2022/02/27(日)ゼロ SIM の長期継続は無理

 もうずいぶん前になりますが、パケット量が一定量を超えなければ利用料が発生しない「ゼロ SIM」というのがありました。SONY 系モバイル会社の格安プランです。パケット量が 500MB までは基本料金ゼロ円が売りでした。

 500MB を超えると 100MB 単位で課金されるシステムでしたが、大半の利用者がゼロ円に固執したためサービス停止に追い込まれました。最後は、ネット視聴をするに堪えない速度まで追い込まれ、悲惨な状態となりました。結末はサービスの終了です。

 利用者が費用を負担しないと、キャリアから借りる回線数に制約がかかります。貧すりゃどんすで回線速度が低下して、安かろう悪かろうの悪評が立ち、最後は頓挫してしまいます。

 そのゼロ SIM に近いサービスがあります。楽天モバイルのプランです。1GB までは費用が発生しないゼロ SIM が売りです。果たして大丈夫でしょうか?

 結論から言うと、楽天のゼロ SIM は大丈夫です。なぜなら、最後までゼロ円を貫く可能性がないからです。事情が変わったからと、途中でゼロ円を撤回する公算が大です。

 楽天には前科があって、謳い文句と運用システムが途中でころころ変わるのが常態です。ネット上のモールがスタートしたときは、最初は初期投資5万円だけで済むと勧誘しておきながら、後になってから出店者は追加の出費を余儀なくされました。

 のちに追加された楽天ポイントのときもそうです。自分では何も負担しないのに、出店者にポイント分の負担を強要しました。消費者が使っても使わなくても、付与したポイント分の費用は出店者の負担です。送料無料を打ち出したときもそうでした。(とうとう公取まで登場)

 日常はほとんど通話しないケータイの契約を維持するために、月々千円ちょっとの費用を負担しています。こういう生活形態の人間にとって、使わなければ費用ゼロの楽天のプランは魅力的です。

 でも私は利用しません。すぐ次のステップが見えているからです。それまで利用できるものは利用すればいい、という考え方もあります。でもそんな気になれないのは、ゼロ SIM は客寄せの疑似餌であり、砂上の楼閣でしかないからです。

 「マイそく」は楽天モバイルとの併用で生きるという指摘があります。平日昼間の利用を楽天モバイルの 1GB 以下で抑えられれば、速度制限をかいくぐって 24 時間パケ放題が実現できます。

 政府の旗振りでキャリア傘下の MNO が格安プランを打ち出すようになりました。 価格訴求で切磋琢磨してきた MVNO は窮地に立たされています。mineo の新プランはそれにあがらう施策なのかもね。

2022/02/26(土)本音丸出しの「マイそく」いかに

 通信が混み合う昼間を避ければ夜間がパケ放題になる「夜間フリー」の話をしたところで、mineo から新プランの発表がありました。「マイそく」という名のパケ放題プランです。

 通話機能と通信速度 1.5Mbps のパケ放題がセットで、なんと月額 990 円という激安プランです。ただし、混み合う平日の昼間(12:00~13:00)だけ通信速度が 32kbps に制限されます。

 メールや通話は通常通りできますが、ネットサーフィンは無理でしょう。1時間だけ我慢すれば、あとの23時間は使いたい放題という本音丸出しのプランです。

 これならいくらユーザーが増えてもキャリアから借りてる回線数を増やさずに済みます。考えましたね。新規の投資なしに音声通話の契約を増やせます。

 混み合う時間帯は昼休みだけじゃないから、契約が殺到すれば多少の投資は要るでしょうが、様子を見ながら徐々にすればいいことです。衣の下から鎧(本音)がバッチリ見えた感じです。

 パケ放題 Plus と同様、3日間で 10GB の使用量制限があります。超過すると「マイそく」の場合は 200Kbps じゃなくて 32Kbps にダウンします。丸一日使えないのと同じですね。

 そんな時は 330 円払うと 24 時間だけ LTE(4G) 回線の速度でパケ放題になるそうです。(完全に足元を見られてる)

 385 円のパケ放題 Plus であまりパケット量を消費しては悪いかなと、引け目を感じてましたが、今回の新プランの発表でそんな迷いは吹き飛びました。

 けだし、「ゆずるね。宣言」で昼間の利用を控えている分には、パケ放題や夜間フリーでいくらパケットを使っても遠慮することはない、ということです。

 ちなみに「マイそく」には 3Mbps でパケ放題のプランもあるそうです。こちらは月額 2,200 円。平日の昼間(12:00~13:00)が 32Kbps に制限されるのは同じです。果たして高いのやら安いのやら。評価は使う人によるかもね。

 「マイそく」のほかにも「パスケット」なるオプションが発表されました。フリータンクと違い、自分用の貯金箱に余ったパケットを貯めておいて必要な分だけ引き出せる仕組みです。月額 110 円。

 フリータンクじゃ売上にならないから、個人用のタンクにしてお金を取ろうということですか。

 お金を取るからには余ったぶんが自動的に貯まるようにしないと……なんて、早速突っ込みの書き込みがありました。(言えてる)

2022/02/24(木)パケット消費の実態が見えてきた

 ケーブルテレビ会社のブロードバンド回線が停止して、1ヵ月ちょっと経ちました。いまは緊急的にスマホのテザリングでしのいでいます。基本契約は 3GB。これでスマホ本体とデスクトップ PC のパケット量を賄うのには無理があります。

 たまたま利用していたのが mineo のフリー SIM だったので、通信速度 1.5Mbps のパケ放題 Plus を申し込みました。パケット量が足りないときは、節約モードにすれば通信速度は遅いもののパケット量を気にせず利用できます。

 MVNO と呼ばれる格安通信会社は、キャリアから回線を借りて運営しています。設備投資がないぶん低価格で提供できる代わりに、混み合う時間帯には通信速度がかなり落ちます。とくに通勤や退社後の時間帯と昼の休憩時間帯は、利用者が急増して混み合います。

 混雑時に何らかの特典を付与して利用者数を抑制できれば、通信速度の低下を緩和することができます。キャリアから借りる回線数を無理して増やさなくても、一定程度の通信速度が維持できます。

 この点に目をつけて、mineo では「ゆずるね。宣言」という仕組を作りました。平日の昼間(12:00~13:00)の利用を控えると特典が付与されます。5回目と 15 回目に 100MB のパケットがもらえます。それよりも魅力的なのは、10 回目でもらえる「夜間フリー」の特典です。

 深夜(23:00~7:00)の通信が 4G(LTE) の速度のままパケットの消費なしで利用できる特典です。しかもこの時間帯の使用量は制限なしというから、大盤振る舞いもいいところです。

 それだけ深夜の利用者が少ないということですね。キャリアから借りる回線数は昼夜一定だから、すいてる時間帯は使いたい放題にしても速度低下の心配がありません。

 MVNO の本音と利用者の要望が、利用時間を調整することで結実した形です。一定量で流れる水量を効率よく分け合えば、潤沢に利用できる原理です。

 パケ放題 Plus と夜間フリーで使ったパケット量は、原則フリーだから残容量はそのままです。そこでスマホ本体の設定から「データ使用量」を確認したら、今月は 12GB を超えていました。

 基本契約の 3GB を大きく超えています。先月は 5.7GB でした。パケ放題 Plus は有料オプションだから、パケット量をそれなりに消費してもいいわけですが、あまりに多いと気が引けます。

 今月はたまたま OS のアップデートが多かったせいかもしれません。もう2~3ヵ月使ってみて、「データ使用量」が常時 10GB を超えるようなら、基本契約を見直すつもりです。

 やり繰りして費用を節約するのもいいけど、アンバランスな利用は市場全体の均衡を歪めます。ちなみに 10GB 以上の契約はパケ放題 Plus が無料で付いてきます。一考の余地ありです。
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