2010/08/28(土)単機能の冷却CCDカメラ

 汎用のデジカメは、多機能化の道を突っ走っていますが、ある機能だけに特化した機種もあります。天体写真を撮影する「冷却 CCD カメラ」です。デジカメというよりは、撮像素子そのものです。天体望遠鏡にアイピースの代わりに装着します。

 CCD を冷却するのには、通常はペルチェ素子を使います。通電すると、片面が冷却され、反対側が熱くなる構造になっています。
 古くは、現像液を冷やすための電子恒温バットに使われていました。冷たいほうは凍傷に、熱いほうは火傷に注意が必要なシロモノです。(製品はカバーされているので安全)

 なぜ冷やすかというと、CCD は熱をもつとノイズが発生するからです。長時間露光によるノイズ増大を防止するために、強制的に冷やします。マイナス 25℃程度まで冷やすと、ノイズの発生がかなり軽減されます。

 冷却 CCD には、カラータイプとモノクロタイプがあります。星の撮影は究極の世界だから、モノクロタイプに3色分解フィルターをかけて、3回露光してカラー写真にするのが一般的な技法です。(実際には各色数枚を合成します)
 木星のように自転して動く被写体には、モノクロタイプが使えないので、カラータイプを使います。

 単機能といっても特殊なカメラだから、価格は割高です。数十万画素のモノクロタイプでも 20 万円前後します。高画素のものは、ライカ M9 を買うか、はたまた PENTAX 645D を買うか・・のレベルです。なかには 100 万円を軽く超えるものもあります。

 モノクロタイプは RGB に分割露光することで、すべての画素が単色として使えるから、実際の画素数は3~4倍に相当します。
 星は点だから、仮に1画素にしか光があたらない場合は、カラー CCD だと偽色が発生します。天体写真でモノクロタイプが主流というのは、価格の問題だけではないようです。

2010/08/27(金)デジカメの多機能化

 写真の記録媒体がフィルムからデジタルに変わって、カメラの性能は飛躍的に多機能化しました。1万円程度のコンパクトカメラで、動画が撮れる時代です。

 赤目軽減は、フィルム時代でもありましたが、顔認識というのはデジカメからです。笑うと自動的にシャッターが切れる機種もあります。愛想笑いではダメなんだとか・・・
 結婚式では、ちっともシャッターが切れなかったのに、誰かの葬式では、やたらとヒットしちゃったりして・・・

 とうとうペットの顔まで認識するカメラが現われました。ペットも家族の一員だから、カメラに無視されては可哀想です。デジカメを買った動機が、ペットの写真という人もいるでしょう。ペット好きにはウケがいいようです。

 カメラをスイングすると、自動的にパノラマ写真に合成する機能が登場しました。きちんと写したければ、三脚を使ったほうが確実ですが、手持ちでも可能です。
 ある山岳写真家が、西穂高からパノラマ写真を撮ったときは、かなりの時間と手間が掛かったそうです。天候のよい日を見計らって、360°を中判カメラで十数カットに分けて撮影しました。それをデジタル合成する費用が高かったとか・・・

 いまでも西穂山荘で写真を売っていると思いますが、自分のカメラで簡単に撮れてしまっては、有り難味が薄れます。快晴の日まで何日も待ったそうだから、プロが苦労して撮った写真のようにはいかないでしょうが・・・

 露出の違う画像を合成して、ダイナミックレンジを稼ぐやり方は、多くの機種で採用されています。デジタル画像の弱点をデジタル技術で補うとは、考えましたね。
 連写した画像を合成して3Dにする機能も登場しました。これからもまだまだ多機能化は進みそうです。

2010/08/26(木)デジカメの「ドブソニアン」

 天文の話に脱線して、ドブソニアン望遠鏡までいったところで、なぜデジタル一眼レフにドブソニアンみたいな合理的な機種がないのか、ふと疑問が浮かびました。
 大口径を手にするためには、赤道儀も要らない、微動装置も要らない、とにかくシンプルに・・・それがドブです。

 大きな撮像素子であれば、動画も要らない、ライブビューも HDR 合成も要らない、とにかくシンプルに・・・そんなデジイチがあってもいいような気がします。
 望遠鏡と違って、デジイチは自作するのは不可能だから、メーカーに頼るしかありません。事情通によれば、もっと付加価値をつけて稼ぎたいというのが、メーカーの本音なんだとか・・・

 どうやら、ドブ版のデジイチは期待薄ですね。ミラーレスの人気に押されて、135 フルサイズの現行機種が値下がりするのを待つしかなさそうです。

 一眼レフが総金属製だった時代には、輸出用普及モデルの大半は、セルフタイマーが省略されていました。市販価格で数千円のコストダウンですが、欧米では、セルフ機能にそこまでお金を出すのはもったいないという考え方が強かったからだとか・・・
 逆に、日本国内では、セルフタイマーのない一眼レフは、ユーザーに受け入れられなかったそうです。合理的な考え方の欧米人と、フル装備でなければ満足できない日本人との国民性の差ですね。

 ドブは、アメリカ人だから開発できたのだと思います。それが日本に伝わると、モーター駆動で自動追尾とか、写真撮影ができるようにスペックアップされて、別のものへと変わっていきます。
 「そんなのはドブじゃない!」という声も聞かれますが、目くじらを立てるほどのことでもないような・・・

 デジカメ市場の主導権を日本企業が握っているうちは、合理的でシンプルな 135 フルサイズのデジイチは、期待できそうもないですね。α 850 は国内販売されなかったし・・・
OK キャンセル 確認 その他