メッセージ

2012年07月12日の記事

2012/07/12(木)表現の自由と批評の自由

 高校写真部の写真展で撤去されたのは、友人と連名で出した組み写真の内の1枚です。いい写真がないから写真展はパスするという友人を無理やり説得して、連名で出すことにしました。彼の写真はエピローグの1枚だけです。それが撤去されてしまいました。

 写真の内容は、当時のベトナム反戦デモのプラカードを写したものです。ビルの夜景をバックに、墨字で「戦争か?平和か?」という文字がくっきり浮かび上がっていました。シンプルでいい写真です。
 このデモは友人と一緒に撮影したのですが、暗くてろくな写真は撮れませんでした。トライ X を増感現像した甲斐もなく、まともな写真は彼のその1枚だけでした。

 写真展には、中学生のときから撮影に通っていた工廠跡の写真を出すことにしていました。戦前は兵器工場で、戦後は使われずに廃墟になっていた場所です。エピローグには、試射場の盛土に生えた1本の草に、太陽の光が射しているシーンを予定していたのですが・・・

 当時の世相から、どうにも情緒的で甘い気がして、彼が写真展をパスすると聞いたとき、エピローグにプラカードの写真を使わせてほしいと頼みました。もちろん他人の写真を借りて使うのはルール違反です。連名で出展することにしました。いままでにないやり方です。

 写真の表現に文字を使うのはいいのか、試射場の盛土に生えた草の写真のほうがよかったのか、友人と連名で出展するやり方はどうだったのかなど、当時は自分なりに考え、悩みました。
 それへの評価も写真が展示されての話です。個人的に気に入らないからといって、他の人が内容を批評する前の段階で、その機会を奪う権利は、誰にもないはずです。

 彼の写真をなぜ勝手に撤去したのか、当事者の先輩に理由を聞いてみました。内容が政治的と感じたのと、高校生は高校生らしくしてほしいと思ったからだそうです。
 「高校生らしく」ねぇ・・・
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