2009/02/16(月)DPを捨てられない写真店
銀塩全盛時代には、写真以外の兼業店ではDPは集まらない、といわれていました。クリーニングや日用雑貨を扱う店は、写真の専門店ではなくただの取次店、というイメージがあったからです。
カメラ店のDPが堅調だったのに対し、別業種が扱うDPは格下に見られていました。
写真のデジタル化と、子供写真館の台頭で、DPを扱う兼業店の写真スタジオは、苦戦を強いられています。撮影分野を伸ばして生き残りを図るのに、DPが足枷となっているようです。
スタジオ設備を充実し、衣裳を揃えても、店頭でDPを受け付けているうちは、撮影部門の伸びはあるところまでくると止まります。撮影については専門店ではない、というイメージがあるからです。
京都展の誘いにのって来てくれた写真スタジオは、DPショップの支店を持っています。たまにスタジオのほうにDPの客が来ることがありますが、「扱っていない」と断っています。
DPショップとは毎日行き来しているから、預かってもいいように思いますが、「ここで1本でもDPを扱ったら、このスタジオは終わりだ」というのが社長の持論です。
ユーザーが撮影した写真をプリントするのと、自分達が撮影してプリントにするのとは、まったく別の商売です。この社長は核心を掴んでますね。
撮影部門を伸ばすためには、DPを捨てるしかないと、頭の中ではわかっていても、なかなか捨てられないのが実状です。
DPは日銭が入ります。利益率も悪くありません。一気に減少したなら業態変更できたでしょうが、ジワジワ減っていくから踏ん切りがつきません。
大半の兼業店は、DPを捨てることはできないでしょうね。捨てるときは廃業するとき・・それが宿命のようです。
2009/02/15(日)廃業相次ぐ写真店
同じフロアに、JAPAN STYLEの七五三衣裳と浴衣が、同時に展示されていました。
一般の人がフリーで見ることはできない場所です。
知り合いの写真スタジオ何軒かに声をかけて、一緒に見に来ないかと誘いをかけたのですが、興味のあるひとは少ないですね。高い衣裳を仕入れる意欲のあるスタジオは少数派です。
以前誘いにのって来てくれた地方の写真店は、昨年夏にスタジオを閉めたそうです。手持ちの衣裳は、同業者に頼んで処分したとか・・・
せっかくスタジオ設備をし、衣裳もそこそこ揃えたのに、もったいない話です。社長は続けたかったようですが、若いスタッフがついてこなかったみたいです。
インショップの店だから、まだプリントの需要があるし、カメラや写真用品もボツボツ売れるんでしょうね。跡取りの息子は写真撮影が肌に合わなかったようです。
カメラ屋は物販業で、写真スタジオは接客業です。同じ「写真」でも業態が違います。兼業店の経営は難しいですね。
電話で社長と話をしていたら、地元で一番店だったカメラ屋が今年になって廃業した・・という話が出ました。最盛期には、地域の写真店に材料を卸したり、地域ラボを経営したりしていた大手のカメラ店です。
2番手の店はずいぶん前に倒産し、今度は1番店が廃業です。「前から念願だった地域1番店になれたね」と言ったら、「いまさら1番になってもなぁ」と元気のない返事でした。
せめてこの店には生き残ってほしいと思い激励しておきましたが、せっかくスタートさせたスタジオ事業を途中で放棄するようでは、その願いは虚しいかもしれませんね。
2009/02/14(土)紳士服メーカーのドレス
そんななかで、紳士服メーカーでウェディングドレスを一緒に並べているブースがありました。
愛知県に本社があるメーカーで、中部地区では名の知れた企業です。ブライダル市場に参入したのは、比較的最近のようです。
メンズ衣装はともかく、ウェディングドレスはあまりパッとしていない印象を受けました。表示価格(業者向け)は、ドレス専門メーカーに比べて、やや安めといったところでしょうか?
おそらく自社生産ではなくて、海外工場から買ってきたものだと思います。とても紳士服専門メーカーのイメージアップにつながるとは思えませんが・・・
京都展に誘ってくれた呉服卸の社長の話では、紳士服メーカーが呉服に参入したケースもあるとか・・・
斜陽の呉服店に入り込んで、洋服への業態変更を勧誘するのが目的だったようです。そう思惑通りにはいかないと思いますがねぇ。
ドレスを扱い始めた紳士服メーカーも、同じような狙いがあるのかもしれません。こちらもそう簡単にはいかないと思います。
ある総合ラボの営業部長をやっていたひとが、このメーカーのオーナー親族だったこともあり、企業名はよく知っています。この部長、当時はジャガーを乗り回していたくらいだから、どこかの資産家の御曹司だとは思っていましたが・・・
総合ラボ全盛時代を謳歌した人のひとりです。一緒に退社した部下のために、写真店を1軒出すなど、親分肌で気風のいい人でした。
数年前に愛知万博の道路拡張で、店を閉めたという話を聞きました。元部下の店長がちょうど定年を迎えたし、デジタル化の波が押し寄せてきたことで、区切りをつけたようです。
二人ともいまごろどうしているのやら・・・