2010/01/22(金)FI-800GTとACEの違い

 フォトラマ(FUJIFILM)のモノシートタイプには、現行機種用のinstax/miniのほかにFI-800GTとACEがあります。どちらもカメラは製造を打ち切っています。
 2010年6月ごろには、フィルムの出荷が止まるとアナウンスされています。業務用途がデジタルに替わって、一般需要はチェキ(instax mini)があればいいということでしょう。

 FI-800GTとACEは、どちらもISO感度が800で、画面サイズも同じですが、互換性はありません。タイプ変更の主な理由は、ゴミ処理の問題でした。
 FI-800GTは、フィルムパックにプラスチックと金属を使用しています。後から発売になったACEは、プラスチックだけなので、分解して分別する必要がなくなりました。

 それだけ業務用途が多かったということです。いくら環境問題がうるさくなったとはいえ、一般家庭で使う量はしれています。保険業界や建築土木の分野では、インスタントカメラが活躍していました。いまではデジタル写真に替わっています。

 フィルムサイズは同じだから、ちょっとした加工をすればカメラに装填はできます。カメラ側のノッチを削ることで、FI-800GT仕様のカメラにACEを填めることができました。
 問題となるのは、フィルムを後ろから押えるバネがACEのフィルムパックにはないことです。金属製の押えバネを省略する代わりに、カメラの裏ブタに突起をつけてフィルムを押えていました。

 ピント面の精度や撮影後のフィルム排出に支障があるため、カメラ側のノッチを削るだけでは実用できません。裏ブタに押えの突起をつける必要があります。加工した後は、FI-800GTは使えなくなります。突起がフィルムパックに当たって裏ブタが閉まらなくなるからです。

 ACEだけ残るというなら加工する意味はありますが、同時に販売終了では徒労です。自宅に転がっている Mr.HANDYは、もうすぐ前世紀の遺物ですね。

2010/01/21(木)モノシートでスタジオ写真

 FUJIFILMからモノシートタイプのインスタントフィルムを使う面白いカメラが出ていました。MX-800とMX-900です。レンズ固定式の一眼レフでした。
 使用フィルムは、MX-800がFI-800GT、MX-900がACEです。どちらも感度はISO800ですが、フィルムの互換性はありません。

 このカメラは業務用で、専用のクローズアップ装置をつけることでマクロ撮影ができました。医療関係でよく使われていたようです。
 シャッター速度や絞りを自由に選ぶことはできませんでしたが、開放のF12と最小絞りのF22に固定することは可能でした。フィルムの感度がISO800だから、ISO100換算ならF4.2/F7.8、ISO160換算でF5.4/F9.8相当となります。

 一般的なスタジオ照明は、ISO100~160で F8~11です。MX800/900の絞りをF22に固定してやれば、そのままでも撮影できました。デジタル写真が普及する以前に、その場で写真が見られたわけです。

 実際にスタジオ撮影で使っていた写真館は少なかったと思います。掌サイズの小さな写真では料金がもらえないし、すぐに写真ができることに価値を見出せない体質も関係していたようです。2~3分で仕上がる証明写真をもったいつけて「1時間後に・・」という店もあったくらいです。

 MX-900のデモ機を借りて使ったことがあります。花の教室で、生徒さんに写真の撮り方をレクチャーしたときでした。
 照明はモノブロックタイプのストロボにソフトボックスです。トップライトに使い、カメラの内蔵フラッシュと同調させて撮影しました。メインライトが点光源というのは感心しないやり方ですが、「コンパクトカメラで本格的な写真が撮れるように・・」という要望だったので苦肉の策です。

 生徒さんは二十歳前後の若い女性ばかりです。撮影して徐々に画像が現われると、キャッキャ言って喜んでました。まだデジカメを持ってくるひとが少ないころだったから、現像する前に撮影結果を見せるには、インスタント写真が有効でした。
 ケチってフィルムを1パックしか持っていかなかったのは失敗でしたが・・・

2010/01/20(水)FPフィルムとモノシート

 インスタントフィルムには、業務用途のピールアパートタイプ(剥離方式)とモノシートタイプの2種類があります。一般的によく使われるのはモノシートのほうです。チェキがそうですね。

 もともとこのジャンルは米ポラロイド社の独壇場でした。コダックがモノシートタイプのカメラとフィルムを発売したときは、ポラ社と大もめになりました。特許権をめぐって法廷闘争にまで進展します。

 当時、FUJIFILMもインスタント写真に参入しています。コダックとの提携でした。裁判でコダックが負けてしまったので、富士もアウトかと思いましたが、そこはビジネスの世界です。コダックとの提携を解消して、ポラ社と提携し直すことで決着しました。
 コダックに払った金が、今度はポラ社に移動してケリです。ポラロイドにしてみれば、世界トップのコダックと違って、富士は脅威が小さいと踏んだのでしょう。それよりも実利(カネ)です。

 インスタント市場から撤退したコダックのアフターフォローは、富士が引き受ける形になりました。フィルムの規格サイズが同じだったからです。ISO感度の違いはありましたが、露光補正レバーを操作することで共用できました。
 それ以降のモノシートタイプは、メーカー間の互換性はありません。ポラロイドとFUJIFILMのフォトラマは、まったく違う規格です。

 現在市販されている富士のモノシートフィルムは、ACE、FI-800GT、instax、instax-miniの4種類です。instax-miniは「チェキ」の愛称で呼ばれています。
 カメラの現行機種は、instax 210ワイドとチェキのシリーズ(5機種)だけです。ACEやFI-800GTを使うカメラは、すべて販売を終了しています。今年の6月にはフィルムの出荷が止まるとアナウンスされています。

 インスタント写真の元祖ポラロイドは、すでにカメラとフィルムの製造を打ち切っています。フィルムパックに電池が内蔵されていたのがアダで、まとめ買いしてストックしておくことができませんでした。
 今年になって、往年の名機SX-70とフィルムが復活するとか・・・
 ほかの規格サイズも復活するそうだから、慌ててカメラを処分しないほうがいいみたいです。
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