2011/08/07(日)ネットプリントの旨み

 フィルムからのプリントと、デジタルデータのプリントでは、いくつか異なる点があります。フィルムは人の手でキャリアに装填する必要がありますが、デジタルデータは人の手を介さずに自動的に処理できます。
 受付形態も違います。デジタルデータは、店頭受付機を使ってユーザーがセルフサービスで注文します。そのぶん店側の手間が省けます。

 ネット回線を通じて受注できるのもデジタルデータの特徴です。遠隔地の客からも注文が取れるので、商圏が広がります。ネットを通じて受注している店の多くは、これが狙いのようです。

 問題は仕上がり品を届ける方法です。少量ならメール便、大量の場合は宅急便を使うのが一般的な方法です。メール便は、配達日時が不安定、代引決済ができないのと、万一事故の場合の補償がないのが難点です。その代わり送料は安く済みます。枚数が少なければ損害も少ないと、割り切るしかないでしょう。

 こうした危ない受け渡し方法が使えるのは、原板を預かる必要がないからです。デジタルデータの原本はユーザーの手元に残っています。最悪の場合でも、もう一度送り直してもらえば再製可能です。

 ある地域ラボは、そのエリアに何店舗も直営店を持っていながら、ネットからの注文も受付けています。御曹司の発案だそうですが、社長はあまり積極的ではないみたいです。「あんなものは・・」と、気のない言い方をしていました。
 お互いの顔が見えない商売は、確実性と継続性がないという考えのようです。情勢の変化で一気に仕事がなくなるリスクは確かにあります。

 この社長は、ミニラボがまだ少ない時代から、低価格プリントで名を馳せてきた立志伝中の人物です。ネット受注のプリントは、L判1枚 19 円。激安店に比べれば決して安くはありませんが、ここらあたりが低価格プリントの基準ではないかと思います。
 通常の店頭受付価格は、L判1枚 28 円です。久しぶりにホームページを見たら、500 枚以上の店頭受付が特価 17 円になっていました。社長はまだ健在みたいですね。

2011/08/06(土)激安プリントは大丈夫か

 大事な写真はお店の銀塩プリントに任せるとして、ネット上には常識を超える低価格でプリントを請け負う業者があります。こういう業者に大事な写真を任せて、果して大丈夫でしょうか?

 写真用の印画紙を使ったデジタルプリントは、デジタル式の銀塩プリンターが必要です。新品なら最低でも数百万円はします。耐用年数が6年として、月 10 万円ほどの経費が掛かります。月5万枚焼いて1枚あたり2円ほどのコストです。
 そのほかに印画紙の原価と、現像処理の薬品代、プリンターを動かす電気代やメンテ費、廃液処理などの経費が必要です。それにプリンターを操作する人の人件費と・・・

 印画紙の現行相場が平米あたりいくらか詳しくは知りませんが、常識的に考えて、少なくともL判1枚3~5円はするはずです。薬品関係は2円弱くらいですかね。自宅で家賃がゼロとしても、機械の償却や人件費などを考えれば、プリント1枚あたり 10 円以下では採算が合わないのでは?

 それにも関わらず、1枚3円以下の激安店があります。枚数限定で初回の入会特典だそうですが、損して得取れという発想なのか、まともな商売ではないような・・・
 フィルム全盛期には、ゼロ円プリントが横行しました。現像料を充てこんだ商法です。原価数十円の現像コストで数百円もらえれば、プリント代がロハでも採算が合わないこともなかったみたいですが・・・

 デジタルプリントには、フィルム現像料はありません。プリント1枚でいくら貰えるかが勝負です。個人的には、L判1枚 15 円以下の売価では、経営的に成り立たないと踏んでいます。
 仮に月に 10 万枚以上焼いたとしても、デジタルプリンターのレーザーエンジンは、半永久的に使えるわけではないので、処理量が多ければ、そのぶん交換時期が早く来ます。
 いまの機械が潰れたらドロン!というなら話は別ですが・・・

2011/08/05(金)お店プリントの活用

 互換インクや詰替インクの実態を調べていて、ひとつの傾向があるのがわかりました。一過性の書類を純正インク以外の低価格品で済ませている人の多くが、長期保存が必要な写真は写真店を利用していることです。

 耐久性を謳うプリンターメーカーのインクに比べて、互換インクや詰替インクは劣る傾向があるからです。数ヶ月で変色したという結果報告が多く見られます。粗悪品の中には、インクカートリッジの中にある段階でインクの色が変わった、というテスト結果も出ていました。

 インクジェットプリンターが普及しはじめたころと似たような状況です。初期のインクジェット出力(とくに染料系)は、数ヶ月で変色してしまいました。当時は、大事な写真は印画紙で・・というキャンペーンを張る業界団体があったくらいです。

 プリンターメーカーの研究開発が進んで、プリントの耐久性はかなり向上しました。印画紙がすべての点で優位なわけではないと、感材メーカーの人が認めるレベルまで上がっています。
 ただし、耐久性をウリにするメーカー純正インクは割高です。長期保存が必要ない一過性の文書や資料まで、写真プリントと同じコストが掛かるのには、納得できない人もいるでしょう。

 そこで、自家プリンターは社外品のインクで低コストに抑え、アルバムに貼る写真や他人に渡す写真は、お店でプリントする使い分けが広まります。合理的で賢明な方法です。
 結婚式の撮影を頼まれたら、コストダウンのために詰替インクを使うのは、やめたほうが無難です。カット数も多いことだし、お店プリントなら手間を省けます。何よりも品質を担保するのが一番大事でしょうね。
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