2012/07/19(木)内臓ストロボと色温度
もうひとつは色温度の問題です。暗いシーンは光源がデーライトでないのが普通です。フィルムは一般的にデーライト固定だから、ストロボ光は相性のよい光源です。ストロボの光だけで写る露出にすれば、発色のいい写真になります。ところが、そうすると前述の立体感のない写真になってしまいます。
発色を整えるために補助光として利用するのが賢い使い方です。自動露出で撮るためには、ストロボ光だけ単独でマイナス側に露光補正する機能が必要です。昔は、これができる機種は限られました。
デーライトタイプのフィルムは、フィルターで色温度を補正しない限り、内臓ストロボを焚いても色が被ることはありませんが、もしタングステン光下で LBB12 のブルーフィルターをかけていたら、ストロボの光が当たったところだけ青く発色します。ストロボに LBA12 のアンバーフィルターをかけて、色温度を定常光に合わせてやると、自然な発色になります。
デジタルカメラは、ホワイトバランスをオートにしていても内蔵ストロボを ON にすると、デーライトかストロボモードに固定されるはずです。でないと、補正した色温度と反対の色がストロボ光に被ってしまいます。ストロボ光は、常に 5500 ケルビン前後の色温度で変わらないからです。
ストロボ光と同じ太陽光線が当たる明るい場所では、シンクロ速度の問題があります。フォーカルプレーンシャッターの同調速度は、普通は 1/125 秒前後です。昔の横走りは 1/60 秒でした。縦走りの速い機種でも 1/250 秒です。
閃光時間をフラッシュバルブみたいに長くして、高速シャッターにも同調する緩速発光型のストロボがあります。フラッシュバルブと同様に、シャッター速度によって光量が変わります。
2012/07/18(水)内臓ストロボの落とし穴
一眼レフの場合は、使用目的によって必要性が変わってきます。ないよりはあったほうがいいように思いますが、あったことで失敗につながる場合もあります。例えば、照射角の不一致やレンズによるケラレです。
デジタルカメラは撮ったその場で結果が確認できますが、フィルム式の場合は現像が上がってくるまで画像が見られません。仕上りを見たら、画面の中央部分しか光が回っていなかったり、下側がレンズの影になって写っていなかったりすることがあります。
レンズによるケラレは、口径の大きなレンズで近距離で撮るときによく起こります。長焦点の長いレンズも要注意です。あと、フードを外すのを忘れたときとか・・・
実際にこれで失敗した経験があります。夜の屋外で記念撮影したときに下側が少しケラレてしまいました。照射角のことは頭にあってもレンズのケラレまでは気が回りませんでした。レンズは初めて使った 28-200mm です。ワイド側はそれほど長くないレンズですが、距離が近すぎたみたいです。
スナップ写真に近い撮り方だったから、写ってなかったらゴメンナサイで済む写真でしたが・・・
写真屋さんに無理を言って、トリミングしてもらいました。日ごろの付き合いで通常価格です。「あんたにしてはドジを踏んだね」と言われてしまいました。日ごろ内臓ストロボを使ったことがないのが、裏目に出た感じです。
これがトラウマで、それからますます内臓ストロボを使わなくなりました。一眼レフに内臓ストロボがなくても個人的には不満はありません。
2012/07/17(火)内臓ストロボの実用性
ソニーのミラーレス機 NEX が登場したときは、小型軽量化を優先してストロボ内蔵にせず、外付けストロボを同梱するやり方でした。別売ではないから、コストダウンのためではないはずです。
内臓ストロボを望む声に押されたのか、現在は機種によって内臓と外付けが混在しています。あのボディーにストロボ機能を組み込むのは、大変だったと思います。
もし同じスペックのカメラで、ストロボ内蔵とストロボなしの型式があったら、どちらが売れるでしょうか? 差額がいくらになるかで結果が変わりそうです。
現実には、わざわざストロボを外した機種を作るのは非効率で、コストダウンにはならないと思います。メーカーとしては、内臓ストロボをなくした分を別の機能(例えば小型化や EVF)に振り替え、付加価値をつけたいところです。
高感度対応になったから内蔵ストロボが不要というのは、少々乱暴な言い分です。いくら超高感度にしても闇夜のカラスは写りません。光量の小さい内臓ストロボでも超高感度なら大光量に相当します。使える実効感度が高くなればなるほど、内臓ストロボの威力が増すわけです。あるのとないのでは大違いです。
瞬間的な光しか出せないストロボは、動画には使えません。超高感度が実用レベルになったら、連続光の発光ダイオードで静止画と動画が撮れるようになると思います。そのときは、バッテリーの問題も含めて、内臓するのがいいのかの議論が再燃するかもしれません。