2009/01/28(水)モデル撮影会のレフ

 アマチュア写真家向けのモデル撮影会は、少なくなりました。感材メーカー主催の撮影会はほとんどなくなったし、カメラメーカー主催のものもあまり見かけません。ミノルタをはじめ、カメラメーカーの数自体が少なくなったしね。
 昔はお手伝いする機会がありましたが、いまでは皆無です。

 メーカー主催のイベントは、設営・進行を企画会社に任せることがあります。こうしたイベント屋は、写真撮影に関するノウハウがあるわけではありません。音響設備やプラカードなどはお手の物ですが、きちんとしたレフ板を用意していないことがありました。
 クッキング用のアルミホイルを使って、にわか作りのレフ板で代用していたところもあります。見ると、アルミホイルのオモテ面をそのまま貼り付けています。もうギンギンですね。

 これでは使えない!と、砂を被せて擦り、いぶし銀にしましたが、まだギンギンです。残りのホイルがあるというので、クシャクシャにしてシワを寄せ、上から張りなおしました。もちろんホイルのウラ面を使います。
 メーカーのひとも撮影については詳しくないから、きちんとした指示はしていません。素人が集まってやるわけだから、仕方ないかもしれませんね。

 こんなトラブルに懲りたのか、メーカー側で既製のレフ板を用意するようになりました。組み立て式のアルミフレームか、サークル形の折り畳みレフです。
 モデル撮影会は、カメラマンの人数が多いので、離れた位置からレフを当てます。銀と白のリバーシブルなら銀レフを使いますが、反射が強すぎて効き過ぎのものがほとんどです。国内ものはまずダメですね。
 レフ板の光は「さりげなく」・・・これがポートレート写真の基本です。

 参加者のなかには、「レフが効いてない!」と文句をいう者がいます。目で見て効いてる!と思ったら、実際には効き過ぎなんだけど・・・
 スパイスの効いた激辛のカレーを食べ続けていると、舌が麻痺してくるのと同じですね。これでは、いつまでたっても本物のポートレート写真は撮れません。

 「なぜ下から当てないんだ!」とクレームをつけるひともいました。なかには、「お願いだから下から当てて!」と懇願するひともいましたね。
 光は上から、影は下方へ・・これが自然の摂理だと説明しても、納得してくれません。激辛スパイスに慣れて、味覚が完全に麻痺しているようです。

2009/01/27(火)写真館のレフ板

 (前回の続き)
 振袖の写真集を撮ったのが臨時雇いのアマチュアカメラマンだとしても、仕事を請け負った写真館や写真店には、写真の仕上りに責任があります。
 無理を言って駆り出した手前、相手のプライドを傷つけたくない気持ちはわかりますが、お金をもらう仕事に手抜きはいけません。

 写真館のライティングが、比較的ラフであることも影響しています。ライティングが、第一線のコマーシャルフォトほどはシビアでありません。
 全般的に写真館のライトの位置は、やや低めです。バンク(ライトボックス)の下端が顎よりも低いケースが多いですね。一部の光が顎の下から当たるので、アッパーライトぎみのライティングになることがあります。

 コマーシャル系の人物撮影(モデル撮り)は、かなり高い位置から照明します。「光は上方から」「影は下方へ」という原則が貫かれています。
 コマーシャルスタジオの天井高が高いのには、それなりの理由があります。写真館の天井高は、あまり高くありません。なかには3m以下のところも見受けられます。

 レフ板の高さも写真館は低めです。被写体の背丈よりも高ければいい・・程度の認識しかないところもあります。メインライトの位置が低いことも関係しているようです。
 レフ板の反射光が上から当たるためには、2.4m以上の高さが必要です。4×8(尺)のベニヤか、3×6(尺)なら1枚半分を使います。3×6の発砲スチロールを縦に1枚半つなげて、屏風仕立にしたレフ板が安あがりでお奨めです。発砲スチロールは、反射効率がよく、色の濁りもありません。

 写真館や写真店が、下からのレフ板に寛容なのは、証明写真の「顎レフ」が関係しているかもしれませんね。顎の下に出る影を消すために、膝のあたりにセットするレフ板です。
 正面1灯の照明なら有効な方法ですが、2灯以上できちんとライティングされたスタジオでは、無用のレフです。顎の下に出る影が、ヒゲに見えることはないからです。

2009/01/26(月)アマチュア写真のレフ

 ロケの振袖写真集を見せてもらったことがあります。そのなかで、ちょっと気になることがありました。写真の出来が、アマチュアが撮ったモデル撮影会での「作品」とよく似ていた点です。

 施設を貸し切って行なうイベントは、参加者が多いのでカメラマンも何人か必要です。よほどの写真館でもない限り、カメラマンを何人も抱えているところはありません。臨時に「外人部隊」を雇うことになります。
 どうやら、この写真集を撮ったのは、アマチュアの写真愛好家だったみたいです。

 呉服店のひとは気づいてないようですが、写真を見ればプロの撮り方でないのは一目瞭然です。レフ版の影が下から上に出ていました。
 レフ版を下からギンギンに当てるのは、アマチュアのモデル撮影会くらいです。コマーシャル流れの未熟なアシスタントでも、こんなヘタなライティングはしませんね。

 屋外でも室内でも、光は上から当たります。影は下方に出るのが自然です。
 一般のモデル撮影会では、なぜかレフ版を下から当てています。いつから?誰が?こんなやり方を広めたんでしょうね。
 理由はいくつかありますが、一番の要因は、ライティングの基礎を学んだひとがアシスタントをしていないことです。長時間レフ版を上に掲げているのは辛いものです。下から当てるほうが楽だし、皆そうしているから、それが「正しい」ということになったんでしょう。

 指導の「先生」もいけません。間違ったやり方だと注意するのが筋ですが、お手伝いのひとに無理をさせたくないのか、黙認しています。
 肩書きが写真家というだけで、人物写真がオハコでない先生もいます。鷺の写真でプロになった先生もいましたね。ネイチャーフォトの先生では、人物のライティングはわかりません。
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