2010/08/13(金)大火球は珍しい

 1等星と同じくらい輝く流星でも、砂粒程度のチリだと言います。小石ほどあれば、さぞかし明るい流れ星になるでしょうね。
 あまりお目に掛かったことがないところをみると、宇宙に漂うダストの大半は、皆チリやホコリ程度の大きさのようです。

 恒星よりも明るい流星を「火球」と言います。大きいものだと周りが一瞬明るくなります。毎日夜空を眺めている人でも、そう頻繁に見ることはないでしょう。
 ましてや満月よりも明るい大火球となると、一生の内に数回お目に掛かれるかどうかです。私も見たのは一度だけです。

 見たのではなく「感じた」と言ったほうが正確かもしれません。望遠鏡をセットしていて、周りが急に明るくなったので、空を見上げたら火花が散っていました。満月ほどの明るさはあったと思います。
 かなり長い距離を流れたようで、最後に爆発するように弾けるところを見ることができました。よく見ると、そのあたりに雲のようなものが・・・

 この「雲」を「痕(こん)」と言います。大きな流星がバーストした後でたまに見られます。一応、大気圏の中の現象だから、痕は時間とともに移動します。
 痕が現われたら、写真を撮っておくとよいでしょう。恒星が点で写る程度の露光時間で、何枚か連続で撮影します。痕の動きを記録するためです。

 火球がバーストするときに音が聞こえた、という人がいます。何十キロも上空の現象だから、仮に音が伝わったとしても、到着するまでに相当な時間が掛かります。バーストと同時に聞こえるわけがないのですが・・・

 私が見た大火球は、音がしたような気がしました。「パッ!」という音です。気のせいなのか、電磁波を音として感じたのか、原因はよくわかりません。
 音は聞こえないというのが定説ですが、ひょっとするとフォースを感じたのかもしれませんね。

2010/08/12(木)ペルセウス座流星群が極大

 毎年夏の風物詩ともいえる天文事象に「ペルセウス座流星群」があります。ちょうどお盆のころに極大日を迎えるので、初心者にも観測しやすいのが特徴です。
 今年の極大は 13 日だから、今夜半ですね。夕方、西の空に見えている月は、すぐに沈みます。流星観測には好条件です。(あとはお天気次第)

 この流星群は見られる期間が長くて、7月下旬ころから楽しめます。極大に近づくにつれ出現数が増えますが、それを過ぎると急に収束に向かいます。15 日頃までが見頃です。
 慣れた人なら1時間に 60 個ほど見ることができます。ただし、空が暗くて開けた場所での話です。

 流星を観るのには、望遠鏡も双眼鏡も要りません。肉眼が一番確実です。広い範囲を長時間観られるよう、仰向けに寝転んで観測するのがお奨めです。(うっかり眠ってしまわないようにね)

 この流星群の元は、スイフト・タットル彗星が残したチリです。太陽の周りを約 130 年かけて周っている短期周期彗星です。(「長期」は 150 年以上)
 数ミリグラムの砂粒程度のチリが、大気圏に突入すると摩擦熱で輝き、流星となって燃え尽きます。重量が重く、突入速度が速いほど明るいとされています。明るいものは少なく、暗いもののほうが多いのは、夜空の星と同じだとか・・・

 ということは、空が暗い場所で観るのが肝心です。空が暗くても周りに街灯などがあると、見られる数が急減します。目に余分な光が入らない場所を選ぶのがコツです。
 懐中電灯などは、むやみに点けないほうがいいでしょう。赤セロハンを被せておけば、目を刺激せずに済みます。

 来年は極大日が満月に近く、観測条件は最悪です。天気がよければ、今年見ておきたいですね。22 時から翌日の薄明前までがチャンスです。

2010/08/11(水)「扇風機」つきの流星写真儀

 流星ハンターのカメラには、特殊な装置が付けられています。レンズの前に扇風機の羽根みたいなものがついています。
 一台の羽根の周りに、4台のカメラを内向きにクロスセットした「流星写真儀」もあります。カメラが4台もあれば、空の広い範囲をカバーできます。

 なぜこんな羽根が必要かというと、流星の速度や曳光時間を測るためです。回転装置にはシンクロナスモーターが使われ、回転速度が一定に保たれています。
 露光中に流星が流れると、破線状に写ります。羽根で隠れる時間と、隙間が開く時間がわかれば、流星の曳光時間が逆算できます。ほかの観測点のデータがあれば、さらに詳しく分析できます。

 羽根の隙間がちょうど半々だとすると、露光時間中の半分は、羽根でレンズが塞がれていることになります。夜空が明るい場所では、フィルムが被る限界時間が約2倍に稼げます。(羽根の裏側はもちろん艶消しの黒です)

 フィルム時代には、B(バルブ)露光がてきるコンパクトカメラの中古品やジャンク品を買ってきて、自作したものです。現在ではデジタル式でしょうが、B(バルブ)ができることは共通の条件です。あとはレリーズですね。

 実際に科学的な資料として流星写真を撮るときは、流星写真儀は必須の装備でした。ただし、一般の人が見ると、流星が破線で写っているのに違和感を覚えるかもしれません。いまはデジカメで動画なんだとか・・・

 夜空のアクセントとして流れ星を使いたいなら、画像合成でやったほうが手っ取り早そうです。流れ星に願い事を唱えると願いが叶う・・こんなロマンチックなシーンに、破線状の流星では不釣合いのような気がします。
 ブツ切れになった流れ星を見て痺れるのは、天文ファンだけでしょうね。
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