2008/11/12(水)貸衣装の女紋
FOTO JAPANに資料・情報を提供してくれているドレスショップ(FUGA)では、最近になって留袖のレンタルも始めました。いままで和装のレンタルはしていなかったのですが、要望が多いので母親用の黒留袖だけ置くことにしたそうです。
仕立てあがった黒留袖を見せてもらいました。裾柄は以前なら40代が着るくらいハデ目です。たとえ自前で持っていたとしても、最新の柄をレンタルしたほうがよさそうですね。
家紋はまだ入っていませんでした。普通は仕立てる前に染めるのですが、利用が決まってから入れるとか。
染め抜きだと一旦「背縫い」を外さないといけません。背中の紋だけは、真中が縫い目になっています。レンタル用だから家紋を指定できるわけではないのに・・・
でも、最初に借りるひとは、新品だから気分がいいでしょうね。
どうしても自分の家紋にしたい場合は、「張紋」という方法があります。正絹のはぶたいに家紋を染め抜いたシールを使います。
この店では、張紋は勧めないそうです。正装は染め抜きが原則だし、張紋は厚みがあって違和感があるといいます。紋を貼り直すと数千円かかることだし・・・
利用日が決まったら、家紋は五三桐で染めるとのこと。最もポピュラーで無難な女紋です。中部から西日本は、豊臣秀吉が桐の紋を家臣にばら撒いたこともあって、広く使われている紋様です。
蔦(つた)は、繁殖力にあやかって花嫁の紋章によく使われますが、ほかの木に絡みつくことから商売人や遊女が好んで使ったとか・・・
揚羽蝶(あげはちょう)も代表的な女紋です。さなぎから蝶に変身する姿を嫁ぐ身に重ねたともいわれています。どちらかというと、花嫁向きですね。
やはり母親の留袖の紋様は、五三桐が一番無難のようです。
2008/11/11(火)留袖の家紋と女紋
和婚が減ったので、紋付姿は少なくなったものの、ご婦人方は和装が多いですね。家紋の入った留袖です。
留袖は、慶事の礼装として昔から使われてきました。親族の既婚女性は黒留袖、未婚女性は色留袖というのが一般的な使い分けです。(若い娘なら振袖でも礼装になります)
五つ紋の黒留袖が最高礼装です。色留袖でも五つ紋なら同格とされていますが、母親は黒留袖が圧倒的に多いですね。
地方の地主の息子が結婚したときには、新郎側親族の女性全員が黒留袖、新婦側親族の女性全員が色留袖だったそうです。
その土地の習慣なのか、事前に話し合ってそう決めたのかはわかりません。新郎側を立てるために、新婦側は色留袖にして一歩引いたのかもしれませんね。
留袖の家紋は、家の家紋とは限りません。普通「家紋」というのは男紋で、女紋は別の場合があります。
もうひとつ、貸衣裳で済ましていたら、家紋が合っているかどうかわかりません。最近では、和装離れでレンタル衣裳を利用するひとが増えています。
貸衣裳の留袖によく使われる家紋があります。代表的なものは五三桐(ごさんのきり)です。中央の花が五つ、両脇の花が三つの桐の紋様です。
鳳凰がとまる木とされる桐の紋様は、朝廷の菊の御紋に代わる替紋(五七桐)で、古くから将軍家に下賜されてきました。織田信長は室町幕府の足利家から、豊臣秀吉は朝廷と信長から拝領しています。(徳川家康は下賜を断ったとか)
簡略形の五三桐の留袖は、親族や知人の間で貸し借りしてもよいことになっています。ほかにもその土地で習慣的に使われてきた家紋があります。
早とちりして、留袖の家紋をアップで・・なんてのは、やめといたほうがよさそうですね。
2008/11/10(月)人前式と十字架
十字架の扱いには、多少の注意が必要です。
十字架は教会式のシンボルです。最近では人前式が増えてきて、そのときだけ十字架を隠す式場がありますが、そのまま!というところもあります。
チャペルでの結婚式が多数派の世相で、あえて人前式をやるのには、ある種のこだわりがあるはずです。ことさら十字架を強調する撮り方はしないほうが無難です。
撮影を頼まれた身内のカップルに写真集を渡したときの話です。
仕上りには満足してもらえましたが、花嫁がポツリと一言、「十字架は邪魔だけどね」・・・
大学院出のインテリだけあって、人前式にしたのには、それなりのこだわりがあったみたいです。
正面に配置された巨大な照明入りの十字架は、当人達にはちょっと目障りだっかもしれませんね。
所詮日曜日にミサをやらない「ブライダル教」のチャペルです。本物の教会じゃないから、ただのデザイン的な飾りだと考えればいいように思いますが・・・
姪っこの結婚式のときは、十字架の前にカーテンをかけて見えないようにしていました。結婚式場と違ってホテルは芸が細かいですね。
でも、本番前に撮った無人の式場は、十字架を隠す前だったのでバッチリ写っています。写真集を見た本人達は、そんなことは気にしていない風でした。
ホテル側が勝手に気を利かしただけのようです。