくらいのモノブロックタイプ(電源部と発光部が一体になっているタイプ)なら、アマチュアが使うこともあるでしょうね。

2008/03/25(火)ストロボ工場見学

 ずいぶん前になりますが、国内ストロボメーカーの工場を見学させてもらったことがあります。現在は、すでに廃業していて、手元に1台だけ当時の製品が残っています。懐かしいですね。

 カメラメーカーでストロボを自社生産しているところはありません。「餅は餅屋」で、ストロボメーカーに作らせるわけです。カメラメーカーのひとは、「純正品」なんて言いかたをよくしますが、どこが純正なんでしょうね。
 このメーカーも自社ブランドのほかに、カメラメーカー向けのストロボを作っていました。ポラロイド社向けの専用ストロボです。

 工場のなかで、プラスチックの籠にビッシリ並べて、何段か積み上げて検査室に運んでいました。独特の形なので、すぐにポラ用とわかりましたが、あまり見られたくなかったようです。
 1台ずつビニールの袋に入っていました。検査が終わって箱詰めするときには、ビニール袋は外すとのこと。アメリカの企業は、ビニール袋に入れることをムダな包装と考えているようです。傷がつくといけないので、工場内だけ使っていると言ってました。
 日米の文化の違いを垣間見た感じです。

 ストロボの製品検査は、特殊な検査室で実際に電池を入れて1台ずつ行ないます。新品のアルカリ電池を使っていました。
 検査が終わったあとの電池は、発火テストなどに回されます。木の箱に単三電池が山盛りになってました。電池メーカーからかなり安く入っていると思いますが、結構な手間と経費です。

 稼動中だったので、検査室のなかまでは見ませんでした。壁との距離や反射率を計算して、ガイドナンバー(GN)どおり規定の光量があるか計測できるように設計されているそうです。
 壁からの反射光がGNを測る大事な要素です。すっぽ抜けの屋外では、GNどおりの計算は成り立たないことになります。

 コンパクトカメラ用の内蔵ストロボも作っていて、組み上がったパーツを見せてもらいました。「こんな部品じゃいくらにもならないが、これでも1台ですからね」と、グチっぽい話もしてました。
 後から聞いた話ですが、廃業したのは、儲からないからではなく、余剰資金で始めた材木関係の別事業が原因とか・・・ 「転ばぬ先の杖」が先に折れてしまったようです。
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