2011/06/12(日)レンチキュラー方式の3D
これに対して、デジタルカメラならではの 3D 方式があります。FUJIFILM から発売されている Finepix REAL 3D W3 は、2つのレンズ、2つの CCD で、立体画像を合成しています。
写真プリントを手がけてきたメーカーらしく、独自の 3D プリントシステムを提供しています。インターネットまたは店頭で申し込むと、特殊なメガネなしで 3D を観賞できるプリントが入手できます。
裸眼で立体画像が見られるプリントは、レンチキュラーという方式です。画像を左右の眼に振り分ける細かい縦線状のプリズムシートに、3D 画像を裏側からプリントすることで、プリント自体が立体写真として観賞できます。
こうした物理的な方法で立体感を出す方式は、かなり前からありました。左右に揺らすと、印刷された画像が立体的に見える下敷きなど、昔から商品化されています。
FUJIFILM の方式の特徴は、個人が撮影した画像が1枚からプリントできることです。ハガキ・2Lサイズの 3D プリントが、数百円で手に入ります。
普通のプリント並みの 200 円くらいでできればいいのに・・という声もあるようですが、カードサイズなら 100 円程度です。4枚単位ですが、別々のコマでもOKだとか・・・
3D 画像の確認は、カメラのモニターでもできます。どうやって裸眼で確認できるのか不思議に思ったら、液晶モニターの表面がレンチキュラーレンズになっていました。考えましたね。
ハイビジョン(1280×720)の 3D 動画も撮れますが、「撮ったその場で楽しむ」というのは、カメラ内蔵のモニターの話です。ほかのモニターでどうやって楽しむのかについて、わかりやすい説明は見当たりませんでした。
3D 対応パネルと一口に言っても、いろんな方式があります。同社の 8 インチ液晶モニターでは、3D ハイビジョン動画が再生できないことは、謳ってありましたが・・・
2011/06/11(土)一眼のステレオアダプター
フィルターのネジを使って装着するので、マウントの規格は関係ありません。ステップアップリングを使えば、他社のレンズにも取り付け可能です。
現在売られているのは、D セットというタイプです。フィルター径は 52mm。立体視するための 3D イメージビュワーとセットになっています。
左右にミラーがついていて、視差のある2画面を同時に撮影する方式です。フィルター径さえ合わせれば、どのカメラにも装着できます。実販価格は1万円前後です。
ズームレンズでも使えますが、135 フル換算で 50mm が基準です。ワイド側や望遠側では、画面がズレて実用は難しいでしょう。
ミラーを水平にしないと画面がピッタリ合わないので、その点も注意が必要です。ミラー式はちょっとでも傾きがあると、画面の周辺にいくほどズレが大きくなります。
50mm の写角を左右に2分割しているから、実際には約 70mm の縦位置で撮ったのと同じ画面になります。広がりのある風景には向かないものの、人物の撮影には適していると思います。
立体感のある写真にするためには、遠景よりも近くの被写体を狙うほうが有利です。2~3m ということは、やはり人物向きですね。動きのある被写体だから、同時レリーズの強みが活かせます。
この製品のミソは、立体視用のビュワーをセットにしたことでしょうね。慣れればビュワーなしでも立体視できますが、これがあれば誰でも簡単に 3D が楽しめます。
昔のタイプがどこかにあったような記憶がありますが、見当たらないところをみると、誰かにあげてしまったかもしれません。あらためて買い直すかとなると、それはちょっと・・・
2011/06/10(金)普及しなかったステレオ写真
一番の違いは写真が2枚あることです。右眼用と左眼用の画像が横並びになっています。そのままでは、似たような写真が並んでいるだけですが・・・
2枚並んだ画を1枚の写真として見るのには、少しコツが要ります。左側の画が右眼用、右側の画が左眼用であれば、交差法という見方をします。顔前で視線をクロスさせるわけです。寄り眼で物を見るのに慣れが必要です。
左は左眼、右は右眼の画の場合は、平行法という見方をします。2枚の写真の間に紙などで衝立を立てれば、比較的簡単に立体視できます。ステレオ写真用のメガネスコープは、この方式が多いようです。
本来2次元である写真を立体的に見たいという願望は、昔から強かったみたいで、ステレオ写真を撮るための専用カメラがありました。レンズが二つ並んで付いているカメラです。
フィルムは 135 規格ですが、画面サイズは何種類かありました。天地は 24mm で共通です。横幅が 23mm×2、30mm×2、18mm×2 が一般的です。ハーフサイズを2コマ使ったものは、フルサイズと同じ枚数が撮れました。ただし画面はすべて縦位置になります。
この原理を応用し、ハーフ判やスクエア判のカメラを2台並べて撮っている人もいました。ダブルレリーズを使えば、ほぼ同時にシャッターが切れます。それとも、「せーの」で同時に2本のレリーズを押すかです。
プリントを2枚横に並べて観賞します。フルサイズの横位置でもいけそうですが、人間の視野が横に広いのは、眼が二つ並んでいるからです。横長の写真を2枚並べて立体視するのは無理があります。
撮影に特殊な機材が要るのと、プリントを見るのにコツが必要だったせいか、ステレオ写真は一般には普及しませんでした。それでも少数ながら愛好家はいます。それ専門に収集しているコレクターもいるくらいです。
3D は、いつの時代でも人間の願望を代表する、永遠のテーマなんでしょうね。