明治時代に写された写真と同じ場所で、定点観測式撮影ができないか、写真集をチェックしてみました。写真集「明治ジャパン」です。
この写真集は、名古屋で総合ラボを経営していた岡村明吉氏が、コレクションしていたものの一部で、手元にあるのは「風俗編」です。その後すぐにお亡くなりになったので、続編は刊行されなかったかもしれません。
掲載されている写真の大半は人物で、風景はそんなに多く載っていません。外国人向けのお土産として海外に渡り、「里帰り」したものがほとんどのようです。
道理で、写っている人物のポーズが不自然なわけです。竹篭を編んでいるオジサンの周りには、完成品の大小の篭が整然と並んでいます。どう見ても「やらせ」ですね。
褌一丁にねじり鉢巻の飛脚は、全身に刺青の姿です。颯爽と走るポーズがビシッと決まっていて、露光時間の長い当時の感光材料では自然に撮れるわけがありません。これも日本の風俗を紹介するお土産でしょう。
散見される風景写真で、撮影場所を特定できるものは少なそうです。撮影地が書いてあっても、現在の様子とはまるで違います。瓦屋根や茅葺の木造家屋で、現存しているものは まずないと思います。
「東京日本橋通り」は、地名はわかっても一体どこで撮ったのか、さっぱり見当がつきません。写っているのは、すべて木造建築です。
いまとあまり変わらないのは、安芸の宮島や春日大社ぐらいでしょうか。寺社仏閣なら現存する建物が結構ありそうです。
撮影位置を割り出すためには、途中をつなぐ写真や地図が要りそうです。三越百貨店なんかは、当時の資料が残っていると思います。
しかし、苦労してやっと撮影ポジションを割り出しても、あまりの違いにまったく別の風景写真にしか見えない可能性が大です。やはり100年以上の時間差は、定点観測写真としては開きがありすぎるのかもしれません。
写真の歴史は、3つの世紀をまたいで170年になりました。定点観測写真は、これまでの2枚1組ではなく、3枚1組とか4枚1組の時代に突入したようです。