2017/12/06(水)低価格 PoE カメラの落とし穴

 単体で売られている IP カメラには、内蔵の SD カードに録画できるものがあります。先に届いたドーム型カメラは、SD カードに対応してないタイプです。天井や軒先など高いところに設置する前提だから、いちいち SD カードを取り出すのは大変です。なくて正解ですね。

 カメラ単体で録画できないということは、レコーダー(NVR)につなぐか、LAN 上のハードディスク(NAS)に録画するか、どちらかになります。パソコンを使う手もありますが、PC を常時起動しておくのは非効率です。セキュリティー上の問題があるし、電気代もバカになりません。まずは手元にある NVR につないで動くかどうかテストすることにしました。

 カメラの IP アドレスが固定されているみたいで、ルーターにつないでも自動的に認識されませんでした。外箱のシールに IP:192.168.1.18 の記載があります。ルーターとはネットワークセグメント(3番目の数字)が違うので、このままではカメラにアクセスできない状態です。

 ほかに固定 IP の機器はないので、ルーターの IP を変えて対応しました。ブラウザでカメラの IP を打ち込んでアクセスし、設定を変えます。例えば DHCP を有効にすると、ルーターが自動的に IP を振ってくれるようになります。固定 IP でよければ DHCP は無効のままにしておけばいいでしょう。

 このドームカメラは PTZ のほかに、LAN ケーブルで電力が送れる PoE 機能がうたい文句です。カメラの箱に PoE セパレーターという部品が同梱されていました。LAN ケーブルで送られてきた電力をイーサネットケーブルと電源コードに分離するパーツです。「外部 PoE」というやつですね。早い話が、PoE 非対応のカメラでもこのパーツを使えば PoE 風に使えます。

 パワー・オーバー・イーサネット(PoE)には IEEE802.3af と IEEE802.3at の2つの規格があって、どちらも 48V 程度の高めの電圧で電力を供給します。一般的な IP カメラの電源は 12V です。高めの電圧(48V)で直接つなぐことができるのを PoE カメラというのが正式です。このドームカメラは 12V で動く仕様なので、普通の IP カメラです。同梱のセパレーター(写真の上)が 48V 入力、12V 出力になっているだけの話です。(PoE カメラじゃないじゃん)

PoE セパレーター

 手元の PoE NVR につなげてみました。まったく動きません。DC 12V の AC アダプターではちゃんと動いていたのに変です。ひょっとして NVR のほうが正式な PoE じゃないのかも? そんな疑念が頭をよぎったので、試しにパッシブ式のセパレーター(写真の真ん中)につないでみました。テスターで測ると出力側の電圧は 12V です。パッシブ式というのは、送られてきた電圧でそのまま出す方式だから、LAN ケーブルから送られてきたのは 48V じゃなくて 12V ということになります。(あちゃ!)

 パッシブ式のセパレーターを使ったらカメラが動きました。IP アドレスなどを手動で設定すると画像も表示されます。NVR 側の PTZ コントローラーも使えます。この状態なら不都合はなさそうです。問題は入れ替えで外したカメラの使い道です。他社の PoE NVR には使えない可能性が大です。購入した業者に問い合わせてみました。すると… (次回に続く)
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