2008/09/23(火)望遠の最短撮影距離

 遠くのものを撮る望遠レンズは、近くにピントが合う必要がないと考えるのが一般的です。ズームレンズはともかく、単焦点の望遠レンズなら許されると考える向きがあります。

 しかし、実際には望遠レンズで至近距離から撮ることがあります。
 プライベートなポートレート写真だと、被写体との距離は自由です。至近距離から部分アップで撮ろうとしたらピントが合わない!では、ストレスが溜まります。
 風景写真でも、被写体は遠景とは限りません。目の前の草花にピントを合わせて、背景をボカす撮り方もあります。

 昔のオートニッコール200mm F4は、最短撮影距離が3mでした。ボーリングのピンみたいな格好をしたレンズです。
 途中でマイナーチェンジして、最短撮影距離は2mに改良されました。この1mの差は大きいですね。買い直すだけの価値があるスペック変更でした。
 デザインと大きさは同じですが、ヘリコイドの前が銀梨地になっているのが旧タイプ、黒色になっているのが新タイプです。

 200mmの望遠を近距離で使うならマイクロの200mmがある・・というのは、現在の話です。当時は、そんなマニアックなレンズはありませんでした。
 マクロレンズ(ニコンでは「マイクロ」)は、もともと文書の複写などに使われていました。50mmから60mmの標準マクロです。コピースタンドにつけて文書を複写するのに適した焦点距離です。収差の補整も1:10(240×360mm)を基準にしていたメーカーが多かったですね。(PENTAXは1:4でした)

 望遠系のマクロが売れるようになったのは、ネイチャーフォトの流行と関係しているようです。当時の望遠レンズは、至近距離での撮影には不向きでした。
 最近のレンズは最短撮影距離が短くなったり、マクロ機能がついていたりします。自然界の動植物を撮るのなら、きっちり収差補整されたマクロレンズである必要はありません。
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