2011/06/15(水)3Dの本命?ホログラム

 特殊なメガネなしに立体映像が見られる方式に、ホログラフィーというのがあります。立体物の投影像と特定の光が作る干渉縞を記録し、それを再生することで立体的な画像が観賞できる技術です。作られた画像をホログラムと言います。

 ホログラムは、博覧会や科学館などで頻繁に紹介展示されています。60 年ほどの歴史がある技術です。その立体画像をどこかで一度くらいは見たことがある人が多いと思います。
 1万円札に印刷されているキラキラした部分もホログラムだから、一度どころじゃないですね。普段目にするところで使われています。

 初めてホログラムを見たのは、あるカメラ屋さんでした。そこのご主人は光学製品を集めるのが趣味で、ホログラムもコレクションの中にありました。
 懐中時計のムーブメントを三次元化したものです。歯車やカムが本物みたいに立体的に見えます。ホログラム自体は薄いのに、もっと厚味があるように見えたのが不思議でした。

 ステレオ写真もレンチキュラー方式も、あくまで二次元の紙を正面から観賞したときに立体的に見えるだけです。上からや下から覗いても 3D にはなりません。
 その点、ホログラムは、360度どこからでも立体的に見えます。見せてもらった懐中時計の円形ホログラムは、グルグル回してどこから見ても本物同様でした。

 これこそ 3D の本命と思われるホログラフィーですが、光の干渉を利用しているので、色の再現性はあまりよくありません。制作にかかる手間やコストが高いのも、普及を妨げる要因です。手軽に 3D 画像が楽しめるホログラムが登場するまでには、もう少し時間が掛かりそうです。

 お札やカード類の偽造防止のほかに、ブルーレイディスクなど記録メディアの多層化にもこの技術が使われています。大量の画像データを保存するメディアと、3D 技術は車の両輪です。意外と身近なところで利用されているんですね。

2011/06/14(火)メガネなしの3D画像

 FUJIFILM のレンチキュラー方式が、特殊な装置なしで 3D プリントが見られるのに対し、モニター画面上の 3D 画像を裸眼で見られる視差バリア方式というのがあります。
 昨年、任天堂が次世代ゲーム機 3DS を発売したことで話題を呼びました。

 レンチキュラーは、細かい縦線状のプリズムを画像の前に置くことで、左右の目に別々の画を見せる方式です。
 視差バリアは、モニター画面の前に細かい縦線状の簾マスクを置き、片目で見えるところと見えないところを作ります。右目で見える部分には右目用の画を出し、見えない部分に左目用の画を表示します。右目で見えなくても左目で見える位置がどこかにあります。

 左右の視差を利用しているので、特殊なメガネは不要ですが、モニターとの距離や個体差によって、見え方が変わります。人によってはうまく見えないことがあると、メーカーも認めています。そのために調節用の 3D ボリュームが用意されています。
 6歳以下の子供には長時間見せないとか、幼児には 2D で使わせるように警告しているところをみると、目には優しくないみたいです。

 このゲーム機にはカメラが内蔵されていて、立体写真が撮影できます。外向きにレンズが2個ついていて、本体内で 3D 画像を合成します。
 メーカーは、3D で観賞できるのは本体のモニターだけだとしていますが、画像データをパソコンにコピーして処理すれば、ほかのやり方で観賞することは可能です。

 右目用と左目用の画像を別々に表示(またはプリント)して、交差法か平行法で立体的に見るのが、最も単純で簡単なやり方です。ステレオビュワーがあれば、簡単に 3D 画像が楽しめます。

 もうひとつの方法は、3D Album や Stereo Photo Maker などの画像ソフトを使って、アナグリフ用の画にすることです。赤と青のメガネが必要ですが、1枚の写真で立体的に見ることができます。
 赤青メガネをかけると色の再現性が落ちるのと、赤青メガネなしだと色が滲んだ画になるのが欠点ですかね。

2011/06/13(月)観光地の3D写真

 FUJIFILM のレンチキュラー式 3D プリントは、専用のデジカメ Finepix REAL 3D W3 で撮影した画像を専用プリンターで出力します。インターネットか写真店で申し込めば、プリントしてくれます。
 カメラ自体は3万円台で買えますが、プリントしないといけないのは、どこかフィルムっぽいですね。それともカメラ内蔵の小さなモニターで我慢するかです。

 開発した狙いは、コンシューマー需要のほかに、業務用途もあるようです。テーマパークなどで行なわれている記念写真の 3D 化です。
 この市場は、元々同社の得意分野でした。観光地と記念写真は切っても切れない関係にあります。フィルム時代には、市場の大半を握っていました。

 東京ディズニーランドや大阪 USJ では、ピクトログラフィを使って、短時間に記念写真をプリントしていました。1台あたりの処理能力はそんなに高くないので、何台も並べて出力します。
 USJ のオープン前に視察した際に、会場内に十数台あるという話を聞いた記憶があります。ゴンドラが水しぶきをあげて着水したときの記念写真は、ピクトロだったんですね。

 普通のプリントは、ほかにいくらでも出力方式があるから、やがてピクトロは製造中止になりました。最後に予約発注した感光材料の有効期限は、もう切れているかもしれません。メンテと材料の供給が止まれば、お払い箱です。

 レンチキュラー式の 3D プリントは、他社にない特徴があります。自立型の専用プリンター DPR-1 も発売されました。標準ユーザー渡し価格は 165 万円。専用ソフトは付属しますが、パソコンは自前で揃えることになります。
 一般ユーザーが買える値段ではないから業務用です。テーマパークですでに導入したところが何ヵ所かあるようです。人気キャラクターとの同伴写真が 3D で見られれば、それなりの付加価値があります。

 カメラは Finepix REAL 3D W3 でしょうね。プリンターは高くてもこちらは安上がりです。
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