2008/02/17(日)写真を複写する

 写真の技術で複写が一番難しいという認識は、ある程度経験のあるひとならお持ちだと思います。もとの被写体が百点満点ですから、それに近づけるためのテクニックはかなり高度です。

 式場の写真室で撮った集合写真をコピーすることは、著作権の侵害にあたります。商売としてではなく、個人で「楽しむ」ためなら違法ではない、という考え方もあります。スナップ写真と違って、元の原板や画像データは「門外不出」ですから、自分の手元に残しておくには複写するしかないと思うひともいるでしょう。しかし、コピー防止のための対策も講じられていますので、素人には手に負えない場合が多いようです。
 
 写真のプリントは、現実の被写体よりもダイナミックレンジ(明暗差)がかなり狭くなっています。もう一度写真で複写すると、暗いところは黒く潰れ、明るいところは白く飛んでしまいます。フィルムには、デュープリケーティングフィルムという複写専用のタイプがあって、元の写真に近い調子にすることができましたが、デジタル式だと難しいですね。

 表面が絹目仕上げのプリントは、複写すると格子状の模様が出るので、見苦しくなります。とくに顔の部分は目立ちますから、コピーそうろうです。写真屋さんは、絹目仕上げのプリントを複写するときにナングレア(無反射)ガラスを上にかぶせます。画像が少し甘くなりますが、格子状の縞は出にくくなります。写真額に使われている無反射ガラスは、目が粗いので複写には不向きです。専用品を一般のひとが入手するのは難しいかもしれません。

 やはり、元の原板から焼増ししたプリントが一番きれいです。全員分の焼増しをしたら大幅な割引をするとか、写真屋さんも営業努力をすればいいのに・・・と思います。式場へのリベートなど、いろいろ難しい問題があるようですが・・・

2008/02/16(土)集合写真 その7

 写真の技術で一番難しいと思うのは「複写」です。もともと写真は、現実の現象を記録する性質のものですが、二次元(平面)の被写体をそのまま記録する複写は、もとの被写体が100点満点です。二次産物の写真はそれ以下にしかなりません。いかに100点に近づけるか・・・究極のテクニックが要求されます。

 写真撮影のスタッフを雇うときは、複写をさせればそのひとの技量を見抜くことができるといわれています。機材と道具一式を渡して、「このなかから好きに選んで撮りなさい」というやり方です。カメラとレンズ、フィルムはどれを選ぶのか、被写体を壁に貼るのか床に置くのかなど、被写体によって選択が異なります。道具のなかにある紐のついた手鏡などは、普通のひとなら何に使うのかすらもわかりません。
 照明の組み方も複写の基本を知っていないとできません。写真電球を使ったほうがよいのか、大光量のストロボとアンブレラ(反射傘)がよいのか、被写体に応じて判断しなければなりません。素人には手に負えない領域です。

 集合写真は、ある意味では複写と同じ性質を持っています。複写する対象が何十も集まっていて、前後に並べば厚みがあるので、かなり手強い被写体です。気軽に「集合写真お願いね」と頼むひとは、あまり深く考えていないか、それとも恐いもの知らずか、そのいずれかだと思います。
 でも、頼まれたほうとしては、むげに断るわけにはいきません。仕方なしに、見よう見真似でチャレンジすることになります。一般のアマチュアにとって、一番高いハードルは、室内撮影での照明でしょう。大光量のストロボを持っているひとは少ないと思います。通常はISO感度を上げて光量を稼ぎますが、あまり上げると画質が落ちます。

 いままでの「おさらい」で、人数をできるだけ少なくして、何回かに分けて撮るのが、アマチュアが集合写真を上手に撮る秘訣です。この方法なら、手持の道具で十分撮れます。
 写真の原理を知らずにプロのやっていることを真似しても、よい結果は得られません。ドンキホーテにはならないでくださいね。

2008/02/15(金)集合写真 その6

 結婚式の集合写真といえば、式場の写真室での撮影が一般的です。このシリーズの初めに紹介しましたね。親族と一緒に並んだのに、いつまで待っても写真が届かない、という経験をしたひともいると思います。
 写真室で撮った写真は焼増し代が高いので、全員分の焼増しをしないケースが結構あるようです。なかにはコピー版を配るひともいますが、著作権は写真室側にあるので、民法上は違法なやり方です。

 写真室の設備は最低でも数百万円かかります。建設負担金を要求する式場なら1億円を超える投資をしているかもしれません。写真代が高いのもうなずけます。撮影した写真をコピーされてはたまらないので、いろいろな防止策を施します。
 写真の仕上げをシルク(絹目調)にしたり、中抜き台紙を特殊サイズにしたりするわけです。さらに、台紙をしっかり糊貼りするという原始的な防止策をするところもあります。素人が品質を落とさずコピーすることは難しいでしょう。
 コンビニのカラーコピーなら、配らないほうがマシです。街の写真屋さんのなかには、複写を引き受けてくれるところもあるようですが、そうしたお店は減少の一途です。

 素人に写真室と同じ集合写真を求めるのは、無理難題を言うことになります。「つばくらめの子安貝」を探せ、といっているのと大差ありません。(花嫁は かぐや姫かい!)
 人数を少なくして、グループごとに撮影することをお薦めします。数人程度のミニ集合写真なら、失敗する可能性は少ないし、顔が大きく写ります。新郎新婦と一緒に写すのがミソですね。
 新婦は向かって右、新郎が左というのが世間一般の常識ですが、絶対的な決まりではありません。お雛様でも「京雛」は左右逆ですからね。とがめられたら、「どちらかがお公家さんの出で・・」とかナントカいってケムに巻いておきましょう。
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