2017/08/04(金)学校写真の著作権とスマホ文化

 久しぶりに尋ねた写真スタジオの先生は、写真のデジタル化には寛容でした。アナログ式もデジタル式も写真表現の手段のひとつに過ぎない、という考え方です。手段よりも写真の中身のほうが大事なんだとか…

 DP屋のオヤジと違って、写真館の先生方で写真のデジタル化に目くじらを立てる人は少なかったように思います。現像料ではなく撮影でメシを食ってたからでしょうね。この先生は自家処理をしてましたが、一般消費者へのDPサービスが目的ではなく、自分が撮影した写真の仕上りにこだわりがあるからでした。写真館のなかにはフィルム代とラボへの現像料の支払いがなくなって、デジタル化で恩恵を受けたところもあったようです。

 写真のデジタル化に寛容だった先生でも、最近のスマホですべて済ます傾向には抵抗があるみたいです。たいていのシーンはスマホでそれなりに撮れてしまうから、素人が安易に撮影できない写真を撮らないとメシの食い上げです。昔から写真の中身にこだわる先生だから、その点は元々百も承知です。ただ、学校の掲示板に並べておいたサンプル写真をスマホで複写して、ハイ終わり…という風潮は困ったもんだと言います。

 なかには写真(プリント)は要らないからデータだけ欲しい、という要望もあるそうです。いまどきの若い人は、プリントよりも画像データのほうが使い勝手がいいのかもしれません。父兄のなかには、街のDP店でプリントしたほうが安く上がると考える主婦感覚の人もいるでしょう。肖像権は写っている生徒にありますが、著作権は撮影したカメラマンにあります。その辺の認識が欠けている人が多いみたいです。

 画像データをクラウドに上げて、そこから注文を取る方法もあります。無料で手に入るのは画像サイズの小さいサムネイルだけだから、プリントにしても画像データにしても、代金を払わないと手に入らないシステムにすれば、スマホで複写して「ハイ終わり」はなくなります。撮影は幼稚園の先生がして、このやり方でプリントだけ請け負う写真店の話をしておきました。

 「自分が仕事をしているうちは他人に撮影を任すのは嫌だなー」と言ってました。そりゃそうでしょうね。自分で撮影しなくなったら、この先生の写真スタジオは終わりです。でもクラウドで注文を受ける方法は、今後の参考になったと思います。すぐに画像データが欲しい人は、決済システムを用意しておけばその場で入手できて便利です。写真は紙に焼かないとお金がもらえないと思うのは、ちょっと古い考え方ですね。
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