2013/12/01(日)はかなく消えた「彗星で一儲け」の夢
「大彗星」の根拠は、太陽のすぐそばを通過するサングレイザーであることが軌道計算でわかっていたのと、直径が数キロメートルで大型との予測からでした。
大きな彗星が太陽をかすめるように通過する → 満月くらい明るくなり長い尾を引く、と期待が寄せられたわけです。
サングレイザーは明るくなる反面、太陽の熱で消滅してしまう可能性があります。アイソン彗星は予想よりも小さく、近日点を無事に通過できないのでは?との事前予測もありました。準備は近日点を無事通過してからと、のんびり構えていたところへ「消滅」のニュースです。
「やっぱりね」と格別な驚きはありませんでしたが、ビックリしたのは「大彗星」をあてこんで、望遠鏡メーカーのほかにも旅行会社までが特別企画を組んでいたことです。
夜明け前に飛行機から観察するツアーは完売だったというから驚きです。商魂たくましいですね。
なにか天文事象のニュースがあると、日ごろ夜空を見上げたこともない人たちまでが大騒ぎします。それに便乗して一儲けをもくろむ者が現れます。
大彗星の観望には天体望遠鏡よりも双眼鏡のほうが向いています。せっかくの長い尾が見られないからです。それでも望遠鏡を買い求める人が続出します。
もし期待通り「世紀の大彗星」になったていたら、おそらく市中の望遠鏡は完売だったでしょう。
メーカーにとっては残念な結末でしたが、太陽で失明する人が続出しなくて、かえってよかったのかもしれません。