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2012年07月10日の記事

2012/07/10(火)写真展と政治性

 裁判沙汰にまでなったニコンサロンの写真展が、昨日で終わりました。会場を貸す貸さないでもめた挙句、裁判所の命令で一転貸すことになった一件です。
 作品のテーマが、いわゆる従軍慰安婦だったのが事の発端です。ニコンが会場を提供することに、抗議の声が寄せられました。この種のテーマではよくあることです。

 一旦貸すと決めたものを撤回するからには、それなりの理由が要ります。事前に作品を見た上で会場を貸すと決めたはずなのに、「諸般の事情により・・」と一方的に解約したのは、お粗末な対応でした。
 訴えられた後で、裁判所には「写真展は政治活動の一環」と主張したそうですが、結局それも認められませんでした。ミソつけましたね。

 いわゆる従軍慰安婦の問題は、何が事実だったかも含めて、ここで賛否を論じるつもりはありません。今回の「事件」は、どちらの見方が正しいかの問題ではないからです。写真展のテーマが全く逆の内容であっても同じことです。
 一旦貸すと決めたものを正当な理由の開示もなく、一方的に解約したことが争点であって、裁判所が裁決したのもこの点でした。作品の内容に対する賛否や批評の前に、表現の自由が担保されているか?という問題でもあります。

 今回の騒動で、誰が得をしたのかはわかりません。お婆さんの顔を並べただけの写真展が大入りだったとか、慰安婦問題に批判的な勢力の主張がマス媒体を通じて全国に流れたとか、いろんな見方があるようです。
 ただひとつ言えることは、ニコンサロンの写真展に対する姿勢に疑問が残ったことです。ニコンが損をしたことだけは、間違いないでしょう。
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