2012/02/08(水)ビオゴンはフィルム向き

 CONTAX G2 は、一眼レフに近い感覚の実像式ファインダーを採用しましたが、連動する広角レンズはビオゴン 28mm F2.8 までです。ビオゴン 21mm F2.8 と、ホロゴン 15mm F8 は、外付けファインダーを使います。
 それでも唯一のズームレンズ 35-70mm に連動したというから、開発者としては一眼レフのファインダーに近づけたかったんでしょうね。(ズーム連動は G2 のみ)

 G2 を買ったのは、ビオゴン系が使いたかったからです。ディストーションのないシャープな写りは、同じツァイスレンズでも、一眼レフ用のディスタゴンとはひと味違う描写です。焦点距離の長いほうは、プラナー 45mm F2 までのつもりでした。
 望遠系のゾナー 90mm F2.8 を買ってしまったのは、予想以上によく写ると聞いたのがきっかけです。何人かに確めましたが、同じ評価でした。中には、90mm のためにこのカメラを買ってもいい・・なんて人もいましたっけ。

 フランジバックの短いミラーレス機にマウントアダプターをつけて、フィルム時代のオールドレンズを使うのが流行っています。
 何をやろうが個人の自由ですが、レンジファインダー機用に設計されたワイドレンズは、あまり相性がよくないみたいです。レンズ後端が飛び出した形は、フィルムを前提にした設計です。フィルムは斜めからの光でも写りますが、撮像センサーは色被りや周辺光量不足になりやすい欠点があります。

 ミラーボックスのある一眼レフ用に設計された、バックフォーカスの長いワイドレンズのほうが、デジタルカメラには向いています。レトロフォーカスという設計です。
 歪曲収差があるのが欠点ですが、デジタル式はソフト側でディストーションの補正が可能です。鼓形設計のビオゴンに拘るよりも、レトロフォーカス設計のディスタゴンを使って歪曲補正した方が利口かもしれません。

 デジタルで実用できる CONTAX G レンズは、当面はプラナーとゾナーでしょう。リコー GXR MOUNT A12 は、周辺の色被りが出にくいと評判ですが、ライカ L マウントだから、規格が近すぎてマウント変換は無理です。ほかの機種を待つしかないでしょう。

2012/02/07(火)久々にG2を触ってみる

 AF レンジファインダー機のデジタル版、FUJIFILM X-Pro 1 の話題を取り上げたところで、唯一の「先輩」にあたる CONTAX G システムを引っ張り出してきました。手元にあるのは G2 です。

 触るのは久しぶりですね。一眼レフのほうが使い慣れているせいか、使用頻度はそれほど多くありませんでした。電源を入れてもシャッターが切れません。電池が消耗しているようです。新品の CR2 が2個があったので、入れ換えてと・・・

 随分前に賞味期限が切れた古い電池なのに、リチウム電池は長持ちですね。一応、動きました。
 ファインダーを覗くと、下側に黄色の液晶表示が見えます。このカメラの自動露出は、絞り優先のみなので、シャッター速度だけが表示されます。絞りは自分で決めたから「わかってるでしょ!」というスタンスです。その割には、マニュアル露出のときでもシャッター速度は表示が出ます。

 その左側に距離目盛があって、シャッターを半押しすると、ジッ!という音がして測距離が表示されます。この時点でレンズは合焦位置に固定されます。もし、無限と最短距離と両方にマークが点滅したときは、AF 失敗を意味します。G1 と比べて G2 は失敗の確率が減りました。

 ファインダーは実写画面とほぼ同じ範囲が見えます。28mm は広く、45mm はそのように切り替わります。90mm に換えたときでもその画角になるのは、実像式の特徴で、一眼レフに近い感覚です。
 これが、オールドファンには悪評でした。実写画面よりも広い範囲が見えないのは、一眼レフと同じで、レンジファインダーの良さがないとの言い分です。ライカ M 型を愛用している人はそうでしょうね。

 私は気になりませんでしたが、ついうっかり一眼レフのつもりで構えてしまうのは難点でした。せっかくディストーションのないシャープなビオゴンを使っているのに、光軸のセンターを外したり、パララックスを忘れたりして、悔しい思いをしたことがあります。
 電子ビューファインダーなら、そんな失敗はないでしょうね。

2012/02/06(月)AFレンジファインダー機

 FUJIFILM X-Pro 1 の仕様を見ていて、CONTAX G シリーズのデジタル版だと感じたのは、私だけではないようです。前から、デジタル一眼レフのミラーレス化は、レンジファインダー機の巻き返しだと唱えてきましたが、それが当たった感触です。

 光学ファインダーにピントを合わせる機能がないので、レンジファインダーという言い方は正確ではない、との指摘もあるでしょう。CONTAX G1 が登場したときも同じことを言われました。
 CONTAX G シリーズは、「AF レンジファインダー機」という新しいジャンルの扱いでした。登場したのは、1994 年です。

 あれから 18 年近くも経つのに、AF レンジファインダー機は、ほかには発売されませんでした。一眼レフの AF 化が既に進んでいたからです。
 マクロレンズや望遠レンズを使った撮影は、一眼レフのほうが圧倒的に有利です。ズームレンズは独立式ファインダーとの連動が難しく、1本発売されただけでした。

 X-Pro 1 も単焦点レンズを中心にしたシステム構成です。独立式の光学ファインダーを使っている以上は、やむをえないでしょう。ライブビューの電子式ファインダーなら、ズームレンズでも問題なく使えるはずです。
 ハイブリッド式のファインダーは、オールドファンを獲得するための過渡的な戦略なのかもしれません。

 本体価格といい、交換レンズの価格設定も CONTAX G シリーズと似ています。撮像センサーを内蔵しているぶん、X-Pro 1 のほうが割安とも言えます。
 フランジバックが短いので、ソニー NEX と同様、マウントアダプターで各社レンズが使えるはずですが、AF レンジファインダー機として捉えるなら、専用レンズを使うのが筋でしょう。

 G マウントのビオゴンは、G2 に着けてフィルムで撮るのが最善の使い方だと思います。APSC のデジタル機に着けて画質を云々するのは、あまり意味がない気がします。
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