2009/03/28(土)広告代理店とCM撮影

 日常目にする広告写真には、広告代理店が一枚噛んでいます。駅貼りのポスターや新聞雑誌の広告は、ほとんどが広告代理店が窓口になっています。

 広告代理店といっても広告勧誘会社でなくて、電通や博報堂のような広告企画会社の話です。
 地方選挙のポスターは、街の写真館に直接依頼することがありますが、知事選や国政選挙になると、大半は広告代理店が窓口です。大手企業の商品ポスターは、もちろん広告代理店の仕事です。

 大手の広告代理店が請け負うCMには、莫大な予算が必要です。ポスター1枚に数百万円から数千万円のお金をかけることもあります。有名タレントやスポーツ選手の肖像権が高いこともありますが・・・

 1枚のポスターを作るために、アートディレクター・デザイナー・スタイリスト・ヘアメイク・カメラマンなど、様々な職種の人間が関わります。専門職が寄って集って作るから、相当な経費になります。
 そこに広告代理店の利益が上乗せされます。高いわけですね。

 広告は建築とよく似ています。
 個人の家を建てるのなら、腕のいい大工を知っていれば、そのひと一人に任せることができます。10階建てのマンションを造るのなら、大工では手に負えません。ゼネコンや建築会社の出番となります。

 建築物は、建ててしまえば長いあいだ形になって残りますが、広告はその場限りです。この点は違いますね。
 不況になって真っ先に削られるのは、広告宣伝費だといいます。百年に一度とかいわれる世界同時不況で、広告代理店は大変でしょうね。
 広告収入に頼るテレビ局や新聞雑誌などの企業も逆風状態です。経費節減で、現場のカメラマンにもしわ寄せがきているようです。

2009/03/27(金)メニューの撮影は高い

 一流レストランの料理メニューは、普通は料理専門のプロが撮影します。こだわりのあるシェフが納得できる写真は、その道の専門家でないと撮れません。

 フルメニューの撮影には、通常 数百万円の費用が掛かります。単独店舗の場合、一流のレストランでも文字だけのメニューにしているのは、費用の問題があるからです。
 多店舗でチェーン展開している飲食店は、1店あたりの負担が軽くなるから、立派なメニューを用意しています。ファミレスではメニューが必須です。

 料理専門の写真スタジオにもランクがあります。名の知れた料理専門の写真家だと、かなり高額です。
 「撮影代をケチって見積100万円の先に頼んだそうだが、満足できずにまた私のところに戻ってくるはずだ」と豪語している先生がいました。「最初からこちらに頼めば200万で済んだものを・・」とか言っていたから、かなりの自信です。

 地方の写真家でも一流どころは強気です。その道一筋のプライドがあるからでしょう。200万円というのは、ずいぶん昔の話です。いまはいくらになっていることやら・・・

 この先生は、写真スタジオ以外にレストランを2軒経営していました。いつでも自分の店で料理の写真が撮れる・・というのが自慢でした。
 海外旅行に行ったついでに料理の写真を撮ってきて、旅費を浮かせた・・という話をしていました。旅行会社か雑誌社にでも版権を売ったのでしょうか?
 その道のプロは、写真でお金を稼ぐ方法を知っています。

 写真のデジタル化で、中途半端な技術しか持たない営業写真家は職を失いました。1メニュー200万円の先生は、いまごろどうしているのでしょう。

2009/03/26(木)料理の集合写真

 テーブルの上に何点も料理が並んだ写真は、それなりの工夫が必要です。何も手を加えずそのまま撮影すると、いろいろ不都合なことが起こります。

 試しにそのままの状態で撮影したとします。プリントをよく見ると、四隅の皿が外へ引っ張られて、傾いて写っているのがわかります。
 離れた位置から長めの焦点距離で撮れば緩和されますが、被写界深度が浅くなります。手前や奥の料理がボケていたのでは失敗です。
 全体にピントがくるように設定しますが、焦点距離が短くなるほど遠近感が誇張されて、手前と奥の皿の大きさが変わります。標準レンズかやや長めの焦点距離がお奨めです。

 それでも四隅の皿が傾くようなら、トレーシングペーパーなど腰のある紙を丸めて、皿の下に噛ませます。皿自体を逆方向に傾けて補正するわけです。コインを順番に足していっても構いませんが、皿の数が多いとかなりの枚数が必要になります。
 ガラスの食器にはスペーサーが使えません。料理の下に隠れればいいですが、ワイングラスなどはアウトです。なるべく画面の隅に並べないようにします。

 料理の載った皿は、傾けることができますが、飲み物が入ったカップは、このやり方ができません。カップを傾けても中身の液体はそのままだからです。中身だけが傾いて写っては、かえって不自然ですね。
 コーヒーや味噌汁などの液体ものは、なるべく画面の隅に配置しないのが基本です。

 いまではデジタル画像処理でパースの調整ができるようになりましたが、フィルムで撮影していた時代は大変でした。
 下地のデコラ板自体にスペーサーを入れてたわませるという、大技を使うこともあったそうです。レンズの歪みを打ち消すように、地ベタを歪ませるには、かなりの熟練を要します。
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