2009/09/06(日)ハーフ判の一眼レフ
すぐに名前が出てくるのは、京セラの SAMRAI シリーズですが、実はこのカメラは135ハーフサイズ(24x18mm)ではなくて、135シネサイズ(24x17mm)です。35mm映画フィルムと同じコマサイズでした。
たった 1mm の違いなので、ネガキャリアもスライドマウントもハーフサイズ用を使いました。ハーフ判という分類は、あながち間違いではないと思います。
決定的に違うのは、フィルムをムービーカメラと同じ縦送りにしたことで、普通に構えると横位置画面になることです。縦位置画面が基本のハーフ判カメラが抱えていた「欠点」をうまくクリアしていました。
もう1機種あります。コニカ FT-1 Motorプロハーフ です。FT-1 Motor の限定バージョンとして、ごくわずか作られました。
135SLRと同じボディーなので、普通に構えると縦位置画面になります。常識的に考えて、売れるカメラではありませんが、一部で需要がありました。学校写真です。
卒業アルバムを開くと、集合写真のほかに生徒全員の顔写真が載っています。証明写真みたいな撮り方です。135フルサイズだと、1クラス37人以上の場合はフィルム1本に収まりません。目つぶりのロスを考えると、せいぜい30人までです。
コニカ FT-1 Motorプロハーフは、普通に構えて縦位置画面です。証明写真にはピッタリでした。しかもカット数が2倍になるから、1本のフィルムに1クラス全員を収めることができます。
現在では、こうした顔写真はデジタルカメラで撮影するのが主流です。FT-1 Motor は、前時代的なカメラとして、忘れ去られる運命にあります。
一方、ペンFと SAMRAI は、デジタル時代の一眼レフに継承される可能性があります。京セラがカメラ事業から撤退していなければ、動画対応の「デジSAMRAI」として復活していたかもしれませんね。
ペンFは、PEN E-P1 として「復活」しました・・と言っても外観だけです。20本近い交換レンズ群を擁し、各社一眼レフを向こうに回して善戦したペンFとは、格が違います。
2009/09/05(土)ペンFの魅力
実は、OLYMPUS PEN-F は購入候補の筆頭でした。中学生のころから天体写真をやっていて、ハーフサイズを選択するメリットがあったからです。
木星や土星のような惑星は、アイピースで拡大しても小さな像にしかなりません。135フルサイズのフィルムだと、ほとんどが無駄な空間になります。その点、ハーフサイズはカット数が2倍稼げます。縦位置・横位置も関係ありません。
写真部の先輩は、「フォーマットが半分しかないから画質も半分だ」と、PEN-Fには冷たい評価でした。同じ種類のフィルムを使った場合は、それも言えています。この先輩は、最後までペンFの購入には批判的でした。
ワイド側に弱い交換レンズ構成だったのもマイナス評価でした。一番広いレンズは 20mm F3.5で、135フル換算だと 28mm です。面積が半分だから、実質的な焦点距離は 1.4倍になります。(ルート2ですね)
一方、望遠側には強いカメラでした。フランジバックが短いので、各社一眼レフ用の交換レンズが、マウントアダプターを介して取り付けることができました。135mmは 190mm相当になります。
このあたりは現在の APSC デジイチと似てますね。
PEN-FT になって、TTL露出計が内蔵されました。ハーフミラーを使い、開放測光ができる独創的な機構を採用しています。
指針の示す数字と絞りの数字を合わせれば、適正露出が得られます。F値ではなく、TTLナンバーという数値を使っていました。0、1、2、3・・・という整数値です。
絞りリングをグルリと回転させれば、F値表示にすることも可能でしたが、Fナンバーは、どこか素人っぽい印象があって馴染めませんでした。
最高シャッター速度は 1/500秒までです。普及機のスペックですが、独自のロータリーシャッターの採用で、ストロボが全速同調できました。フォーカルプレーン機としては特異な存在です。
ただ、当時のストロボは光量が弱く、価格も高かったので、このメリットは いまほど評価されませんでした。ホットシューはまだ装備されておらず、アクセサリーシューをファインダーアイピース枠に差し込んで取り付けます。
このアイピース枠が弱くて、シューをつけたために枠を欠損するトラブルが多かったように記憶しています。
悩んだ末に、135フルサイズの一眼レフを購入しましたが、社会人だったらサブカメラとして買っていたと思います。ペンFが名機であることに異存はありません。
2009/09/04(金)ミラーレスの「一眼」
デジカメは、撮像板の画像をリアルタイムで表示できます。ライブビューという機能ですが、それを「一眼」というなら、コンパクトタイプのデジカメも「一眼」には違いありません。
E-P1 を「一眼」と呼ぶのは、どうやらレンズ交換ができるから・・というのが根拠のようです。
カメラには「二眼レフ」というジャンルがありますが、ライカM7を「二眼」という人はいません。眼が一つか二つかではなく、ファインダーの構造を表わした言い方だからです。
そういう意味では、ライブビューできるデジカメは、すべて「一眼」です。マイクロフォーサーズだけが「一眼」を名乗るのは、どう考えても不自然です。
普及が一巡して伸びの止まったコンデジに対して、一眼レフはまだ成長が見込めます。無理やり「一眼」の仲間に割って入ることで、最軽量コンパクトという話題性を獲得しようという、メーカーの思惑が透けて見えます。
「一眼」という概念には自分も含まれる・・という言い分でしょうが、DSLR(デジタル・シングルレンズ・レフレックス)だったら、E-P1 は対象外です。最小最軽量とはなりません。
E-P1のような、一眼レフでないレンズ交換式のデジカメは、面白い存在だと思います。愛用のCONTAX G2がデジタルだったら・・と思うことがあります。G1/G2の実像式ファインダーはよくできていますが、パララックスの問題はクリアされていません。
デジタルならライブビュー機能で、一眼レフみたいな使い方が可能です。
それでも、こうしたミラーレスのカメラを「一眼」と表現するのは、誤解を招く原因になります。現に「一眼レフ E-P1」で検索すると、E-P1 を「一眼レフ」としているサイトが結構あります。カメラの知識がないひとや商魂たくましいサイトは、安易に拡大解釈(曲解?)している実態が見てとれます。
長年にわたって培ってきた「一眼」の概念を我田引水で利用するのは、往年の名機 PEN-F の名を汚すことになるのでは?
デザイン的にはよく似ていても、PEN-FとE-P1は、まったくの別物です。