2010/01/08(金)写ルンですの詰替え品
それでも次から次へと詰替え品が横行します。まるでモグラ叩きの状態でした。それだけ商品に付加価値があったということでしょう。
FUJIFILMが最初に出したタイプは、ポケット判フィルムを採用していました。粒状性がよくなかったので、すぐに姿を消します。「写ルンです」がヒットしたのは、135フィルムを装填するようになってからでした。ポケット判と違って 135フィルムは、品種が豊富で汎用性があります。
製品としてのジャンルは「レンズ付フィルム」でした。あくまでカメラではないという位置づけです。その理由は物品税でした。
消費税が導入される前は、製品ジャンルによって異なる物品税がかけられていました。カメラとフィルムでは税率が異なります。中身が入れ替えられるならカメラだと見なされる可能性がありました。
発売時点では税区分の関係で、メーカーに詰替え防止の義務がありましたが、次第に企業利益の確保へとその性格が変わっていきます。「写ルンです」は感材メーカーにとってドル箱商品でした。
そのおこぼれに預かろうと、いろんな業者が詰替え品に手を出します。なかには写真の現像システムを知らずに、映画用のネガフィルムを詰めて、現像液にダメージを与えるものもあったそうです。
「写ルンです」を筆頭に使いきりカメラは、リサイクルシステムが確立された商品です。メーカーが協同でリサイクル工場を運営していました。回収ルートは、全国を網羅していたラボの集配網です。
回収した部品によって、次の生産計画が変わります。特価品の販売数が多ければ、回収品も自然と多くなるから、売れ筋の低価格品はなかなか製造中止になりませんでした。
需要が急落したいまとなっては、訴訟のリスクを背負ってまで詰替え品を出す業者はないと思います。写真店を回って使用済みの筐体を買取る業者も目にしなくなりました。