2011/12/10(土)デジタル写真と蛍光灯

 デジカメはカメラ側で色温度が調節できます。RAW 現像のときに補正することも可能です。蛍光灯照明は、フィルム撮影では色補正がやっかいでしたが、デジカメではかなり楽になりました。

 そんな事情を反映して、蛍光灯を使ったスタジオ照明設備が登場しました。灯具の価格が高いのが難点ですが、タングステン照明よりも扱いは簡単で低コストです。欠点としては、光が安定するまでに時間が掛かることです。

 韓国のあるスタジオを見学した人の話では、戸板で自作した灯具に、一般用の蛍光灯を何本も並べていたそうです。管の種類が揃っていれば、カメラ側で補正できるという発想です。
 それもアリですが、フルスペクトルの光源ではないので、きちんと発色しない色があるはずです。子供写真館ならそれでいいのかもしれませんが・・・

 これまで話題にしてきたバイタライトやトルーライトであれば、僅かな補正で自然な発色が得られます。1本あたり数千円するので、一般用のにしたのでしょう。
 そこまでケチらなくても、色評価用の蛍光灯を使うか、せめて三波長タイプにすればいいのに・・・

 色評価に使われる高演色性の蛍光灯には、AAA と AA があります。太陽光に近いものほど A の数が多くなります。市販されている普通の蛍光灯は、A がひとつか全くないかのどちらかです。
 平均演色評価数(Ra)は、太陽光を 100 として表わします。昼白色の AAA 管は Ra99 に達します。AA 管だと Ra90 くらいです。

 バイタライトは Ra94 ですが、AAA 管のほうが撮影に適しているとは一概に言えないようです。平均演色評価数は、あくまで眼で見たときの演色性を表す数値だからです。眼に見えない輝線スペクトルは評価に含まれません。

2011/12/09(金)フルスペクトルライトとは?

 写真の技術は、人間の眼で見たとおり記録することを目指して発展してきました。人工照明も同様です。いかに太陽に近い光を作り出すかが目標です。
 太陽光に近い照明をフルスペクトルライトと表現することがあります。前回話題のバイタライトやトルーライトは、このフルスペクトルライトの範疇にあります。

 人間の眼で色として感じる波長域を可視光と呼んでいます。紫外線や赤外線は見えません。写真撮影に使う照明は、原理的には可視光域だけあればいいのですが、それではフルスペクトルライトではないとの意見もあります。
 実生活で使う照明には、赤外線や紫外線も必要だとする言い分です。

 光と健康の関係は、まだ未開拓の分野ですが、実生活に人工照明が及ぼす影響はありそうです。とくに精神面への影響を指摘する声は、かなり前からありました。一般的な蛍光灯照明は、情緒不安定の原因のひとつという指摘もあります。

 光源の色温度が変わっても白い物を白く感じるのは、人間に補正能力があるからです。それが長時間続くと、精神的にストレスが溜まるのではないかと言われています。
 一般的な蛍光灯は太陽に近い色温度なのに、ストレスが溜まるのは理屈としておかしい気がします。どうやら原因は、冒頭のフルスペクトル(太陽光と同じ構成)でないところにあるようです。

 発光ダイオード(LED)を使った照明が増えています。RGB の三原色を組み合わせて、色温度を変えることができますが、LED 各色の波長域が狭いため、太陽光と同じスペクトル構成にはならないそうです。RGB の重なる部分が弱い(か欠落する)ということですね。

 青色 LED と蛍光体を組み合わせたほうが、波長域を広く取れます。家庭用 LED ランプのほとんどは、この方式を採用しています。
 業務用 LED ライトの中には「フルスペクトラムな・・」と謳っているものもあります。一般家庭用の LED ライトがフルスペクトルになれば、健康的な照明として一気に普及するかもしれません。

2011/12/08(木)トルーライトはいま?

 「酸化セリウム」の先生が現代美術の撮影に使っていた蛍光灯トルーライトは、今でも売っているのでしょうか?

 昔はコニカが輸入していて、写真用品ショーの総合カタログにも載っていました。ねじりん棒みたいな直管の蛍光灯で、アメリカ製でした。当時でも1本5千円以上したと思います。
 先生が使うときには、コニカは既に取扱いをやめていて、輸入している先を調べて知らせた記憶があります。

 現在、生産工場はアメリカからハンガリーに移っていて、名前も VITA-LITE(バイタライト)に変わっています。ネットで検索すると、取扱っているサイトがたくさん出てきます。需要があるんですね。

 輸入元のサイトを見ると、スパイラルの入った直管がバイタライト、ストレートの直管がトルーライトになっていました。トルーライトはアメリカ製のままです。
 おそらく先生が使っていたトルーライトに一番近いのは、いまのバイタライトではないかと思います。
 デジタルカメラは、こんな特殊で価格の高い蛍光灯でなくても撮影できます。写真撮影のほかに使い道は?

 太陽光が必要なペットの飼育や、正確な色評価が求められる生産ラインなどで使われているそうです。一般的な蛍光灯は精神面に負荷があると言われていますが、バイタライトは自然光に近いので、リラックス効果があるみたいです。病院やエステなんかにはいいでしょうね。

 以前輸入元から取寄せたトルーライトの資料には、いっぱい種類が載っていました。ねじりん棒でもいろんな特性のものがありました。
 現在輸入されているのは一部だけでしょうが、購入するときは、念のために型式とスペックを確認したほうがよさそうです。
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