2008/05/19(月)単焦点レンズとズーム
でも、時代はズームレンズ全盛です。たくさん売れるからコストが安くなり、単焦点レンズのほうが割高になりました。50mmの標準レンズは、いまや「交換レンズ」??扱いです。50mm F1.4が3万円前後だったころが懐かしいですね。
大口径の標準レンズを持っているひとは、かなりの写真好きです。わざわざ高いお金を出して、標準ズームで代用できる焦点距離のレンズを買ったわけですから・・・
ズームレンズの普及には、フィルムの高感度化が貢献しました。常用フィルムがISO100からISO400になったことで、2絞り暗いレンズでも同じ露出で撮影できるようになりました。
デジタルカメラの高感度化が進んで、ISO400以上でもノイズの少ない画像が得られるようになったので、ズームレンズ主流は動かないでしょうね。レンズ交換を頻繁にすると、ホコリの問題もあるし・・・
ズームレンズは便利なので、手元に何本か置いてあります。旅行やスナップ写真なら、単焦点レンズを持っていくことは稀になりました。オートフォーカス+自動露出との組み合わせが、楽で便利ですね。
結婚式みたいに室内撮影中心だと、開放値の明るいズームが必要ですが、コマごとに感度が変えられるデジタル一眼レフなら、F3.5か F4でも十分実用できます。
もし、カメラ1台(レンズ1本)しか持っていけないとすると、どのカメラと何ミリのレンズにするか・・ということを考えたことがあるでしょうか?
もちろん撮影目的によって組み合わせが変わるでしょうから、「コレっきゃない!」ということにはならないと思いますが・・・(ひとつしか持っていないひとは悩む必要がなくて幸せです)
私の場合、昔はNikon F2と24mm F2.8でした。少し前までは、ティアラⅡ(28mm F3.5)ですね。じゃあ今は?というと、ちょっと難しいなぁ。
フィルムにするか、デジタルにするか・・・ この選択で悩んでいるようでは、レンズ以前の問題でしょうね。
2008/05/18(日)ズームは近距離に弱い
前玉がバカでかいレトロフォーカスの広角レンズと違い、後玉とほとんど同じくらいの小さな前玉が特徴です。最短撮影距離25cmというのが気に入っています。
天体写真撮影によく使われていたので、諸収差がよく補正されたレンズといえます。相手は点ですからね。コマ収差・非点収差があったら使えません。無限遠でも活躍できるレンズです。欠点は、半逆光に弱いということですかね。
同じメーカーが、28-200mm F3.8-5.6[71D]という高倍率ズームを1992年に発売しました。「ニッパー200ならタムロン」という金字塔を立てる端緒となったレンズです。
発売直前に、このレンズをチラッと見せてもらったことがあります。特約店の幹部に見せて回った後のようで、メーカーのえらいさんは「どうです、いいでしょう」と満面笑みでしたね。
ヘリコイドを見て「最短2.1mか・・」、カメラを上下に振って「ディストーションが・・」なんてことをブツブツ言ったもんだから、急に憮然とした表情になりました。痛いところを突く煩い奴だと思われたようです。
でも、当時で28-200mmのズームは立派なもんです。米国市場に十分切り込めるのでは・・と誉めちぎっておきました。また満面笑みです。
望遠側に欲張ったズームは、最短撮影距離が遠いのが欠点です。ワイド側を重視するなら、あまり望遠側の焦点距離を求めないほうが無難です。また、切り替え式のマクロ機能と最短撮影距離は別ものです。
現在のTAMRON 28-200mm[A031]は、全焦点域で最短撮影距離は0.49mです。初期モデル[71D]が、プロクサーレンズを前に装着してごまかしていたことを思い出すと、隔世の感があります。
あのとき、えらいさんにブチッと言っておいたのが効いたかもしれませんね。
2008/05/17(土)広角レンズで接写
小さなものを大きく写すだけなら、焦点距離50mmか100mmクラスのマクロレンズのほうが便利です。歪みもないしシャープに写ります。
広角(ワイド)レンズによる近接撮影は、面白い描写になります。画角が広いので、近くのものだけでなく背景が一緒に写せます。被写界深度が深いレンズなので、ボケていても後ろに何が写っているかがわかります。
例えば風景写真なら、背景に富士山を入れることで、撮影場所が表現できます。富士山は独特の形をしているので、ボケていても富士山だとわかります。日本人の脳裏に焼き付いていますからね。(蛇足ながら武道館の屋根は富士山を模しているそうです)
結婚式で、テーブルの花やキャンドルをアップにし、背景に新郎新婦を持ってくる・・なんて撮り方も面白いですね。望遠系のレンズだと、完全にボケてしまって何が写っているのかわかりません。ワイドレンズならではの使い方です。
一眼レフのワイド系レンズ(レトロフォーカスタイプ)は、近接撮影は苦手な分野です。近くにピントを合わせると、画像が乱れるためです。それを防ぐために、近距離だけレンズの構成を変化させるフローティング機構を採用しているレンズもあります。最短撮影距離が0.6m以下なら、このタイプでしょう。
フローティング機構のワイドは、ピントの合っていない部分のボケ味が汚くなる欠点があります。せっかくの近接撮影能力が生かせません。ティアラみたいなワイド系コンパクトカメラは、捨て難い存在ですね。