2008/05/18(日)ズームは近距離に弱い

 一眼レフ用の広角レンズのなかにもスグレモノがありました。タムロンの28mm F2.5[02B]は、知る人ぞ知る名品です。アダプトール2シリーズのレンズで、マウントを交換することで各社一眼レフに使えます。

 前玉がバカでかいレトロフォーカスの広角レンズと違い、後玉とほとんど同じくらいの小さな前玉が特徴です。最短撮影距離25cmというのが気に入っています。
 天体写真撮影によく使われていたので、諸収差がよく補正されたレンズといえます。相手は点ですからね。コマ収差・非点収差があったら使えません。無限遠でも活躍できるレンズです。欠点は、半逆光に弱いということですかね。

 同じメーカーが、28-200mm F3.8-5.6[71D]という高倍率ズームを1992年に発売しました。「ニッパー200ならタムロン」という金字塔を立てる端緒となったレンズです。
 発売直前に、このレンズをチラッと見せてもらったことがあります。特約店の幹部に見せて回った後のようで、メーカーのえらいさんは「どうです、いいでしょう」と満面笑みでしたね。

 ヘリコイドを見て「最短2.1mか・・」、カメラを上下に振って「ディストーションが・・」なんてことをブツブツ言ったもんだから、急に憮然とした表情になりました。痛いところを突く煩い奴だと思われたようです。
 でも、当時で28-200mmのズームは立派なもんです。米国市場に十分切り込めるのでは・・と誉めちぎっておきました。また満面笑みです。

 望遠側に欲張ったズームは、最短撮影距離が遠いのが欠点です。ワイド側を重視するなら、あまり望遠側の焦点距離を求めないほうが無難です。また、切り替え式のマクロ機能と最短撮影距離は別ものです。

 現在のTAMRON 28-200mm[A031]は、全焦点域で最短撮影距離は0.49mです。初期モデル[71D]が、プロクサーレンズを前に装着してごまかしていたことを思い出すと、隔世の感があります。
 あのとき、えらいさんにブチッと言っておいたのが効いたかもしれませんね。
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