偏光(PL)フィルターは、風景写真を撮る写真愛好家には必需品です。写真がデジタル化された現在でも同じだと思います。水面の反射を除去するだけでなく、空の青さを強調したり、葉の反射を抑えて木々の緑を表現するのに使います。
風景写真を専門に撮るアマチュア写真家の中には、PL フィルターを付けっ放しにする人もいます。ある年配女性のアマチュアカメラマン(正しくはカメラウーマン)は、「PL フィルターを外すのが怖い」と言っていました。こうなると、もう「PL 教」ですね。( PL 教団とは無関係です・・念のため)
彼女の定番フィルムはベルビア(ISO 50)でした。目で見たのとは違うコントラストのあるメリハリが利いた画像、ねっとりした濃い色調。PL フィルターは、この特性をさらに強調する効果がありました。
何の変哲もない景色が、この組合せで作品ぽいイメージに変換されます。いわば打ち出の小槌みたいな組み合わせでした。
アマチュアの指導に、Velvia 50 の増感現像を「魔法のお札」にしていたレッスンプロもいましたね。PL フィルターは必須アイテムでした。
製造打ち切りを予定していながら、メーカーがいまだに Velvia 50 を出し続けているのは、こうした「信者」が多いからでしょう。実態の把握が甘かったようです。
プロ作家のスタンスは少し違います。このイメージが欲しいからこの機材を使う・・使用目的がハッキリしています。自分のイメージを表現できるのは、「このフィルム、このレンズ」ということはあっても、PL フィルターを外すのが怖い・・なんてことはないでしょう。
3層構造の Foveon センサーは、Velvia 50 のような独特の写りが特徴です。魅力を感じるファンは大勢います。ひょっとすると、この中にも「PL 教」の信者がいるかもしれませんね。