デジカメのホワイトバランス2011/11/06(日)

 フィルム式がデジタル式になったことで、大きく変わった点は何でしょう? フィルム代や現像料が要らないのは、いまさら言うまでもないとして、一番の変化は色温度への対処方法ではないかと個人的には考えています。

 フィルムは、基準になる色温度が決まっています。一般撮影用のデーライトタイプは太陽光(5500K)、商品撮影に使うタングステンタイプは写真電球(3200K)に固定されています。あとはフィルターワークで調整します。
 デジタルカメラは、周りの光線状態を判断し、自動的に色温度を変えるオートホワイトバランス(AWB)機能を備えています。理屈の上では、色温度を変えるための操作は不要ですが・・・

 実際には、カメラの AWB はドンピシャといくとは限りません。状況によっては、マニュアルでホワイトバランスを設定することがあります。太陽光・電灯光・蛍光灯など、光源の種類のほかに、ケルビン数で設定できる機種もあります。
 スタジオでのストロボ撮影では、ケルビン数を固定するのが最も確実な方法です。カラーメーターがなくても、撮影結果がその場で確認できるから、近い線を割り出すのは比較的容易です。

 難しいのはミックス光源です。これはフィルムでもデジタルでも同じです。こんな場所で商品撮影をすることはないだろうから、普通は違和感なく見えるレベルで妥協することになります。披露宴会場なんかがそうですね。
 電球照明が主体なら電灯光か 3000K に固定すれば、目で見た感じに写るはずです。蛍光灯はその種類に応じて選択します。FLW(白色)とか FLD(昼光色)とかです。混ぜて使っていたら・・そのときは適当ですね。

 最近では、発光ダイオードの照明器具が増えました。演色性はよいと言われていますが、緑カブリが出るようです。色温度以外にマゼンタ補正ができる機種なら、ある程度は自然な色あいが出せると思います。
 難しい条件での撮影は、RAW で撮って後で「現像」するのが最善策ですが、RAW と聞いただけで引く人がいるかもしれませんね。

結婚式での常用感度は?2011/11/05(土)

 デジタルカメラが高感度対応になって、室内での撮影が楽になりました。ストロボなしで撮れるところまで進化しています。ストロボの直焚きは、記録写真そうろうになりがちです。

 FUJIFILM からナチュラという名前のコンパクトカメラが出ています。フィルム式のカメラですが、現在でも NATURA CLASSICA が販売されています。このシリーズの特徴は、同名の ISO 1600 ネガカラーを装填すると、自動的にノンフラッシュ撮影に切り替わることです。

 フィルム式のコンパクトカメラの中では、結婚式の撮影に最も適したカメラです。失敗写真の原因は、ストロボ光が届かない、届いても背景が真っ黒・・というのがほとんどです。ナチュラはこの問題を見事にクリアしました。
 難点は、高感度フィルムの粒状性があまりよくないことです。とくに露光不足の写真ではザラつきが目立ちます。プリントサイズがL判メインなら実用性は十分ありますが、大伸ばしには不向きです。

 手ブレ補正のないフィルム式カメラで、広角レンズの開放絞り F2.8、ISO 1600 は、一般的な披露宴会場で手ブレなしでなんとか写るスペックです。場面によっては、ネガカラーのラチチュードを充てこまないといけないかもしれません。

 手ブレ補正つきのデジカメなら、もう少しゆとりがあります。ISO 1600~3200 でノイズの少ない画像が得らるようになると、手ブレに関してはほとんど失敗はなくなるでしょう。
 センサーサイズの小さいコンデジは、画質の点ではまだ不満が残るレベルですが、APSC やフルサイズのものは、かなり使えるところまできています。

 デジカメとの差別化で生き残ったナチュラは、そろそろ引退の時期を迎えたようです。それと同時に、いまだにフィルム式の一眼レフを使っているブライダル写真業者も、デジタル化への移行は時間の問題でしょうね。

デジカメの高感度化はどこまで?2011/11/04(金)

 デジタルカメラの高画素化はまだ進んでいます。実用性のない高画素化は、メディアの容量を食うだけだし、パソコンなど周辺機器のパワーアップが必要になります。
 一般消費者が求める最高画素数は、出力プリンターに因ると思われます。最も普及している A4 サイズのインクジェット式は、1000 万画素もあれば十分です。コンパクトカメラでも、このレベルに達しています。A3 サイズなら一眼レフで対応できます。

 次は高感度化です。使いもしない高画素より高感度のほうが実用性があります。コンデジはセンサーサイズが小さいので、高感度化には不利です。それを画像処理エンジンで補うわけですが、センサー自体の感度性能は、サイズで決まると言ってもいいでしょう。

 APSC やフルサイズは、超高感度への対応に有利です。画素数を抑えて1素子あたりの面積を大きくすることで、よりノイズの少ない画像が得られると期待されています。
 来春発売予定の EOS 1DX は、常用感度が ISO 100~51200、拡張でISO 204800 というから驚きです。フルサイズで、画素数を 1800 万画素に抑えた効果でしょうね。

 市販品のフィルムは、ISO 1600 が最高感度です。増感現像しても 3200 までです。学生の頃は、トライ X を増感して使っていましたが、ISO 400 を 1600 まで上げるのは至難の技でした。(当時は ISO でなく ASA でしたっけ)

 もう粒子はザラザラです。デジカメでノイズがどうとかいうのと似たようなもんですね。ただし、きれいに揃った粗粒子は、独特の味がありました。そこがデジタルノイズと違うところです。

 ISO 20 万を超える高感度なんて想像もつきませんが、ISO 1600 で絞り開放・シャッター速度1秒だったのが、1/125 秒で切れると考えば、少しは実感が湧いてきます。
 普及当初、暗さに弱いと言われたデジカメは、高感度対応については銀塩フィルムを超えました。1コマごとに感度が変えられるデジカメにとって、大きな魅力のひとつです。
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