2011/09/03(土)「PL教」の彼女はいま?

 偏光(PL)フィルターは、風景写真を撮る写真愛好家には必需品です。写真がデジタル化された現在でも同じだと思います。水面の反射を除去するだけでなく、空の青さを強調したり、葉の反射を抑えて木々の緑を表現するのに使います。

 風景写真を専門に撮るアマチュア写真家の中には、PL フィルターを付けっ放しにする人もいます。ある年配女性のアマチュアカメラマン(正しくはカメラウーマン)は、「PL フィルターを外すのが怖い」と言っていました。こうなると、もう「PL 教」ですね。( PL 教団とは無関係です・・念のため)

 彼女の定番フィルムはベルビア(ISO 50)でした。目で見たのとは違うコントラストのあるメリハリが利いた画像、ねっとりした濃い色調。PL フィルターは、この特性をさらに強調する効果がありました。
 何の変哲もない景色が、この組合せで作品ぽいイメージに変換されます。いわば打ち出の小槌みたいな組み合わせでした。

 アマチュアの指導に、Velvia 50 の増感現像を「魔法のお札」にしていたレッスンプロもいましたね。PL フィルターは必須アイテムでした。
 製造打ち切りを予定していながら、メーカーがいまだに Velvia 50 を出し続けているのは、こうした「信者」が多いからでしょう。実態の把握が甘かったようです。

 プロ作家のスタンスは少し違います。このイメージが欲しいからこの機材を使う・・使用目的がハッキリしています。自分のイメージを表現できるのは、「このフィルム、このレンズ」ということはあっても、PL フィルターを外すのが怖い・・なんてことはないでしょう。

 3層構造の Foveon センサーは、Velvia 50 のような独特の写りが特徴です。魅力を感じるファンは大勢います。ひょっとすると、この中にも「PL 教」の信者がいるかもしれませんね。

2011/09/02(金)PLフィルターは必需品

 写真のデジタル化で出番の少なくなった光学フィルターですが、偏光(PL)フィルターは健在です。画像処理では代用できない使い道があるからです。
 空の青さを強調するのは画像処理でもできますが、ガラスや水面の反射を除去するのは PL フィルターに限ります。

 ガラスに映った反射光は、なぜか光の振幅が同じ方向に揃っています。偏光膜をサンドイッチした PL フィルターを回転させると、ある角度で映り込みがフッと消えます。ガラスを透過して見える向こう側は、変化がなくそのままだから写真に写ります。

 PL フィルターには、普通のタイプと円偏光タイプの2種類ありますが、写りはどちらも同じです。一眼レフでオートフォーカス機能を使うときに、円偏光タイプでないとピントが合わないことがあるだけです。ハーフミラーで光路を逆方向に曲げて、AF センサーに光を送っている関係です。
 デジタルカメラの場合、撮像センサー側でコントラストを検出する方式は、円偏光タイプでなくても AF 機能は働きます。

 PL フィルターは、反射光を除去していない状態でも透過してくる光量が少なくなります。透過光は 1/5~1/10 くらいでしょうか。
 この性格を利用して ND フィルターの代わりに使うことができます。F1.4 や F2 クラスのレンズを絞り開放で使うときに重宝します。

 昨年、従来品よりも1EV 明るいタイプが発売されました。1EV というと1絞り分明るくなった計算です。実際に使ってみたことはありませんが、色味の変化がなければ実用性は高いと思います。
 PL フィルターは、偏光膜の経年変化で発色が変わります。使用状態にもよりますが、数年をメドに買い換えるのが普通です。今度は明るいタイプにしますかね。

2011/09/01(木)デジタルのソフト効果

 写真のデジタル化で、フィルターを使う頻度が少なくなりました。デジカメ自体にフィルター機能や、エフェクト効果が得られるモードが内蔵されている機種が増えました。

 色温度が設定できるカメラなら、色温度変換フィルターは不要です。フィルター操作よりも細かく設定できます。
 デジタル画像で、色を変えるフィルターは、ほとんど出番がなくなりました。画像処理ソフトで自由にいじれるからです。シャドー側だけマゼンタを抜く・・なんてことも可能です。

 これと同様に、ソフト効果も画像ソフトで出すことができます。普通に撮影された画像でも、ソフト効果を後から加えられるのが、デジタル加工の特徴です。
 とはいっても、画面全体を軟焦点にするのは芸のないやり方です。ハイライト部分だけを抜き取り、ソフト加工してから合成するなど、ある程度手の込んだ処理をしないと意味がないように思います。

 自由に加工できるのと、何度でもやり直しが利くのが、デジタル画像処理のいいところです。ただし、手間と時間が掛かります。
 撮影時にフィルターを装着するのと、どちらが手間か考えたら、フィルターを付け外しするほうが簡単で手っ取り早いですね。デジカメでの撮影でも、ソフトフィルターはバッグの中に入れておいたほうがよさそうです。

 人物のポートレート写真の場合は、フィルターの有る無しの両方とも撮っておくのがセオリーです。もし結果が気に入らないときに、フィルターの掛かった画像から加工するのは、自由度が低くなるからです。
 それでも光学的なフィルターワークは、デジタル加工では出せない(あるいは手間が掛かる)独特の効果が期待できます。何でも後から加工すればいいという考えは、デジタル写真の上手な使い方とは言えないでしょうね。
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