2012/12/22(土)昔なつかしダボ式の8段三脚

 多段式の小型三脚といえば、真鍮製の丸パイプで、石突を引っ張ると一気に伸びる8段三脚が元祖です。ずいぶん昔からあった記憶があります。脚が伸びるとピンが穴にはまるダボ式が一般的です。途中では留まらないから、畳んだ状態で卓上三脚として使うか、全部伸ばすかのどちらかです。

 主な用途としては、コンパクトカメラのセルフタイマーを利用した記念写真でした。現在と違って、昔のカメラは高級品だったし、写真は贅沢なものでした。カラー写真が出始めのころは、写真1枚がうどん1杯よりも高かったそうです。そんな時代の記念写真は、たいそう価値のあるものでした。
 いまどき旅行にわざわざ三脚を持参する人は少ないと思います。自分撮りできるカメラもあるし、観光地なら近くの人に頼めばシャッターを押してくれます。外国と違って、そのままカメラを持ち逃げされる心配はまずないでしょう。

 メーカーによっては「シネ8段」と呼んでいたところがありました。「シネ」というのはシネマの略で、8 ミリ映画のことでした。いまでいう動画用です。ビデオカメラが普及するのはもっと後の話です。昔からムービーに三脚は必需品でした。
 現在では、デジカメにもケータイにも動画機能が搭載されています。では、8段三脚が飛ぶように売れているかというと、そんな気配はなさそうです。昔の人のほうが基本に忠実でした。写真やムービー画像の価値がいまよりもうんと高かったからでしょう。

 大手メーカーを除いて、三脚メーカーの多くは「四畳半メーカー」言われてきました。8段三脚は、職人さんが仕事場でコツコツと組み立てて作る製品です。人件費の比率が高い分野なので、いまでは生産拠点は海外に移っていると思います。メーカー希望価格は数千円程度ですが、ネット通販では 2,000 円以下で売られているものもあります。

 縮長が 30cm 以下のコンパクトな三脚が、伸ばすと 1m 以上になります。アイレベルには足りませんが、記念写真を撮るのには十分な高さです。コンデジを載せるぶんには不安はないでしょう。その場を離れなければミラーレス機でも使えそうです。
 どんなに頑丈で立派な三脚でも、重いからと持っていかなければ持っていないのと同じです。わずか2~3千円の出資で常時携帯できる8段三脚は、古くて新しい製品だと思います。

2012/12/21(金)縮長が短い多段式の三脚

 撮影時の重量はストーンバッグに頼るとして、持ち運ぶときに小さくなる三脚があると助かります。縮長を短くするには、段数を増やすのが最も単純な方法ですが、普通は2段目3段目と先へいくほどパイプが短くなっていきます。パイプの根元まで無駄なく収納できれば、先へ行くほど長いパイプが使えるはずです。その原理を利用したのが、ベルボンのウルトラシリーズです。
 1本あたりの伸長率は僅かな差でも、4段5段と本数が多くなると、塵も積もればなんとやら・・・ (考えましたね)

 もっと大胆に、脚を 180°上側に折り曲げて、上に突き出たセンターポールと一体化し、畳んだときの縮長を短くした三脚が現れました。同社のウルトレックシリーズです。エレベーターシャフトを取り外して、下から逆向きに収納すればいいように思えますが、構造上このやり方でないといけないみたいです。
 段数はなんと6段! 短く詰めた脚で長さを補うには、普通の倍の6段が必要ということのようです。それでも縮長 295mm、伸長 1560mm は立派です。山歩きや航空機への持込には便利です。

 昔、日本プロフォートから折り畳み式の脚立が販売されていました。半分に畳んだ状態だと、ちょうど椅子代わりになるくらいの高さです。報道カメラマンなどが持ち歩くのに便利で使っていました。小型の脚立の割に、いいお値段でした。
 買おうとしたら既に製造中止で、悔しい思いをした記憶があります。そんなに売れるものではないから、もう一度作るとしたら数量的に採算が合わないんだとか・・・

 三脚も二つ折りにできると縮長が短くなりそうな気がしますが、基部のパイプは1段仕様にしかならないので、残りの半分を使って伸ばすとなると無理が生じます。折り畳み式はたぶんダメですね。
 短い脚で高さを稼ぐには、肉薄で太めのパイプにして段数を増やすのが最も手っ取り早い方法のようです。あとはセンターポールを多段式にするかです。エレベーターを伸ばすのは昔からタブー視されてきたから、ウルトレックみたいに1段分伸ばすだけでも抵抗感がありそうです。3段以上になったら異端視されるのは間違いないでしょう。

2012/12/20(木)如意棒みたいな三脚があれば

 カメラを固定したり安定させたりする三脚は、大きくて重いほど性能がよいとされています。スタジオ用のカメラスタンドを見れば一目瞭然です。カメラスタンドは外に持ち出すことはないからあれでいいけど、三脚は持ち歩きが前提です。移動中は小さくて軽いほうがいいですね。

 アマチュア写真家には、なるべく大きめのものを買うように勧めていました。初心者ほど小型で軽い三脚を選ぶ傾向があるからです。アマチュアの感覚で大型三脚は、プロユースでは「小型」です。
 ハスキーの3段を大型三脚と呼ぶプロはいないでしょう。撮影機材の中では小さくて軽いほうです。ロケ先で頻繁に移動しながら撮影する・・・そんな用途にはちょうどいいサイズです。

 アマチュアが多少でも太めの三脚を使うようになったのは、カーボン素材の採用が影響したようです。サイズはともかく、重量は格段に軽くなりました。三脚が必須の風景写真は、高齢者の愛好家が多かったので、トレッキングや山登りを伴う撮影には重宝されました。
 上高地の大正池など撮影スポットには、カーボン三脚がズラリと並びました。カーボンでないと格好が悪い雰囲気です。とくに体力のない女性カメラマン(正しくはカメラウーマン?)は、判で押したようにカーボンです。当時の年寄りは裕福でした。

 三脚の性能のうち、サイズと重量のどちらを重視するかは難しい問題です。小さくて頑丈なものがあればいいのですが、一般的にそれは望み薄です。それならダウンサイジングではなく、素材を変えて軽量化を図れば・・・
 カーボン素材とマグネシウム合金は、軽量化による付加価値で三脚メーカーのドル箱となります。撮影時に石を載せて目方を稼ぐストーンバッグを製品に同梱するメーカーもありました。重量も性能のうちとわかっての施策です。
 センターポール下のフックにカメラバッグを吊るす方法は安上がりですが、バッグが揺れるとブレの原因になります。使い方にコツが必要です。

 持ち歩くときは小さく軽く、使うときだけ大きく重い三脚があれば理想です。孫悟空の如意棒みたいなやつです。いくら科学が発達しても、それが実現できるのはまだだいぶ先の話でしょう。
 それまでは、沙悟浄か猪八戒に頼んで運んでもらうしかなさそうです。
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