2012/05/16(水)一生に一度は水星を見よう
軌道面が傾いていて、地平線寄りに離れるケースがあるし、地球も公転して動いているから、実際に観測できるのは年に4~5回です。
一生の内に何百回かチャンスがあるのに、なかなか水星にお目にかかれないのは、東西の地平線が開けている場所が少ないからです。勝負どころが地平線から 5°や 10°では、自宅の2階や物干から見える家は少ないでしょう。
今年は3月と4月にありました。これからの予定は、7月1日が東方最大離角です。夕方ですね。8月 16 日は明け方です。10 月 27 日が夕方、12 月5日が明け方です。
8月中旬の旧盆のころは、天文事象が続きます。12 日はペルセウス座流星群の極大日です。極大日を過ぎると急に出現数が減るので、16 日の西方最大離角を待たずに、早めにチャレンジするのが得策です。休みの都合もあることだし・・・ 前後数日はチャンスがあります。
パソコンのプラネタリウムでは、8月 12 日午前3時半ごろ、東の空 50°くらいの高さに月と木星が接近して並んでいます。その左下 25°あたりに金星がいます。そのまま左下に延長した位置に水星がいました。既に昇っていますが、地平線すれすれなので見えないと思います。高度が 5°になるのは、空が白みだした午前4時ごろです。
8月 15 日は、金星が西方最大離角ですが、それより重大な事象が1日前にあります。月の後ろを金星が通り過ぎる金星食です。14 日の午前2時半ごろから1時間ほどの現象なので、出現した後、ついでに水星を見るのに絶好のタイミングです。
最大離角の8月 16 日は、水星のすぐ右上に新月間近の月が並びます。見えるかどうかは、日の出の1時間前から 30 分間が勝負です。(地域と条件によります)
水星は、最大離角の時期を頭の片隅に入れておけば、いずれ見られると思います。一生に一度くらいは見ておきたいですね。
2012/05/15(火)水星はなじみのない惑星
そもそも水星を見たことのある人は少ないと思います。一般の人はもちろん、天文ファンでも見た経験のない人は大勢いるはずです。一説では、かのコペルニクスも見たことがなかったとか・・・
理由は太陽に近すぎるからです。水星と金星の軌道は、地球の軌道よりも内側にあるので、太陽からそんなに遠く離れて見えない惑星です。木星や土星みたいに、真夜中に見えることはあり得ません。
金星の最大離角(太陽との角度)が 48°あるのに対し、水星はわずか 28.3°しかありません。これは太陽から最も離れたときの角度です。しかも地平線と垂直方向に離れるとは限らず、水平寄りの方向に離れた場合は高度が上がらないことになります。
太陽が地平線に沈んでから 30 分経過すると、さらに 7°ほど低くなります。ここから次第に空が暗くなる 30 分以内が勝負です。一般的に最大離角のときでも、地平線から 5~10°くらいで見えることが多いようです。よほど開けた場所でないと見えない星です。
明るさはほぼ0等級ですが、地平線(水平線)付近は大気の影響が厳しい場所です。双眼鏡を用意したほうがいいでしょう。
皆既日食のときに太陽からある程度離れていれば、見える可能性が大です。皆既中の時間は短いから、水星なんぞ見て喜んでいる暇はないと思いますが・・・
来週の金環食は、月の周りから太陽光が漏れるので望み薄です。
2012/05/14(月)金星が太陽の前を通過
もうひとつ大きな天文イベントがあります。6月6日に起こる金星の日面通過(太陽面通過)です。前回は 2004 年でした。そう聞くと珍しくないように思えますが、次回は 105 年後です。
太陽の前を黒いシルエットになった金星が通過していく現象です。角度で1分だから、太陽の 1/30 の視直径です。これが月なら日食ですが・・・
金星は小さいから、日食グラスで見ても何もわかりません。月の周りから太陽の光が漏れる金環食でさえ、失明がどうのと心配されているのに、望遠鏡で金星の日面通過を観測するなんて、とんでもないことです。
アイピースの前に付けるサングラスが市販されていますが、あまりお奨めできません。口径を絞っていたのに熱で割れて、危ない思いをした経験があります。それ以来、アイピースを覗くのはやめました。
望遠鏡を使うとしたら背面投影です。直焦点では像が小さいので(焦点距離 1000mm で 1cm 弱)、アイピースを使って拡大投影します。熱でバルサムが熔けるといけないから、アイピースは貼り合わせレンズを使わない安物のハイゲンス(H)が適役です。対物レンズ(主鏡)の口径は小さく絞って使います。3cm もあれば十分です。太陽観測の機材は安上がりですね。
それでも危険が伴います。望遠鏡のファインダーやガイドスコープの対物レンズを黒い布や紙などで覆っておくのを忘れないように!