2011/09/27(火)手ブレ補正で自動追尾

 何年か前までは、フィルム式とデジタル式の優劣を云々する意見が飛び交っていましたが、ここへきてそういう話はとんと耳にしなくなりました。
 フルサイズや光学式ファインダーに拘る人でも、デジタル一眼レフであることを前提にした意見です。デジタル化でカメラがどこまで進化するか、そちらに目が行くようになりました。

 顔検出に始まり、スイングパノラマだの HDR だのデジタルならではの機能が登場しています。その中でも特にユニークなのが、PENTAX のアストロトレーサー(自動追尾星野撮影機能)です。
 星の撮影は、地球が自転している関係で、一定時間経つと星像が線状に写ります。それが手ブレ防止機構のゆとりを利用して撮像センサーを動かし、点像のまま撮影することに成功しました。(パチパチ)

 これを可能にしたのが GPS 技術です。同社の GPS ユニット(O-GPS1)をデジタル一眼レフに装着し、三脚に固定して使います。対応するのは、K-5 と K-r の2機種。
 HOYA に吸収される前は、天体望遠鏡と赤道儀を出していたメーカーだけあって、独創的な発想です。手ブレ補正でセンサーが動く範囲に限定されますが、標準レンズで5分程度まで自動追尾するというから驚きました。結構動くもんですね。

 精度はかなり正確のようで、200mm でも1分以上の追尾が可能だそうです。かなりしっかりした赤道儀でも 200mm の追尾には神経を使います。それが三脚に固定しただけで撮れるなら画期的です。

 ただし、赤道儀と同じ動きをするわけではないので、長めの露光時間だと周辺部で星像が流れるようです。それと地上の景色を入れた場合は、自動追尾したぶん景色が動きます。自動追尾ありとなしの両方撮っておいたほうがいいでしょう。
 ミラーショックを避けるため、露光を始めるときに黒い紙などで遮光するのは、普通の星野写真と同じです。

2011/09/26(月)デジタル撮影でのアオリ

 アオリを使う目的は様々です。例えば、建築写真で建物を真っ直ぐにしたい場合は、バックティルトを使って形を修整するか、建物と平行にカメラをセットしてシフトします。
 物の形を修整するのは、画像処理でも可能です。最近の建築写真は、後から画像処理でパースを修整するやり方が増えました。特に内装関係は、超ワイドが使えるデジイチで撮影したほうが楽です。そのぶん撮影コストが安くなりました。

 アオリのもうひとつの特徴は、レンズと平行でない面にピントを合わせることができることです。山から手前の景色までピントを合わせたいとき、絞り込んでも被写界深度に収まらない場合があります。フロントティルトを使えば、山と手前の景色を結ぶラインにピント面をずらすことができます。

 被写界深度で稼ぐ方法は、ピントの合っているのは1ヶ所だけです。あとはボケを抑えてごまかしているに過ぎません。アオリを使ったピント面の移動は、ほぼすべてにピントが合ったシャープな写真が得られます。
 大判カメラを使った風景写真では、この技法がよく使われます。昔はストレートに撮影していた人も見受けられましたが、いまでも大判を愛用している人にそんな素人はいないでしょう。

 この効果をデジタル処理で済ますのは、まだ無理があります。無限遠から近距離までピントをずらしながら連続撮影し、ピントの合ったところを何カットか抜き出して合成すれば、理屈の上ではできそうですが・・・
 ピントの合っていないところは、ボケて像が膨らむから、それを修整するだけでも大変な作業です。遠近2ヶ所にはっきり分かれた被写体でもない限り、デジタル処理でパーンフォーカス効果を得るのは難しいでしょう。

 一方、逆ティルトでピントの合ったところ以外をボカすアオリ技法は、デジタルでもすでに実用化されています。「ミニチュア」とかいうフィルター効果です。わざとボカすのは、比較的簡単にできるみたいですね。

2011/09/25(日)鏡の前のカメラが映らない方法

 商品撮影のテクニックで、正面から撮影した鏡にカメラが映りこまない方法があります。アオリを使います。もし本当に鏡の正面にカメラを構えたら、間違いなくカメラが映り込みます。実際には映り込まない位置に構えておいて、いかにも正面から撮影したように見せかけるわけです。

 アオリの仕方は二通りあります。斜めから構えておいて、バックティルトで四隅を直角に矯正すれば、正面から撮ったように見えます。
 斜めに構えると、被写界深度を稼ぐために絞り込む必要があります。フロントティルトでピント面の移動は可能ですが、形を整えながらのアオリは、かなりの熟練を要します。

 もうひとつのアオリ方は、映り込まない位置までカメラを平行移動し、レンズをスライド(横シフト)させて被写体を真ん中に持ってくる方法です。
 この方が被写界深度を稼ぎやすいので、照明のパワーが少なく済みます。パースの矯正もほとんど要りません。

 いずれの方法も鏡には別の面(ペーパースクリーンなど)を映り込ませて、それをライティングします。真っ白でよければ簡単ですが、グラデーションをつけるとなると少々やっかいです。腕の見せ所ですね。

 アオリを使うと、被写体からくる光は撮像面に斜めから当たります。平行スライドした場合でも、レンズの隅の像で撮影することになります。デジカメには苦手な状況には違いありません。

 デジタル写真の場合は、真正面から写しておいて、鏡の部分だけ別の画面を合成するのが、手っ取り早くて簡単かもしれませんね。
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