2010/09/30(木)期限切れのT64
レッドが浮いて、フィルターではどうしてもクリアできないと言っていました。一旦インプットされてしまうと、もういけません。「フジのタングステンはダメだ!」と、それっきりです。たまたま運悪くハズレの乳剤に当たったんだと思いますが・・・
それでも捨てようとしないのが、この人のしぶといところです。期限切れになればカラーバランスが崩れます。それが生かせる使い道がある、と言います。
もともと色がズレていたから、まともな発色になるのか、それともさらにバランスが崩れるのかは不明です。どちらに転んでもそれなりの利用法がある・・という考え方です。
いままでに期限切れのフィルムで、何度も窮地を乗り越えてきました。光源が入り混じった環境だと、フィルターワークで補正しきれないことがあります。カラーバランスが崩れたフィルムのほうが、補正しやすい場合があるんだとか・・・
「あの期限切れがなかったら撮れなかった」という話をよく聞かされました。「もう一度同じ撮影をと言われたら、3年は待ってもらわないと・・」なんて冗談も・・・
タングステンタイプの T64 は、135 以外は生産終了になりました。冷蔵庫の中の期限切れは、ますます貴重な存在になりそうです。
2010/09/29(水)CDUⅡは製造中止
かいつまんで言うと、超軟調のリバーサルフィルムです。デュープを繰り返しても、原板の諧調を損なうことなく複製できるのが特徴です。
タングステンタイプで、ISO 感度は一桁です。しかもプレフィルターで光源補正する必要があったので、一般ユーザーには扱いにくいフィルムでした。
当然、風景などの撮影には不向きです。メーカーサイトにも「写真撮影には向きません」と謳ってあります。ところが、桜のシーズンになると、この特殊なフィルムの需要が上がりました。目的は夜桜の撮影です。
夜桜のライトアップは、多くはタングステン照明です。感度は低いものの諧調が滑らかなので、ライトの当たった部分が白トビしにくい特徴がありました。
シアンとイエローのプレフィルターを省略すると、マゼンタがかった独特の発色となります。シュールな画創りが楽しめるのが魅力でした。
実際にこのフィルムを使って、夜桜をきちんと写した写真に、お目にかかったことはほとんどありませんでした。長時間露光に強いタングステンタイプとはいえ、相反則不軌の問題があります。ISO 感度が一桁では、アマチュアには荷が重かったと推察します。
CDU Ⅱのほかにも生産終了になったリバーサルフィルムがいくつかあります。トレビ 100C は、プロビア 100F のアマチュア向け廉価版で、135 だけ供給されていましたが終了です。
タングステンタイプの T64 は、135 だけ残してやめてしまいました。コダックも EPY の供給を昨年末で打ち切っています。コマーシャルでの需要が激減したからでしょう。
2010/09/28(火)複写が一番難しい
プリントや絵画の複写は、元の原稿が百点満点です。百点以上はないから、いかに減点を少なくするかが腕の見せ所です。
まず、水平垂直とセンターがきちんと出せることが条件です。あとはライティングですね。均質な照明は、立体的なライティングよりもシビアです。
複写に使う媒体の選定も結果に大きく影響します。原板のサイズをどうするか、フィルムの種類は・・・
銀塩全盛時代には、原板のデュープには専用のデュープリケーティングフィルムを使っていました。こちらはプロラボの仕事です。
反射原稿の複写は、普通は市販品を使います。複写すればコントラストが上がり、ダイナミックレンジが狭くなります。フィルムの選定と露出で、結果が大きく左右されました。
よく利用されたのは、軟調のものです。FUJIFILM なら、ネガはリアラやSタイプ、ポジはセンシアやアスティアあたりです。(当時のアスティアはセンシアのプロタイプ)
モノクロは、現像と焼付でコントラストを調整していました。
デジタルになって、少し様子が変わってきました。ダイナミックレンジの狭いデジタルでは、複数のコマを合成するコンポジット法が有効です。カメラ任せではなく、画像ソフトを使って後処理します。
画像処理で調整できる分、デジタルのほうが有利だと思います。