2008/06/06(金)写真集の「寿命」
人気上昇中の写真集ですが、その「寿命」はそんなに長くありません。画像の退色・劣化というよりは、画像の価値が時間とともに風化していくからです。
いつの時代にも流行があります。いま持て囃されているブライダルアルバムも例外ではありません。製本の体裁や画像の編集デザインは、時代とともに変わっていきます。
初期のころは、ページ全面に複数カットの写真を組み合わせただけで、新鮮な印象を受けました。きちんと製本された体裁のいい写真集は、珍しかったですね。ほとんどが手作りの1点ものでした。
手作りの時代は、写真の出力は印画紙かインクジェット(または昇華型)でした。印画紙は、湿気に弱く写真同士がくっついてしまいます。インクジェット出力は、染料インクだと退色が早く、顔料インクだと擦れに弱いという欠点を持っていました。
表面ラミネート加工をしなければならないので、手間とコストがかかります。高級なラミネート素材だと、プリント価格より高いものもありました。業務用の液体ラミネートは、コストは安いがホコリに弱いという問題を抱えていました。
オンデマンド(少量)印刷の技術が進んで、ブライダル写真集の主流は、プリント出力から印刷にシフトしています。コストも安くなりました。
何十年も保存しておく記念写真と違って、写真集に対する価値観の寿命がそれほど長くないことに気付きはじめたのも後押しの要因です。
写真プリントの製本から印刷物に移行することで、コストダウンが進み、誰でも手にすることができるようになりました。欲しかったけど諦めた・・というひとは少なくなりましたね。
単価が下がっても利用するひとが増えれば、総体的に売上アップにつながります。写真集の製作に参入する業者は、もっと増えるでしょうね。
2008/06/05(木)画像処理ソフト
業務用は、10万円くらいするので、アマチュアが使うのは「道楽」に近いですね。
中国では、著作権に対する意識が低いこともあって、若い世代で業務用のPhotoshopを使っているひとは結構いるようです。コピー版はタダ同然ですからね。腕を磨けば収入が見込めるので、Photoshopが使いこなせる若者は、日本よりもはるかに多いと聞きました。
ブライダル写真集のテンプレートにデジタル画像をはめ込むだけなら、普及版のPhotoshopの機能で十分です。逆に、業務用のPhotoshopの機能を使いこなせるひとは少ないし、そこまでの機能も必要ない場合が多いですね。値段が10倍も違うことを考えると、普及版を使いこなすほうが得策です。
RGBごとのトーンカーブをいじるなんて芸は、それなりのモニターを使っていて初めて生きる技です。激安のニッキュッパの液晶モニタやノートパソコンを使っていたのでは、シビアな色補正は難しいでしょうね。
「弘法筆を選ばず」じゃないけど、ある程度修行を積んだひとなら、安物の液晶モニタでも色補正ができないわけではありません。モニタの色を見ているのではなくて、RGBの数値で色の偏りを判断しているようです。
ちょうど、耳の聞こえなくなった晩年のベートーベンが、ピアノを弾きながら作曲するようなもんですね。
画像ソフトで色補正なんて夢のまた夢・・というひとは、外注加工か自動補正機能に頼るしかないかもしれません。
それでも、カラーバランスと明暗くらいは、自分の判断で補正できるよう、チャレンジして欲しいですね。
2008/06/04(水)画像データは世界を駆け巡る
ブライダル写真集の画像処理を海外で行なう業者は、増える傾向にあります。若年労働力のコストが安いことが魅力のようです。ブライダルフォトの編集は、若い世代が一番向いてますからね。
問題は、仕上げの丁寧さが足りないことだ、という話を聞きました。
国民性も関係しているようですが、仕事は早いが仕上げが粗い・・とか、繊細さやセンスに欠ける・・とか、日本人から見ると不満もあるようです。当然NGになるわけですが、人件費が安いので何度でもやり直しができます。
何度もやり直しているうちに、段々要領がわかってくるかもしれません。現実に、結婚式場で頼んだ写真集で海外編集のものは結構あると思います。ブライダル業界の奔流は、仕上りよりも利益率重視ですからね。
結婚式の記念に写真集を作る風習は、日本よりもアジア圏の他の国のほうが早かったように思います。いま流行っている新興勢力の写真スタジオは、台湾や韓国の写真館を模倣したところが多いですね。
披露宴よりも記念写真にお金をかける風潮は、日本とはかなり違います。写真に対する価値観の違いかもしれません。20年以上も前に、台湾の結婚式では写真に百万円以上かけることも珍しくない・・という話を聞いたことがあります。
日本国内でも、写真にお金をかける地域が一部にあるけどね。
中国は急速な経済発展で、富裕層が急増しています。もともと写真に対する価値観が日本よりも高い国なので、この富裕層を狙って中国に進出する日本の写真関連企業が増えています。
華僑発祥の国ですから、返り討ちに逢わなければいいけどね。