2009/03/13(金)大型の商品撮影
コマーシャルスタジオは、人物専門の写真館に比べて、天井高が高くなっています。人物は3mから3.5mあれば撮れますが、大型の商品なら5mは欲しいですね。
上からの照明(スカイライト)を入れるには、被写体の高さの2倍は必要です。タンスだと約4mの位置に発光面を持ってきます。ライトはディフューザーの上にくるから、5mくらい要ることになります。
人物撮影の場合、日本人は黒髪なので、身長の2倍でなくても構いません。肩の高さの2倍なら、写真館の天井高でも足ります。
天井高が低くてスカイライトが入れられないときは、タンスなら裏ワザがあります。白のチョークで天板の角をスーッとなぞって、ハイライトを直接描く方法です。同じように縦に入れれば、表面の照りを抑えながら、角にハイライトを表現できます。
ライトで表現できないときは、商品に直接描いてしまおうという、大胆な発想です。チョークならすぐに消せるし・・・
光沢のある大型商品は、映り込みが問題です。家具の表面に周りの情景が映っていては、商品写真になりません。大きな面積の「壁」を作って、それを映り込ませます。
白っぽい壁が映り込めば、明るい部屋のイメージとなり、真っ黒な壁を映り込ませれば、何も映り込んでいないという表現になります。
花瓶や壺くらいの大きさなら、白と黒のケント紙を切り貼りしてコントロールできますが、家具や自動車では巨大な「壁」が必要です。平面的な家具なら、2.7m幅のペーパースクリーンを張って映り込ませるのが、一番簡単な方法です。
自動車は曲面だから、グルリすべてを囲むしかありませんが・・・
2009/03/12(木)標準反射板の代用品
標準反射板は、露出計メーカーのセコニックから、手帳サイズのものが販売されています。プロ機材の銀一からは、A4サイズのものが出ています。2枚入りで千数百円です。別に送料が掛かりますが・・・
標準反射板が手元になければ、ニュートラルグレーのもので代用します。露出の判定に使うのでなければ、反射率18%である必要はありません。色の偏りがないグレーであれば、色温度の判定に使えます。
実際に色の偏りがないニュートラルグレーのものは、なかなかありません。ペンキの黒と白を混ぜると、微妙に青か茶色に偏ります。
ニュートラルグレーがないなら、色の濁りのない白い紙でもいいように思いがちですが、真っ白に写ったら計測できません。
8ビットの場合、RGBの各数値が255,255,255だったら、データが飽和してしまったことになります。もう少し露出を抑えたら、235,248,224だったかもしれません。白トビしてしまった「白」は、色の判定には使えません。
では、画像ソフトで18%グレーを作り、インクジェットプリンターで出力したものを使う・・というのはどうでしょう。銀一の標準反射板は、インクジェット出力です。
使う紙と印刷モードが合っていればいいですが、一般的にニュートラルグレーで印刷される保障はありません。純正ペーパーを使えばいい・・といった単純なものではないようです。
水道や排水に使うグレーの塩ビ管は、比較的色の偏りがなく、反射率も標準反射板に近い素材です。ホームセンターに行けば売っています。
シビアな撮影には不向きですが、おおよその参考値は得られます。使わないよりは、よほどマシですね。いつも同じ塩ビ管をつかっていれば、微妙な色の偏りもわかってきます。
2009/03/11(水)写真電球の色温度
デジタル一眼レフは、色温度が100K(ケルビン)単位で指定できる機種があります。いくつに設定すればいいかは、微妙な問題です。
タングステンフィルムでは、色温度の基準は、3400Kと3200Kの2種類がありました。どちらが正しいか?という問題ではなく、新品のレフランプは3400K、使い込んだものは3200Kといった違いです。電圧のブレも影響しますが・・・
切れる寸前の写真電球は照度が高い・・というファジーな性格のシロモノです。星の一生とよく似てますね。
写真撮影専用のレフランプでなくても、白熱電球を利用することも可能です。100Wの白熱球の色温度は約3000K、それ以下の電球はさらに色温度が低くなります。ロウソクの光なら2000Kくらいまで落ちます。
デジタルカメラの電球モードが何ケルビンかは、一応確認しておいたほうがいいでしょうね。ホワイトバランスの設定は、デジカメでの撮影の基本です。
カラーメーターで色温度を測り、ケルビン数を固定すればいいわけですが、アマチュアでカラーメーターを持っている人は、まずいません。
簡易な方法は、反射率18%グレーの標準反射板を撮影し、画像ソフトで色の偏りをチェックするやり方です。RGB各色が同じ数字で並んでいれば、ニュートラルグレーで、設定した色温度が合っていることになります。ピッタリ揃わなくても近い数値であれば構いません。
照明に使うタングステン電球に、他の光源が混ざると色が濁ります。室内照明の蛍光灯は消し、窓からの外光もカットします。
完全に遮光できないときは、カーテンの色を暖色系(黄色)にすると影響を緩和できます。