2011/01/22(土)結納は武家の風習

 結婚につきものだった結納は、次第に廃れる傾向にあります。結婚が家と家のものではなく、男女個人の契約事という本来の姿になったからでしょうか?

 結納の始まりは宮中とされています。それが室町以降、武士の間に広まり、武家の習慣として定着しました。江戸時代後期には、苗字帯刀を許された豪商の間で、武家を模して行なわれるようになり、一般庶民に普及したのは明治以降というのが定説です。

 第2次世界大戦までは、家父長制が色濃く残っており、結婚式は家と家の行事でした。戦後それが男女個人の契約事に変わっていきます。
 国民は法のもとに平等であるとする日本国憲法や、農地改革による小作人の解放も影響したと思います。家の格式を云々する時代ではなくなりました。
 1億総中流化で、「嫁は庭から貰え」という格言は、ほとんど死語同然となりました。

 媒酌人(仲人)を立てる習慣が廃れたのも影響しています。結納や結納返しの仲介は、媒酌人の役目でした。見合い結婚が減少し、恋愛結婚が主流になると、世話焼きオバサンの出番がなくなります。
 いまでは、仲人を立てるのは 2% あるかないかまで減りました。

 結納は、めでたい謂れの品々と一緒に着物を贈るのが慣わしでした。いまどきの婚礼衣裳はレンタルが圧倒的主流だから、着物を贈るのは無意味です。結納の品は「結納金」に代わっていきます。
 相手の家にお金を渡すのは、人身売買みたいな悪印象があります。お金にするなら、結婚する当人に直接手渡すのがいいでしょうね。

2011/01/21(金)惚れた女房に三行り半を

 離婚が成立しなければ再婚できないのは、昔も今も変わりません。違いは、離婚の主導権が男女同権になったことくらいです。江戸時代には、女性の側から離婚を申し立てることは、まずできませんでした。

 離縁するときは、ダンナが女房に離縁状を渡します。いわゆる「三行り半(みくだりはん)」です。三行半にまとめるのが習慣だったのが言葉の由来です。
 男から一方的に離婚を宣告できたわけではないみたいですが・・・

 三行り半がないと、女性は再婚することができなかったそうです。妻が離縁を望んでいるのに認めないのは、男の恥とされていたようで、女性の側から離婚話を切り出す余地はあったみたいです。
 ダンナの側も、離縁状を渡さずにほかの女性と結婚するのはご法度でした。結婚が男女の契約事であるのは、昔も今も変わりませんね。

 武家社会では、女性の財産権が確立しており、殿様といえども奥方の私物を勝手に処分することは、固く禁止されていました。もしそういう事態になった場合は、妻の側から離縁することができたそうです。
 お輿入れのときに持参した嫁入道具一式は、花嫁の私的財産です。実家が用意したものと嫁ぎ先が用意したものとは、はっきりと区別されていました。

 それを示すのが「家紋」です。花嫁側が用意したものには、実家の母親から贈られた「女紋」が入れられているのが普通です。もし離縁ともなれば、実家から総動員で嫁入道具一式を引き上げに行ったとか・・・
 「女紋」は、そのときの識別マークですね。

2011/01/20(木)再婚組の婚礼衣裳

 離婚率の上昇で再婚する人が増えているそうです。離婚が成立してなければ再婚できません。二重結婚は法律で禁止されています。
 昔、「三重結婚相談所」という看板を見かけました。また珍しいケースを扱う所だと不思議に思いましたが、「みえ結婚相談所」が正しい読みでした。鈴鹿市だから三重県です。

 冗談はさておき、再婚組の婚礼衣裳はどうなっているのでしょうか? ホテル・式場で派手な結婚式をやるケースは少ないようですが、何らかのセレモニーはしているはずです。
 レストランで披露パーティーなら、ウェディングドレスとタキシードが多いように思います。和装は頭や着付けが大変です。

 ドレスショップに聞いたところ、「はっきりとは言わないが再婚と思しきカップルが何組かあった」そうです。初婚と再婚の違いはないみたいです。花嫁が初婚なら、気に入るウェディングドレスを着たいだろうし・・・
 結婚式の多くは、花嫁のためにやるようなもんです。

 ドレスを買取る人が少ないという話を写真スタジオでしていて、「再婚するつもりでもなければ買っても使い道がない」と言ったら・・・ 「私だったら前のダンナのときのドレスは着ないわ」と奥さん。
 五十を過ぎても、女性のウェディングドレスへの思い入れは変わらないんですね。花嫁が再婚でも一緒みたいです。

 一方、ダンナのほうはもう少し冷めていて、初婚のときのような派手な衣装は着ないのでは? いまどきの新郎衣装は、業者の思惑でグローバルな正装とはかけ離れた別モノになってしまいました。
 人生の場数を踏んだのだから、大人の正装でゲストを迎えてはどうかと思います。
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