2010/09/03(金)低感度に弱いデジカメ
ノイズ除去を強くかけると、のっぺらぼうな画像になります。わざとノイズを少し残して、自然に見えるように増幅するのが、各メーカーの腕の見せ所です。
感度の変更は、フィルムカメラの露出計でも制約がありました。ISO 25 ~ 1600 まで変えられる機種でも、一定範囲を超えると、露出倍数に使えない領域が出ます。露出倍数を 1/4 ~4倍まで使おうとすると、ISO 100 ~ 400 の範囲しか選べませんでした。電気的にアナログ処理していたからです。
こうしてみると、感度を自由に設定するという撮影者の願望は、昔も今も難題のひとつです。露出計の連動範囲だけでなく、フィルムでは粒状性の問題があり、デジタルではノイズの問題があります。
画質を最優先にするなら、デジカメは基準感度で撮影するのが基本です。一眼レフは ISO 100 ~ 200 の機種が多いようです。
一般ユーザーの志向が高感度に向いているので、メーカーは、基準感度を高めに設定する傾向があります。暗い場所での撮影が多いのなら、そのほうが有利ですが、実際には低感度が選べないのは不便です。とくに大口径の明るいレンズを活用したいときには、低感度に設定できるかどうかが大事な要素になります。
大口径レンズでポートレート撮影をするのに、ISO 25 のネガフィルムを使っていたスタジオがありました。Kodak のエクターです。粒子が細かいから 135 サイズでも十分実用できました。
感度が低くても、ストロボのパワーを落とすのに苦労していました。小光量のモノブロックタイプを 1/4 以下に落とします。開放近くの絞りだと、このくらいでちょうどです。
こういう撮影の仕方は、いまのデジイチでは難しいと思います。光源を変えるか、ND フィルターを使うかしかないでしょうね。
低感度はフィルムの勝ち! (手に入るうちは・・)
2010/09/02(木)高感度化による露出の自由度
撮影途中で感度を変えるのは、フィルムではできない芸当でした。フィルムを入れ替えるしかなかったからです。それとも、それまで撮影したカットをボツにするかです。(シートフィルムは別)
デジカメは、撮影ショットごとに感度が変えられるだけでなく、自動的に感度をシフトすることもできます。初心者向きの機能ですが、絞りとシャッターを固定しておいて、感度で露光を変えることも理論的には可能です。
「今日は 28mm のレンズで 1/250 秒・ F11 で撮る」と決めて、撮影することもできるはずです。(マウントアダプターを介してつけた場合、実際にそうなる機種もあるとか・・)
実際には、ISO 感度の変更は、シャッター速度のように無段階ではないだろうから、ドンピシャの「適」とはいきませんが、そのうちそういう方式のカメラが出てくる可能性はあります。(絞りもシャッター速度も固定のトイカメラだったりして・・・)
感度で露出が稼げる場合はいいとして、では 1/125 秒・ F1.4 に固定して撮るとなると、不都合が生じます。明るい場所では露光オーバーになってしまいます。
F1.4 に拘るなら、シャッター速度を上げるとしても、1/1000 秒程度ではまだ明るすぎます。デジカメは、高感度には強くなりましたが、そのぶん低感度を犠牲にしている機種が見受けられます。
感度が変えられるといっても、デジカメの元々の感度は1つしかありません。あとは電気的に増幅しているだけです。無理に感度を上げればノイズが増えるし、無理に感度を下げても画質が落ちます。
感度の変更はデジカメのお家芸ですが、曲芸みたいなもんです。絞りとシャッターを固定して・・というのは、横着な撮り方でしょうね。
2010/09/01(水)デジタル画像処理で増感
デジタル写真でも同様の技法が使われています。冷却 CCD カメラを使い、3色分割露光で撮影した画像を合成するときに、RGB 各色ごとに数枚の画像を重ねます。画質が飛躍的に向上します。
このやり方は、一般撮影でも通用しそうです。動かない被写体には有効です。長時間露光はノイズが増大するので、無理な露光はせずに、カット数を多くして合成する方法です。
そこまでして写す必要のある被写体かどうかが問題ですが・・・
デジカメの黎明期には、暗い場所での撮影はフィルムのほうが有利とされていました。無理に感度を上げると、コントラストのないザラザラの画面になってしまいます。
ところが、最近のデジカメは、高感度でも結構写ります。フィルムの限界よりも高い ISO 6400 とか ISO 12800 という超高感度での撮影が可能になりました。
さすがにそこまで感度を上げると、ノイズの発生が気になりますが、見られないほどではありません。高感度フィルムでも増感現像で上げられる感度は、ISO 3200 くらいが限度です。ISO 6400 以上で、一応見られる画像が得られるのは、驚異的なことです。
デジカメの高感度化は、撮像素子の改良と、ノイズリダクションなど画像処理エンジンの進化が牽引役です。デジタル画像は、カメラ内部で「現像処理」されるので、増感技術がモノを言います。
今後は、裏面照射型センサーの導入と相まって、さらに高感度化が進むと予想されます。高感度では、デジタルはフィルムの画質を超えたようです。