2008/02/23(土)ドライ式のプリンタ

 毎年アメリカで開催されるPMAショーが、今年も1月31日から2月2日まで、ラスベガスのコンベンションセンターで開かれました。米国のPhoto Marketing Associationの主催で、世界中の写真映像に関わる企業が出展して、盛大に行なわれます。
 ラボ機器も展示されていて、これから発売される新機種はPMAショーに合わせて発表されます。写真の業務用プリンタではトップメーカーのノーリツ鋼機から、ドライ処理のプリンタ「D701」が発表されました。

 同社にとってドライ式のプリンタは初めてではありません。数年前からdDPシリーズとして何機種か発売されています。EPSONのインクジェット技術を使ったプリンタです。耐久性の高い顔料インクを使ってスタートしましたが、今回のD701は染料インクを使用しています。染料インクの耐久性が向上したことと、顔料インクが苦手だった光沢仕上げに有利だからでしょう。
 1ドット4色6階調で、縦横720dpiの品質です。CMYKの4色インクは、民生用のプリンタに比べて色数が少ないように感じますが、業務用途では処理スピードが問われます。L判を1時間に750枚処理するためには、合理的な選択だと思います。銀塩プリンタの処理能力が毎時1000枚前後ですから、遜色ないスピードです。そのうち、業者依頼のブライダルフォトにインクジェット出力が採用される時代がくるかもしれませんね。

 従来機種のdDPから不思議に思っていたのですが、用紙サイズが写真用になっています。A4サイズの短辺は210mmですが、6切の短辺である203mmを採用しています。4切の短辺254mmまで供給されていますが、なぜA3の短辺(A4の長辺)の297mmまでにしないんでしょう。あと43mmのことです。
 どうやら、提携先のEPSONとの「棲み分け」が関係しているようです。ノーリツ鋼機は、あくまで写真用のプリンタを製造・供給する、ということなのでしょう。それでも今回は、シートペーパーでA4サイズが供給されました。216mm幅までのシートペーパーが使用できます。
 ただし、203mm幅のロール紙だと203x254の6切が1時間に250枚も処理できるのに、シート紙だと1時間に38枚しか処理できません。210x297のA4なら36枚です。210mm幅のロール紙が供給されない限り、A4サイズの高速処理はできないわけです。254mm幅のロール紙で出力して、あとからカッターで切りますか。それは面倒ですね。(処理枚数はいずれも連続印刷の概算値)

2008/02/22(金)写真廃液の問題

 写真屋さんに置いてあるデジタルカラープリンタは、ほとんどが「現像液」を使うウェット処理の機械です。銀塩ペーパーを使っているので、きれいで長持ちする写真ができます。
 難点をいえば、以前にも話題にしましたが、薬液の管理が難しいことと、もうひとつは「廃液」の問題です。かなり前は海洋投棄していましたが、現在では地上で焼却しています。もちろん、専門の業者が回収して、産業廃棄物として処理しています。環境にはあまり優しくないシステムといえますね。

 フィルム現像機を設置する場合は、地元の保健所に「公害特定施設」の届け出が必要です。いまどき新たに設置する業者はいないと思いますが、無届けだと問題が生じます。印画紙から写真を作るプリンタは、届け出の義務はありません。問題になる薬品は、フィルムの現像液にしか含まれていないからです。

 フィルムが市場から姿を消しても、銀塩式の写真プリントは当面残ると思います。昇華型やインクジェットプリンタの出力もよくなっていますが、印画紙を使った本物の写真のほうが、やはりきれいです。
 大事な結婚式の写真は、銀塩プリントをお薦めします。業者に撮影を依頼した場合は、銀塩プリントで納品されるはずです。スナップ撮影はカット数が尋常ではないので、高速銀塩プリンタでないと効率が悪いということもありますが、やはり品質がよいのが主な理由だと思います。コスト的にも現時点では印画紙のほうが有利のようです。

 一般消費者の中には、インクジェットプリンタのほうがコストが安いと思っているひとが多いようです。確かに写真屋さんの小売価格と比べて、インクジェット紙のほうが安い場合が多いし、インクのコストを足しても自分で刷ったほうが安く感じるひとが多いと思います。
 しかし、事業者の仕入原価は、印画紙のほうが安くなります。写真に仕上げる業務用プリンタが数百万円から一千数百万円するので、最終的な実質コストは高くなりますが、材料の原価は印画紙が一番きれいで一番安いはずです。1コマずつ大量にプリントする業務用途には、銀塩プリントが一番向いているみたいですね。

2008/02/21(木)プリントのスキャン

 業者のスナップ写真で、プリントとCD-Rデータが一緒にセットされていれば、焼増しや画像処理にはCD-Rのデータを使います。何らかの事情でプリントしか手元にないきには、フラットベッドスキャナなどで画像データを入手することになります。

 スキャニングで注意したいのは、原稿の選択と解像度です。原稿の種類は「カラー写真」を選択し、解像度は300dpi(出力プリンタによっては350dpi)にします。L判の写真を焼き増しするなら、この設定でOKです。
 写真集や大伸ばしのために、もっと大きな画像にしたい場合は、サイズを100%よりも大きくすれば可能です。ただし、以前指摘したように、元のプリントそのものが300dpi程度のデジタルプリントなので、あまり拡大し過ぎるとモアレやジャギーなどの乱れが生じます。スキャナの設定をアレコレ変えて、よい結果が得られるように調節することになります。

 スキャニングには、もうひとつ「大敵」がいます。ホコリです。細心の注意を払っても、一般家庭はホコリがいっぱいです。指紋もきれいに拭いておきましょう。目立つ場合は、画像処理ソフトを使って修正しなければなりません。
 画像処理ソフトを扱い慣れたひとは、「後で修正すればいい・・」と甘く考えて、スキャニングがラフになりがちです。デジタル写真の極意は、いかに手間をかけずに良い画像を手に入れるかです。取り込み時に手を抜いてはいけません。
 AD変換(アナログからデジタルへの変換)は、できることなら避けたほうが無難ですね。
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