2010/08/25(水)大口径のドブソニアン

 より暗い星を観たいなら、望遠鏡の口径が大きいほど有利です。もっと細部まで見たければ、やはり口径が大きいほうが分解能が高くて有利です。天体観測の基本的なスタンスは、いかに大口径の望遠鏡を手に入れるか?と言ってもいいでしょう。

 口径が何十センチもある望遠鏡は、天文台か公共施設でないと設備できないように思われがちですが、実はそうではありません。
 写真撮影や日周運動の追尾などができなくてもよければ、反射式の簡易な大口径望遠鏡がアマチュア向けに市販されています。こうした望遠鏡をドブソニアンと言います。(名前の由来は開発者の米国人ドブソンさん)

 アメリカで、1950 年代に登場しました。それだけ宇宙に興味がある人が多かったということでしょう。アポロで月まで行ったお国柄です。
 口径 25cm なんてのは、まだ小さいほうです。50cm、60cm を一般人が保有していることもあるそうです。自家用車の屋根に望遠鏡を積んで、郊外まで出かけて星を観るのが趣味なんて、うらやましいですね。

 ドブソニアンは、目で見ることだけに特化しています。微動装置もなければ、赤道儀の機能もありません。手で動かして手で止める・・・フリーストップ式です。
 その代わり、口径がドでかいから、見応えがあります。口径数十センチの望遠鏡で見る星雲・星団は、迫力があるでしょうね。
 日本では大口径双眼鏡、アメリカでは大口径望遠鏡が、スカイウォッチャーのステータスのようです。

 10 年ほど前に、アメリカのラスベガスで開催された PMA ショーに行ったときには、地元のカメラ店にドブソニアンが置いてありました。
 普及型のカーボン三脚すら置いていない、インショップのカメラ店です。ドブの口径は 20cm (8インチ)程度だったと記憶しています。あちらでは初心者か子供向けでしょうね。

 それでも、「これが話に聞いたドブソニアンか・・」と、興味津々で触らせてもらいました。当時の日本でドブを展示していたのは、専門店かヨドバシの天文館くらいしかなかったと思います。

2010/08/24(火)大型双眼鏡の固定法

 いま手元にある双眼鏡で一番口径が大きいのは、7cm のものです。FUJINON 10x70 だから、倍率は 10 倍、瞳径は 7mm ですね。昔のタイプですが、星の観望には十分使えます。

 あまり使う機会がないのは、三脚に取り付けるアダプターがないからです。10 倍程度の倍率でも、手持ちで空を見上げた姿勢では、短時間しか見ていられません。チョチョッと見たいものだけ見て、すぐにやめてしまいます。
 なんでメーカーからは専用のビノホルダーが出ていないのでしょう? たぶん漁船の操舵室の壁にでも、ぶら下げておく想定だったのでは?

 いろんなメーカーのアダプターを試してみましたが、両目の間隔が調節不能になったり、センターシャフトと合わなかったりして、うまく使えるものはありませんでした。
 一種類だけ、双眼鏡を裏返しにすれば使用可能なものがありましたが、何とも不安定です。もう、自作するしかないですね。

 三脚アダプター云々より、星の観望にはリクライニングシートが一番適しているように思います。回転自由にしておけば、グルリ 360 度、上下の角度も調節できます。椅子に双眼鏡を固定しておけば、方向は椅子で変えられます。
 同じような発想で、椅子を自作した愛好家もいました。でも、形がどこか無骨のような・・・

 リクライニングシートは、自動車のジャンク部品が一番安上がりで高性能です。クラウンやセドリックなどの高級車でも、廃車になれば只のゴミです。ツテさえあれば、安く手に入ります。
 あとは水平回転装置の上に載せて、双眼鏡を固定します。この固定方法が最大の難問です。目の位置はかなりシビアですから・・・

 頭越しに宙吊りにするのがいいかもしれませんね。両手で支えれば、個人差をある程度カバーできるし、何よりも視野が安定します。

2010/08/23(月)大口径の双眼鏡

 メシエ天体をすべて制覇するには、望遠鏡が必要です。口径 6cm 程度で見えるとされていますが、それは天の川が見えるくらい条件のよい場所での話です。
 18 世紀後半のフランスは、真っ暗闇だったと思います。シャルル・メシエと同程度の機材で挑もうというのは、少々無理があるようです。

 中学・高校時代に自宅で見たメシエ天体は、10cm の反射望遠鏡でやっとでした。M51 や M27 は、少しでも条件が悪いと見えません。そこにあるはずなのに・・・
 条件が良いときでも、肉眼で3等星がやっとの場所だったから、10cm 程度の口径では集光力が足りないはずです。(分解能はありますが・・)

 メシエ天体には、肉眼で見えるものがいくつかあります。プレアデス星団(M45 すばる)やプレセペ星団(M44)は有名です。
 メシエ天体ではないヒアデス星団(釣鐘星)も含めて、大きな散開星団は、双眼鏡のほうが視野が広くてきれいです。

 スカイウォッチャーと呼ばれる星マニアの定番機材は、大口径の双眼鏡です。一般的には、5cm もあれば立派な大口径ですが、彼らは 10cm ~ 15cm のものを使います。
 低倍率の屈折式望遠鏡を2台束ねたと考えたほうが、想像しやすいかもしれません。口径 10cm 以上の屈折式が2台ということは、お値段もよろしいような・・・

 双眼鏡というからにはプリズムを使い、正立正像で見える構造になっています。プリズムで多少の光をロスするのは仕方ないでしょう。倒立逆像では使いづらいこと請け合いです。
 手持ちでは辛いから、三脚か支持台が必要です。フォーク式経緯台みたいな専用架台も出ています。

 対象は無限大の星だから、大口径の望遠鏡に双眼装置を付けて、両目で見られるようにしても同じように思いますが、鏡筒が長いから使いづらいでしょうね。低倍率用の高額なアイピースが2個要るし・・・
 望遠鏡の双眼装置は、惑星や月の観望用と考えたほうがよさそうです。
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