2008/09/15(月)CM写真家の転進先
ブライダルは、ハコと呼ばれる式場・ホテルなどの利権が強い市場です。手に職のあるカメラマンでも、ただの下請けに過ぎません。
それに、若いカメラマンはともかく、年配者にはきつい仕事です。土日・祝日以外に仕事がないのも経済的には辛いところでしょう。
ブライダル関係の専属カメラマンは、若い女性が増えました。スナップ写真や写真集用の写真は、若い世代が撮ったほうが受けがいいようです。
プランナーやドレスショップのスタッフも、若い女性が担当したほうが成績がいいという話を聞きました。オバさんやオジさんの出る幕ではなさそうです。
ここへきていささか過当競争ぎみの子供写真館は、プロのカメラマンを必要とはしていません。どちらかというと、経験者は敬遠される傾向にあります。
撮影技術よりも接客技術が重視される世界です。コマーシャルフォトから転進したという話は、ほとんど耳にしません。
せっかく撮影技術を身につけたのに、写真の世界で食べていけなくて、他の業種に転職するひとが多いみたいですね。もったいない話です。
でも、考え方によっては、斜陽産業にしがみついているよりも別の業種に転進したほうが、経済的にはいい結果になるかもしれません。これは写真業界全般に言えることですが・・・
どうしても撮影をやりたいのなら、パパラッチにでもなりますかね。
2008/09/14(日)CM写真は多ショット
高校時代に、テレビ番組でCMスタジオの撮影風景を見たある教師が、「篠山紀信かなんか知らないが、あんなにたくさん撮るなら誰だってプロになれる」と授業中に放言したことがあります。
その一言を聞いて、例の「酸化セリウム」の先生(当時は生徒)は怒りましたね。大論争になって、その授業は潰れてしまっとか・・・
このころからプロの写真家を目指していたようです。
当時の学校も荒れていましたが、いまみたいな荒れ方とは一風違ってました。先生方に俗な意味で人間味がありました。
こわもてタイプの先生で熱烈な巨人ファンがいて、巨人が勝った次の日の授業は、いつも潰れてました。「今日はダメだぞ!」と宣言していても、「先生、昨日の長嶋は・・」という声があがると、もう解説が止まりません。実質的な授業は10分か15分でしたね。(おっと、こちらも話が脱線)
街の写真館で使うフィルムは、大抵ブローニー1本程度です。6X7判なら10カットです。この中から2~3カットを選んで台紙貼りします。コマーシャルフォトに比べれば、ずいぶん少ないショット数です。
それだけ撮影内容が濃いといえばそうだし、1ショットにかける集中力が違うといえば、そう言えなくもありません。でも、一番の違いは、写真1枚にかけるお金の桁でしょうね。
デジタル時代になって、フィルムと現像のコストがなくなりました。さぞかし儲かるようになったと思うのは見当違いです。多くのコマーシャル写真家は、職を失いました。
多ショット撮影が安く済むようになった反面、確実に結果を出せる写真家はコスト高として敬遠されるようになりました。高校時代の教師が放言したように、誰でも「プロ」になれる時代がきたわけです。
2008/09/13(土)選挙ポスターの写真
候補者が高校時代の同級生ということもあり、広告代理店を通さずに依頼がきます。
例によって、政治家は「アブラギッシュ」でなければならないと、わざと照りを入れて撮ったのですが、印刷の段階ですべて「きれい」に修整されてしまいました。
「デザイナーは何もわかっていない!」と息巻いてましたね。撮影は、いつも「お忍び」だから、取り巻きはついてきません。撮影段階で細かな打合せをしていないので、制作側に真意が伝わらなかったようです。
前回の選挙でも撮影依頼がありました。コマーシャルフォトから足を洗ってしまったので、アシスタントがいません。「フィルムを詰めるやつがいない」とブツブツ言っていました。
家内は「あのひとプロなんでしょ!フィルムも詰められないの?」と怪訝な顔をしています。そういう意味じゃないんだけどなぁ・・・
先生の同級生ということは、私の同窓生でもあります。別に親しいひとではないけどね。先生に、「選挙に落ちれば彼もただのひとだ」と言ったら、「選挙で落ちても彼は友達だ」というので、手伝うことにしました。
選挙で1票を投じるかどうかは別にして、友情は大事にしないとね。対立候補に票を入れないという選択肢もあることだし・・・
なんだかんだで、1時間半の間にブローニーを30本ほど流して無事終了です。撮り出したらスピードが速いですね。予備のホルダーにフィルムを詰めるのが間に合わないくらいです。
現役を引退しても、身に染み込んだテンポは変わりませんね。