2016/11/12(土)琥珀にんにく作りに挑戦

 黒ニンニクが健康によいと評判です。「黒ニンニク」という品種があるわけではなくて、普通の白いニンニクを自己発酵で熟成させると黒いニンニクが出来上がります。

 独特の臭いがなくなるだけでなく、ポリフェノール類などの有効成分が生の状態よりも数倍増加するのが特長です。青森産などの6片種だと、ひとかけらでまるまる1個分の有効成分が摂取できる勘定です。

 ニンニクは熟成が進むと、茶色からチョコレート色に変わりながら、最後は真っ黒になります。茶色の状態はまだ未熟なのですが、このときのほうが抗酸化効果がある S-アリルシステインの含有量が高いという話もあります。

 これは青森県の製法特許で「琥珀にんにく」のブランドで市販されています。普通の黒ニンニクの製造過程の途中でできる茶色のとはちょっと違うみたいですが、作り方は「内緒」なんだとか・・・

 「約360時間(2週間)じっくりとていねいに低温熟成させて完成した」というから、炊飯器の保温モード(70~73 度)よりも低い温度だと推察されます。炊飯器の保温だと 10 日から2週間で黒ニンニクになります。これは自分で実際にやってみて実証済みです。では、いったい何度なんでしょうね。

 ネットでググって調べたところ、あるシェフが冷凍後のニンニクを冷蔵庫で長期保存したらオレンジ色のニンニクができた、という話がありました。これをヒントに特許を取ろうという記事です。

 -11 度以下で1ヵ月冷凍保存したのち、10~11 度で2か月保存すると、オレンジ色のニンニクが再現できたと言います。冷凍は根止めのための工程だそうです。でも2週間じゃなくて2か月だから、「琥珀にんにく」の製法とは違うみたいです。

 別の特許案件によれば、黒ニンニクは温度が 55~80 度、湿度が 70~95% の範囲であればできるそうです。黒ニンニクを作ること自体は特許でも何でもなく、その後の加工技術が特許の対象です。

 ということは、2週間熟成させて琥珀色になるのは、最も低い 55 度あたりがアタリ(ヘタなシャレ!)かもしれませんね。55 度未満では腐敗やカビが発生する危険性があるし、80 度を超えるとアリインをアリシンに変える酵素(アリイナーゼ)が分解してしまいます。(ちょっとは勉強したでしょ)

 実際にやってみることにしました。家庭用冷蔵庫の冷凍室は -20~-18度です(雑菌が繁殖しない -15 度以下と決められている)。そこで1ヵ月冷凍保存しました。これで発根と発芽はしないはずです。

 次に 55 度で2週間「低温熟成」させます。ペルチェ素子を使った小型冷蔵庫の保温モードを利用します。ニンニク全体を新聞紙でくるみ、湿度の調整はお皿の水を出し入れしながら調節しました。これが結構シビアで面倒です。

 温度と湿度を計測する装置は、ネット通販でゲットしました。温湿度計の精度や誤差よりも測る場所が問題です。最初は新聞紙の中に計測端子を突っ込んでいましたが、途中から庫内の中ほどに変えました。

 初日のうちに保温庫から臭いが洩れてきて家内がブチリ始めたので、室内からペランダに移動しました。戸外に出しても庫内の温度は 55~56 度で安定しています。問題は湿度ですが、70~90% の範囲内に収まるようにコントロールすれば問題ないでしょう。

 炊飯器を使った黒ニンニク作りで失敗談をよく目にするのは、たぶん湿度の調整がうまくいってない(というか湿度を気にしていない)からだと思います。70 度前後の温度であれば腐敗やカビの心配がない反面、湿度が足りないと乾燥してしまいます。

 実際には 55 度で熟成させるつもりなら冷凍保存して根止めする必要はないと思います。いったん冷凍したニンニクを解凍するとフニャフニャになってしまいます。冷凍せずにいきなり熟成させたほうがいいでしょう。

 今回冷凍したものを使ったのは、10~11 度で2か月間冷蔵保存するつもりで、すでに冷凍庫に入れてあったからです。そのうちの半分を 55 度での実験に使うことにしました。季節はこれから冬。外の温度が 10 度を下回ると、冷蔵庫内を 10~11 度に維持するのが難しいので、温める方を先にしたわけです。

 冷蔵保存は同じ温冷蔵庫を使って、春になってからの予定です。どういう結果になるか楽しみです。(実験結果は後報)
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