2008/07/25(金)スポッティングスコープ

 興和の光学機器で最も有名なのは、スポッティングスコープです。高性能な地上用望遠鏡です。

 スポッティングスコープは、もともとはライフル射撃の観的用として使われていました。東京オリンピックのときには、制式採用の望遠鏡として活躍しました。
 伏射姿勢で使いやすいように、斜め45°に傾斜した接眼部が特徴です。架台も専用のローアングルのものが用意されていました。

 野鳥観測ブームになると、愛好家の間でスポッティングスコープが流行します。アダプターを付けて写真撮影できたので、超望遠レンズとしても活躍しました。
 カメラメーカーの望遠鏡なので、写りはまずまずでした。対物レンズの口径が60mm程度だから、F値がちょっと暗かったけどね。

 野鳥観測に使われるようになって、ニコンも地上用望遠鏡を発売します。ニコンは、フィールドスコープという名称を使いました。
 ライフル射撃の観的用スコープは、「スポッティングスコープ」という名称が指定になっていたので、防衛庁(当時)や警察関係には採用されなかったようです。

 のちにケンコーからも同様の地上用望遠鏡が発売されました。写真撮影が目的で購入するひとが多かったせいか、やはり先発組のコーワとブランド力のあるニコンが強かったですね。

 超望遠レンズの代用品として、野鳥観測には威力を発揮したスポッティングスコープですが、結婚式の撮影には出番がないようです。
 二人の「青い鳥」を撮るのに超望遠は必要ありません。

2008/07/24(木)コーワの光学製品

 コルゲンコーワでお馴染みの興和は、光学機器の分野でも知られた存在です。昔はカメラも製造してました。
 コーワブランドのカメラを使ったことのあるひとは、団塊の世代まででしょうね。昭和29年から25年間にわたり、さまざまな種類のカメラが作られました。

 一番の変り種は、6石トランジスタラジオとカメラを合体させた「ラメラ」でしょうね。昭和34年の発売です。12,800円でした。珍しすぎてあまり売れなかったようですが・・・
 フィルムは、当時のミノルタ16のマガジンを使用した特殊サイズで、現在では入手不能です。自分で切って詰めるしかありません。

 ブローニーサイズの一眼レフも作っていました。コーワ6シリーズです。レンズ交換式で、シャッターはレンズに内蔵されていました。ハッセルブラッドの500CMみたいなカメラです。フィルムバックは固定式だけどね。
 プリズムファインダーは、少し改造するとハッセルに使えたので、中古市場では珍重されていました。私もコーワ6MMを一式持ってましたが、売るときにはいい値段でしたね。

 中古市場で人気が高かったのは、KOWA SWです。単焦点の28mm F3.2が付いたコンパクトカメラです。前から見るとファインダーがカメレオンの眼みたいで、独特の風貌をしていました。
 人気がなくて、最後は薬屋さんに景品で配ったみたいです。ところが、「プロミナー」というレンズのブランドが有名になったこともあり、同じメーカーのカメラとして中古市場で「復活」しました。一眼レフのワイドレンズよりもいい・・というのが評判だったようです。

 コーワの光学機器は、いまでも作られています。スポッティングスコープは有名です。運転免許更新のときにお世話になった視力検査機は、コーワ製だったという話も聞きました。

2008/07/23(水)警察御用達のカメラ

 フィルム全盛時代の警察御用達カメラは、ペンタックスが強かったですね。スクリューマウントの時代からよく使われてました。

 古いSPやSVは、一般からの修理を打ち切っていましたが、警察の備品だけは、無理無理直していたようです。修理室には、代替分譲などで入手したカメラが、部品取り用に置いてあったとか・・・
 税金で買ったカメラだから、大事に使ってもらわないとね。

 速度取締りのオービスにはPENTAX LXが使われていた時代があったようです。ローマ数字でLは50、Xは10だから、LXは60周年記念に発売されたカメラです。
 36枚撮1本撮りきると、あとは無罪放免です。37台目の違反車は悪運が強いですね。(1枚くらい余分に撮れたりして・・)

 カメラメーカーには、自社が得意とする分野があります。
 ニコンが報道関係に強いのは、Nikon Fの時代から続いています。キヤノンはF1あたりから何とか食い込もうとやっきになってました。EOSになってから、そこそこのシェアを取ったようです。

 単焦点レンズの時代に、報道関係者がよく使っていたのは、Nikkor 50mm F2の標準レンズでした。レンズを外してひっくり返すと、周辺までシャープに近接撮影ができたので重宝したようです。もちろん、光が洩れないように手であてがって使っていました。
 一般の写真愛好家は、50mm F1.4の明るいレンズがステータスでした。素人のほうが高いレンズを使っていたわけです。

 テレビ局では、ブラウン管の走査線が縞状に写らないよう、レンズシャッター式のカメラを使っていました。あまり人気のなかったコーワの一眼レフが活躍してました。あのコルゲンコーワのKOWAです。
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