3D写真の落とし穴2011/06/16(木)
身近になった 3D 写真ですが、何でも 3D で撮ればいいかというと、そうでもなさそうです。
まず、遠景は 3D 効果がほとんどないので、立体化する意味がありません。風景写真の場合は、近くに何かないと 3D 効果はほぼゼロです。
作画の第一義は、どうしたら立体的に見えるか・・になりがちです。近景・中景・遠景と、奥行き感のある構図は風景写真の基本だから、それはそれでいい訓練にはなりますが・・・
物が立体的に見えるのは、人間の目が二つあるからです。自然な立体感は、人の遠近感に近くないと得られません。レンズの焦点距離は、135 フル換算で 50mm 前後となります。
カメラのレンズには、超広角から超望遠までありますが、3D に拘ると利用できるレンズが限定されます。映像表現の幅が狭くなるのは辛いですね。
網膜は凹面状の曲面になっていて、遠近感はそのままで、かなり広い範囲を見渡せます。目が横に二つ並んでいるので、横に長いワイドな視野です。しかも目は自由に動かせます。
フィルムやイメージセンサーは平面だから、遠近感を重視すると狭い範囲しか表現できません。人間が主に見ている部分を切り抜いて立体化することになります。
こうした制約を考えると、写真をすべて 3D で撮ろうというのは、あまり賢明な選択でないのがわかります。
FinePix 3D W3 は、3D と 2D を切り替えて撮影できますが、ズームレンズの焦点距離は、135 フル換算で 35-105mm と控え目です。それでも 2D を考慮して、欲張ったほうだと思います。3D だけなら 40-80mm が無難なところでしょう。