2008/02/05(火)ミノルタはいま?

 写真のデジタル化で、一眼レフの顔ぶれもずいぶん変わりました。αシリーズで一時トップシェアを取ったミノルタは、その後コニカと合併し、現在はカメラ事業から撤退しています。一眼レフはソニーが引継ぎました。
 千代田光学(チヨコー)時代からファンだったミノルタ党のひとにとっては、なんとも複雑な心境でしょう。

 ソニーがαシリーズの第1号機として出したα100の新製品発表会を見る機会がありました。知り合いのSONYショップの店長が誘ってくれたので、一般向けではなく業者向けのセミナーに参加することができました。顔見知りの元ミノルタ社員がいて、ホッと安堵です。仕事ができる人間は放っておきませんね。
 手にしたα100はどう見ても普及機で、ハイアマチュアにはちょっと物足りないクラスの機種でした。せめてコニカミノルタのα7デジタルクラスを期待していたので、ちょっぴり拍子抜けでした。「最初は普及機から始めて慣れてから上を出す」という話をしてました。商品ブースにいたのは、ほとんど元ミノルタの社員だと思います。

 参加した業者は、もちろんSONYショップのオーナーや店長で、一眼レフを扱うのは初めてというひとが多かったようです。セミナーで商品説明をしていたのは元ミノルタの開発技術者です。ミノルタ時代のAF85mm/F1.4G開発の苦労話や自慢話を聞かせてもらいました。もう一度αを市場に出せる嬉しさからか、嬉々として熱弁を振るっていました。
 でも、大半の参加者にはチンプンカンプンだったと思います。なにせ「電気屋のオヤジ」ばかりですからね。商品ブースで聞いた「慣れてから・・・」という話は、販売窓口になるこの人達のことをいってたんですね。
 カメラ屋さんでSONYショップになっているお店もまだ少しは残っています。この人達にとっては、扱い慣れた商品でしょう。ただし、ニコンやキヤノンも扱ってますから、SONYをどこまで真剣に扱うかは疑問ですけど。

 上位機種のα700の発売以来、久々にSONYのWEBページを見たら、新製品情報が出てました。2月15日にα200が、3月7日にα350が発売予定だそうです。当時SONYは「一眼レフ市場で当面10%のシェアを取る」と豪語してましたが、SONYなら本気でやるかもしれませんね。

2008/02/04(月)罪なハニカムCCD

 デジタルカメラでダイナミックレンジを広くとる技術が、ないわけではありません。大きな撮像板を使って、画素数を抑えれば、ある程度のダイナミックレンジは確保できます。問題なのは、画素数をわざと少なくしたカメラが売れるかどうかです。

 実際にこの技術を使っている一眼レフがあります。FUJUFILMのFinepix S5proです。旧モデルのS3proも同じです。縁起を担いだのか「4」をとばして「5」になりました。
 FUJIFILMは独自開発のスーパーCCDハニカムという撮像板を持っています。このCCDは受光面積が大きいので、感度を上げたり、出力時の画素数を内部的に倍にしたりできます。他社からのクレームで、この独自の出力画素数の表示ができなくなり、一時は他社よりも低い画素数の表示を余儀なくされていました。いまでは「親」と「子」の両方の画素を足して他社と同程度の画素数で表示できるタイプを出しています。

 新製品のS5proに使われているCCDは「SR Pro」というスーパーCCDハニカムです。S画素という「親」と、R画素という「子」を足すと1234万画素になります。この2種類の画素をダイナミックレンジを広げるために使うことができます。画素数は半分の617万画素に落ちますが、フィルムに近い描写が可能になりました。2個の素子で1画素ですから、贅沢な使い方ですね。
 この技術はFUJIFILMが特許を取ったので、他社は黙って使えません。1200万画素を半分の600万画素に落としたら、残りの600万画素は捨てるしかありません。出力画素数の表示で「いちゃもん」をつけた手前、素直に特許を買わないのか、フジが意地になって売らないのかは知りませんが、ある意味では罪なことをしたものです。

 一眼レフ市場でFUJIFILMのシェアはほとんどありません。キヤノン・ニコンのトップ2社で大半を占めています。S5proはニコンマウントを採用しています。製造はニコンが請け負っています。OEMというやつです。
 だったらもっと仲良くすればいいのに・・・と、ニコン党のひとは思うかもしれません。聞いた話で本当かどうかわかりませんが、フジがスーパーCCDハニカムをニコンに売らないので、ニコンは普及機しかフジに提供しないのだとか・・・
 業務用途のスタジオ写真の世界に限れば、フジのシェアはそこそこありますから、ハイエンド機が欲しいはずです。それぞれ思惑があるんでしょうが、一般ユーザーの立場から見ると、何かドロドロしててイヤですね。

2008/02/03(日)ダイナミックレンジ

 本サイトやブログでよく登場する「ダイナミックレンジ」とは、どういう概念なんでしょうか? デジタルはダイナミックレンジが狭い、なんて言い方をよくしますよね。

 自然界は明るい所と暗い所の差が、かなりあります。人間の目は都合よくできていて、明るい所でも暗い所でも自動的に調節されるので、ある程度よく見えます。ところが、写真画像はそうはいきません。自動露出で調節しても一定以上明るいものは「真っ白」、暗いものは「真っ黒」になってしまいます。この真っ白と真っ黒の間の幅をダイナミックレンジといいます。

 この問題は、フィルムの時代からいわれてきたことです。ダイナミックレンジを広くとれば、諧調は豊かになりますが、メリハリのない画面になります。写真館が使う通常Sタイプと呼ばれるネガフィルムは、白のなかの白が表現できて肌の描写もしっとりきれいです。その代わりスナップ写真には不向きです。
 一般のひとが使うネガフィルムは、自然な描写よりもカリッと引き締まった鮮やかな表現を基準に作られています。赤ちゃんや女性ポートレートは苦手な被写体です。
 アドアマが風景写真などに好んで使うリバーサル(スライド)フィルムは、ネガに比べてダイナミックレンジが狭くなっています。ですから、露出の調整が微妙で、少しずつ露出を変えて何枚か撮影します。一眼レフに3段階露光や5段階露光を自動的に行なうオートブラケッティング機能が付いているのはそのためです。

 デジタルはリバーサルフィルムよりもダイナミックレンジが狭い、といわれています。一定以上明るいものがすべて真っ白になってしまうことを「白トビ」といいます。白トビしてしまった部分は、あとで画像処理しても復活できません。画像を暗くすれば、その部分すべてがグレーになるだけです。逆の「黒ツブレ」も同じことです。
 フィルムの場合は、ネガは露光オーバーで白くなった部分をある程度救済できます。リバーサルは露光不足で暗くなった部分を再現することが可能な場合があります。ちょっと写真を勉強したひとは、ネガはオーバー目に、スライドはアンダー目に、という知恵を身につけています。デジタルは、どちらも救済できません。元のデータが飽和している(白トビ)か、まったくない(黒ツブレ)かのいずれかだと、救いようがないからです。
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