2008/07/07(月)七夕の星にも著作権

 毎年7月7日は織姫と彦星が年に1回めぐり逢えるロマンチックな日です。
 「うんにゃ、今日は盧溝橋事件71周年だ!」という硬派のかたがおいでになるかもしれませんが・・・

 空に輝く星々に著作権はありませんが、写した写真には著作権があります。天文台の巨大な望遠鏡で撮影された画像や、宇宙空間で撮影された画像は、版権フリーでない限り、無断で使用することはできません。
 アマチュアが撮影した天体写真にも著作権があります。もっとも、ただ星空を写しただけの写真で著作権を主張しても意味はありません。何か特別の現象を捉えたとか、特殊な機材で撮影したとかなら話は別ですが・・・

 自作の大口径望遠鏡で未知の彗星を探す・・なんて夢のある趣味のひともいました。イケヤ・セキ彗星は有名です。
 いまでもそうしたアマチュア天文家はいるでしょうが、人間の眼で探すよりも、夜空を撮影した写真から判定したほうが、発見の確率は高くなります。写真のほうが、より暗い天体を捉えることができるからです。
 夢が少し小さくなりましたね。

 結婚式の写真集に織姫星と彦星のカットを入れるのも、夏の挙式らしくていいかもしれません。琴座のベガとわし座のアルタイルです。白鳥座のデネブを入れれば「夏の大三角」になります。
 暗い空なら、天の川を挟んで織姫星と彦星が向かい合う様子がよくわかります。標準レンズで20~30秒の露光であれば、星が点で写ります。それ以上だと地球の自転で星が線になってしまいます。

 ちゃっかりプラネタリウムで済まそうというひとがいるかもしれません。間違えてフラッシュを光らせないよう、くれぐれもご注意を!

2008/07/06(日)風景写真の著作権

 風景写真に人物が写っていると肖像権の問題が絡む話をしました。純粋に風景だけ写っている写真にも著作権はあるのでしょうか?
 風景そのものには著作権はありませんが、写した写真にはある!というのが一般的な解釈です。

 有名な話に、マッド・アマノが、白川義員の写真をコラージュして作品に使った事件があります。Wikipediaに事件の簡潔な記述があったので、紹介しておきます。

 1970年1月、パロディ作家であるマッド・アマノが、白川義員のアルプスで滑降するスキーヤーと山を撮った写真作品にタイヤの跡を付けたパロディ作品を作品集『SOS』として発表。1971年9月、白川が東京地裁に著作権侵害で訴えた事件。「パロディは見る側の自由な批評の一つであり著作権として認めるべきで、もっと発展させていかなければいけない」という美術評論家、針生一郎の意見などもあったが、東京地裁は白川勝訴の判断を下した。[Wikipediaより]

 白川義員の写真は、かなり大掛かりな準備をした上で撮影された映像です。ヘリコプターや飛行機を駆使し、現地ロケのスタッフもヒマラヤ登山並みです。苦労して撮影した写真をパクリで簡単にパロディ化されたのでは、たまったものではないでしょう。
 マッド・アマノが作品の意図を伝えたうえで、版権を購入していたら、こういう事件にはならなかったと思います。白川義員が「ノー!」と言ったら、マッド・アマノは機材を担いで、自分で同じ場所に行って写真を撮ってくるしかありませんが・・・

 お金が絡まない個人的な利用は、ここまでシビアな問題に発展することはありません。結婚式の写真集に、土産物屋で買った絵葉書の写真を使っても、訴えられることはないでしょうね。
 商売として利用した場合は、もちろん違法行為になりますが・・・

2008/07/05(土)風景写真の肖像権

 思わぬところから、話がホロゴンに脱線してしまいました。ライカやコンタックスのレンズの話をし出したら、伏魔殿に突入してしまいます。
 話を写真の著作権と肖像権に戻して・・・

 かなり前に蓼科に行ったときの話です。ラピタス蓼科ロープウェイで標高2240mまで登り、坪庭から北横岳まで行ってきました。家族連れです。
 少し時間があったので、縞枯山の近くまで行ってから坪庭に戻ってきました。坪庭の近くで中年の紳士から声をかけられました。いま撮った写真にあなた方が写っているが、本に掲載してもよいか?との話です。

 聞くと、大学の教授で、自分の研究書を出版するときに、その写真を使いたいそうです。それらしい格好をしたトレッカーが現れるのをズーッと待っていた由。辛抱強いひとですね。
 山岳会のパーティーだと、後で必ず「無断掲載だ!」というクレームが入るそうです。豆粒くらいに写っている写真でもクレームになるとボヤいてました。もう懲りて一般のひとしか撮らないんだとか・・・ せちがらい話です。
 ○○山岳会御一行様というコメントでも入れて欲しいんですかね。

 話をしているすぐ横に高山植物が生えていて、花が梅の形に似ているのでバイケイソウ(梅形草)という名がついていると教えてくれました。コバイケイソウ(小梅形草)よりもずいぶん大きな草です。ひとつ勉強になりました。

 写真の話をしていたら、「ご存知ないでしょうが、今度フジからMS100-1000というフィルムが出て大変助かる」と言ってました。現像するときにISO感度を100から1000の間で指定できるリバーサルフィルムで、略号はRMSです。
 たまたまサンプルフィルムをもらってテストしたことがあったので、ISO800まで感度を上げるとシャドー部に粒子が浮きやすいこと、タングステン光の感度がかなり低いことなどを伝えました。

 まさか、その辺を歩いているハイカーから情報が得られると思っていなかったようで、「今日はいい出会いがあってよかった」と喜んでました。
 こちらも同じです。
 (RMSはすでに製造中止になっています)
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