2008/05/16(金)TIARAの兄弟はアウト
TIARA/TIARAⅡが28mm F3.5の単焦点なので、ズーム付のほうが便利なように思いがちですが、どっこいそうはいきません。
理由は、56mmの最短撮影距離が0.6m、それ以外の焦点距離では0.8mになっている点です。28mmで最短撮影距離が0.8mというのは、いただけません。TIARA/TIARAⅡは、最短撮影距離0.35mです。
広い景色を撮るのが目的なら、最短撮影距離はあまり問題ではありませんが、広角レンズの醍醐味は、近距離撮影にあります。TIARAで35cmにピントを合わせて撮る機会は多かったですね。
常時発光のストロボと、周辺画像の乱れ+周辺減光で、一種独特の写り方でした。VELVIAを詰めて撮った写真は、実にシュールでしたね。ズーム付には、この楽しみはありません。
TIARA IXというのもありました。APS判のTIARAです。このカメラが出たときに、メーカーのひとは、「画面の隅までシャープな描写」と自慢げに言ってました。135のTIARAよりも良く写るというフレコミです。
「TIARA愛用者としてもう1台どうですか」と、しつこく勧めてましたが、画面の隅までバッチリ写るようなカメラは、ティアラじゃありませんね。「本当に隅までシャープに写るんですか?」と聞き直したら、胸を張って「そうです!」との返事。「じゃあ、要らない」と言うと、変な顔してました。自社カメラの人気の秘密をよくわかってないようです。
TIARA IX ZOOMという機種もありました。言っちゃあ悪いけど、135単焦点のTIARA/TIARAⅡ以外は、私には用のないカメラですね。
2008/05/15(木)ティアラの露出
私のほかにも愛用者が多いみたいで、検索するとインターネット上で記事がたくさん出ています。ほとんどが写真愛好家かカメラ好きのひとですね。
写り具合は皆さん高い評価をしていますが、カメラ自体のスペックには多少不満があるようです。ニコンやコンタックスのコンパクト高級機にあって、ティアラにない機能は多いですからね。
露出補整が+2の逆光補整しかない点を挙げるひとは結構います。リバーサルを愛用しているひとなら、不満だと思います。コンパクトカメラでも高級機には細かい露出補整機能がついてます。TIARAは普及機ですからね。
使っているうちに、露出補整を自動的にやる方法を見つけました。ピントを合わせたところの露出を拾っているようなので、どこにピントを合わせるかで、露出を変えることができます。
例えば、トンネルの入口付近から外を撮る場合は、トンネルの壁にピントを合わせたときと、外の景色にピントを合わせたときで、まったく違う写真になります。
壁にピントを合わせると、外の景色は露光オーバーで明るく写ります。外の景色にピントを合わせると、景色に露出が合ってトンネル内部は暗く写ります。賢いカメラです。
リバーサルフィルムで撮影しても、まずまずの露出です。適から外れは36EXのうち2-3コマですかね。一眼レフでヘタな補正をするよりマシ…といった感じです。3段階露光なんて芸はできないので、1本のフィルムでたくさん撮れます。
結婚式でも活躍しました。もちろんネガを使います。ISO400以上の高感度フィルムなら、スローシンクロにしておけばバッチリ写ります。
一眼レフに望遠系ズームをつけているときなんかは、重宝します。28mmクラスのワイドレンズは、使う機会が多いですからね。
欠点は、スローシンクロにすると、強制的に赤目軽減モードになってしまうことです。
親戚の叔父さんは律儀なひとで、プレ発光で写ったと勘違いして、すぐにお辞儀をしてしまいます。何回撮り直してもお辞儀をするので、結局、ハゲ頭しか写りませんでした。
こういうところは、素人向きの普及機ですね。
2008/05/14(水)FUJIのティアラ
最初のTIARAが発売になったのは、1994年の暮れでした。28mm F3.5の単焦点レンズを搭載した、掌サイズのアルミボディーのカメラです。ご家庭用のカメラはズームレンズ搭載が当たり前なので、マニアックな部類に属します。
リバーサルフィルムで撮れるというのが、発売当初の売り文句でした。写真愛好家が携帯用に買い求めることが多かったようです。
価格は定価ベースで\35,000ですから、Nikon 28TiやCONTAX T2などのコンパクト高級機よりもかなり安いですね。安くても玄人好みのする写りに定評がありました。私も愛用しています。
1号機のTIARAは何十本か撮ったところで壊れてしまったので、すぐに後継機のTIARAⅡを買いました。そのくらい捨てがたいカメラです。
搭載のSUPER EBC FUJINON 28mm F3.5レンズは、画面の隅までシャープに写る優等生のレンズではありません。カメラ毎日のレンズ白書がまだ出ていたなら、「周辺ダダ落ちの普及型レンズ」という評価になったかもしれません。
とくに開放近くでは、周辺にいくほど画像が甘く、光量低下も目立ちました。中心部はコントラストのよいメリハリのある描写で、この落差が玄人好みの写真写りになったわけです。
ストロボが常時発光する・・というのもミソでした。ただの日中シンクロではなく、ストロボ光が1絞り分弱く当たるようにプログラムされています。一眼レフで、ストロボを弱めに焚いて補助光にするテクニックと同じです。この効果は絶妙でした。
初めは「こんな素人のカメラなんか・・」とバカにしていたプロの先生方も、「アンタがそんなに言うなら・・」と買った途端、とりこになってしまいました。写りも玄人好みだし、ストロボの効き具合も絶妙です。
「ストロボの効かせ方は参考になったよ」なんてプロもいましたね。