黎明期の写真原板2009/05/22(金)
初期の写真原板は銅板でした。銀メッキされた銅の板にヨウ素を使ってハロゲン化銀の膜を作り、長時間露光します。いわゆる銀板写真です。光の反射を利用して画像を見るので、鏡と同じで左右が反転します。着物の着合わせを逆にして、刀を右に差して・・それなりの工夫が必要でした。
透過原板ではないから、焼き増しはできません。原板そのものが1点ものの写真です。
ガラス板に乳剤を塗るようになってから、のちに紙に焼き付けることができるようになります。現在の写真に近い形です。紙に乳剤を塗ってフィルム代わりにし、無理やり転写する方法もあったようですが・・・
濡れた状態でないと感度がなくなる湿板写真は、その場で仕込むため、暗室代わりのテントを持参しての撮影でした。現像処理もその場でします。日本では大名駕籠のようなものを利用したとか・・・
写真家がテントから解放されたのは、乾板が登場してからです。いまでも写真の原板に「板」の字を充てるのは、こうした歴史があるからです。
旧家には、古い写真の原板が、まだ残っているかもしれません。例え保存状態が悪くても、ゴミとして捨てるようなことがあってはいけません。
たまにネットオークションに古い写真原板が出品されることがあります。前回話題にしたラボのオーナーみたいに、古い写真のコレクターもいるから、ある程度の値段で売れるでしょうね。
ゴミで捨てられるよりは、誰かの手に渡って保存されたほうがいいに決まってますが、その写真の由来も一緒に継承してほしいと思います。
歴史的な資料は、写真画像だけでなく、どこの誰がいつごろ何のために撮影したか、文字による伝承とセットで初めて価値が出ます。
それがはっきりわかっていたら、ネットオークションには出さないかもしれませんが・・・