2008/09/18(木)反射式望遠レンズ

 光学ガラスを使ったレンズには、色収差があります。光の波長によって焦点を結ぶ位置が違うので、色ズレが生じます。焦点距離が長い望遠レンズほど、この色ズレが大きくなります。

 撮影用のレンズは、屈折率の違うガラスを組み合わせて、この色収差を補整しています。
 天体望遠鏡でも同じです。赤と青の合焦位置をあわせたものを「アクロマート」、赤青緑の合焦位置をあわせものを「アポクロマート」といいます。交換レンズに「アポ」や「アポテレ」という名前がついているのは後者のタイプです。

 一方、反射鏡を使った望遠レンズには色収差がありません。屈折と違って、光の反射には色ズレがないからです。前面に副鏡を固定している補整レンズがあるから、色収差がまったくないわけではありませんが、すべてガラスでできた望遠レンズに比べれば微々たるものです。

 反射鏡は球面鏡なので球面収差があります。それを補整するために前面に補整レンズを使います。この補整レンズの中央に副鏡をはめこんで、集めた光を再度反射させてカメラに誘導する仕組みになっています。
 天体望遠鏡でいうシュミットカセグレン式と同じ構造です。ニュートン式は放物面鏡だけど、90°横が写るレンズでは実用性がありません。

 反射鏡の表面メッキには、銀メッキとアルミメッキがあります。一眼レフのミラーやペンタプリズムにも、同じようにメッキが施されています。真空蒸着という技法です。
 銀メッキのほうが反射率がいいのですが、劣化が早いという欠点があります。

 現在のように表面コートの技術が発達していなかった時代に作られた反射式レンズは、メッキが蒸発したり錆びたりして、反射率が落ちている可能性があります。
 中古のレンズを買うときは、型式と製造年を確認したほうがよさそうです。

2008/09/17(水)AFレンズのロム

 一眼レフのオートフォーカス(AF)化で、交換レンズの中にロム(ROM)が入るようになりました。ボディーと情報をやり取りするための半導体チップです。

 カメラメーカーから新製品が出ると、いままで動いていたレンズが正常に作動しない・・という問題が発生しました。レンズメーカーの製品でよくみられました。
 カメラメーカーからROMを買っていたレンズはよかったのですが、独自に調達したROMだと新製品に対応しないというトラブルが起こり得ます。カメラメーカーのROMが高かったのが要因です。
 しょっちゅうROM交換でリコールするレンズメーカーもいましたね。

 ミノルタのアポテレは、ハイスピードタイプになってから以前のテレコンが使えなくなりました。サンニッパ(300mm F2.8)と200mm F2.8を使っていましたが、ROM交換しないでいたら修理期間を過ぎてしまってアウトです。
 舞台写真くらいしか使わなかったので、サンニッパは売ってしまいました。重くて大きいしね。200mmに1.4倍のテレコンがあれば、普通の撮影にはこと足ります。

 大口径の超望遠レンズは、通常の撮影には無用の長物です。室内でのスポーツや舞台の撮影には威力を発揮しますが、それにしても大きくて重いレンズです。格好や見栄で持つのも億劫だし、そんな歳でもないしね。

 タムロンのSP400mm F4は、「酸化セリウム」の先生のところに長期貸し出し中です。一度貸したら、「このレンズはいい!売らないでくれ。もし売るときはオレに譲ってくれ」というので、他へは売らない証しとして貸しっ放しにしてあります。

 人物の瞳にピシッとフォーカスできたのが気に入ったようです。
 マニュアルフォーカス(MF)のレンズだから、ROMの相性問題はないけど、MFレンズに対応しないボディーには使えません。

2008/09/16(火)黒塗りの超望遠

 パパラッチといえば、盗み撮り用の大口径望遠レンズ1本だけを担いだ姿を連想します。1点豪華主義のサンニッパ(300mm F2.8)です。
 サンニッパといえば、白い鏡筒のレンズを思い浮かべるひとが多いと思います。

 先月開催された北京オリンピックでは、白塗りと黒塗りのレンズの数が肉薄していたというニュースがありました。白塗りはキヤノン、黒塗りはニコンです。
 4年前のアテネでは、白塗りが圧倒的でした。ニコンの巻き返しです。「酸化セリウム」の先生によれば、北京は黒のほうが多かったとか・・・ あの先生、キヤノンが嫌いだからそう見えたのかもしれません。

 レンズの鏡筒の色がなぜ白と黒の二派に分かれたのか、詳しい事情は知りません。白玉が一種の流行だったので、その延長でしょうか?
 以前、黒塗りのメーカーのひとから、白い塗装よりも黒い塗装のほうが難しいという話を聞いたことがあります。黒い塗装をする技術がないから、白く塗って誤魔化しているという言い分です。どうなんでしょうね。
 手抜きをしないニコンが黒塗りを採用しているから、この話はまんざらガセではない気もします。変なところで堅物のニコンは信用がありますね。

 ミノルタα用のサンニッパは、タムロンで作っていました。内情を知っているひとは、価格が安いタムロンを選びました。ただし、鏡筒の色が違ってました。
 ミノルタが白だったのに対して、タムロンは青味がかった水色でした。OEM先に遠慮したようです。黒にすればいいのに、やっぱり黒塗装は難しいんですかね。

 一度だけ白鏡筒のタムロンがカメラ量販店に並んだことがあります。即完売だったそうです。知ってるひとは知ってるんですね。
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